2009年 10月 25日
貧弱な縦
いうまでもなく、これには従前の私が主流とした35mm判との画面の縦横比の違いが作用しています。
ただ、撮るという行為を重視する私にとって、縦で撮るか横で撮るかというのは、単なる画面の比率や構図ではなく、カメラの構え方という、より大きな問題を孕んでいます。
絞り優先AE: f4 FUJI RDPIII
E-Systemを使う前は、ほぼ35mm判一辺倒。
仕事で愛用した<FUJI GX680>は、いわば3:4の画面比でしたが、当然、手持で撮るようなカメラではなく、またフィルムバックが回転可だっため、躯で縦横を意識するということはありませんでした。
他のフォーマットも大抵がハンドカメラではありませんが、見回して比較すれば、35mm判は些か細長い比率の画面だといえます。併せて、紙型などの縦横の比率も考慮に入れれば、このことはより明らかです。「写真とはプリントした実体を見るもの」ということを基本とするならば、35mm判の2:3という画面はむしろ無駄だともいえるわけです。
これらの問題はしかし、35mm判というフォーマットの誕生を考えれば、なるほどと理解できましょう。要するに映画用のフィルムを小型カメラ用に転用したという出来です。
絞り優先AE: 開放 -1EV FUJI RDPIII
絞り優先AE: f4 FUJI RDPIII
絞り優先AE: f2.8 -3/2EV FUJI RDPIII
ところが、「イメージとはディスプレイで見るもの」ということが基本となりつつあるデジタル時代となっては、情勢は逆転しつつあるとすら思えます。最早、画面は横長でなければダメという風潮すらうかがえるほどだし、一方でまた、4/3のカメラですら2:3の画面比で撮影できるようになっていることも無関係ではないでしょう。
果して、ムービーをより効果的に映し出すために、9:16が当り前になりつつあるテレビやコンピューターのディスプレイ上で映し出される35mm判の画面比は具合よく収まっています。ただ、「横位置で撮られたものを見る限りは」との但しをどうしても付けたくなるのは私だけでしょうか。縦位置で撮ったものを表示して目に入る余白がなんと無駄に思えることか・・
私は、ここに35mm判のお里帰りを見るような気がするのです。つまり、その出自でもある動画という部分にであります。
静止画に拘り、縦位置で撮影をするのなら、4/3フォーマット・・実は、E-Systemを使うようになってから、私が強く意識をするようになったことでもあります。
絞り優先AE: f2.8 FUJI RDPIII
前の記事でも感じましたが、暗部の落ち方の違いにフィルムらしさを感じます。
そして、色が深い…
いつも見せて頂くE-3その他のイメージの魅力も再認識しますが。
画面は横長が基準の時代でも、敢えて縦位置を選ぶ人も多い気がします。
より意識的に選ばれるのが縦位置ですね。
簡潔な無駄のない画面を作りやすいのも静止画向きではないでしょうか。
人の眼は横に並んで付いているから、横への広がりは自然に受け入れやすいということでしょう。
かの鈴木清順氏の映画にはありましたが、普通、動画で縦位置はあり得ません。
翻って、絵画のカンバスも、人物画で縦位置に使うことの多いFは、縦横比が最も少ないものでした。
そんなわけで、仰るとおり、相手に見ることを強いるという点では縦位置、
そしてより縦横比の少ない画面ということになりそうですね。
まさに静止画のステージとなるのでしょうが、それを投影するモノが遍く横仕様では・・
静止画というモノを見る(見せる)スタイルも変わらなければならないのかと考える次第です。
その点、拙blogのスキンは縦に優しいものといえるでしょうか。
フォーマットも様々になっていて非常に煩雑になっている印象を受けます。ディスプレーを縦長にする方もいらっしゃいますし。
僕は縦横比の違い、縦構図/横構図の違いにも撮影時に精神的な影響があるとか、撮れるものに違いが出る、思い込んでいる気がします。
スマートに掲示するとか、適切に掲示する、というのは難しいですね。
中判カメラでアスペクト比可変のものは昔からありました。
ただ、静止画を撮るというのは、一つのかたちにはめ込むからこそ意義があるのだと私は思います。
私がズームを嫌うのもほぼ同じ理由です。