2010年 07月 16日
夏休み企画「OM 修理に挑戦」第1回 〜Touch and Go〜
そして、さあ、週末です。
学校によってはもう夏休みに入るところもあるようです。
尤も、オトナにはあまり関係もなさそうですが、予告通りに「夏休み企画」第1回目を開始したいと思います。
一応、3回程度のシリーズにすることを考えており、今週末と来週末に分けて順次アップしていきますが、予定としては以下のように考えています。
1回目=OM-2Nの軍艦部を開けるまで(今回)
2回目=最初の関門「巻上げレバーの化粧板対策」について
3回目=整備箇所から復帰まで
順序からいけば、2回目で取り上げる「巻上げレバーの化粧板」が一番の鍵となることなのですが、もう既に「予告」や「準備」で導入部が長くなっておりますし、細かな話から始めるのを避けた次第です。
ここに至るまでの間、「準備」や「途中で立ち止る勇気」などの話をしました。
私も今になって身に付きつつある最重要事なのですが、何処かで肝を据えないと取りかかれないし、また先に進めなくなるのも事実でしょう。
よってまず一通りを紹介することにしたわけです。
なお、私が使っている道具などは前述のリンクをご参照ください。
そこそこ使用感のあるボディといいましょうか・・
それよりも気になるのは、掃除をしないままでの撮影で、せっかくの美人が台無しなのですが、今回はご勘弁ください。
また、画像も<iPhone 4>と<E-3>の混在でまとまりがない上に、都合上、別ボディをモデルに用いたモノもあります点をご了承ください。
では、始めますが、その前に・・ボディからは余分なモノは全て取り除いておく方がイライラせずに済むと思います。
具体的には、ストラップは無論、吊り環も外します。
裏蓋も外しますが、作業中にシャッター幕を突いてしまってはいけないので、マスキングをします。
私の場合、使い切ったラガールカード(阪急電車のプリペイドカード)利用してみました。
パンチ穴を少し大きくすれば、フィルムガイドのピンにちょうど合い、滑りにくくなります。1枚で2つ取れます。
蛇足ながら、磁気面を受光素子に向うようにすると後々使えます。
フィルムを入れない時にこれを代りに入れておけば、オートで空シャッターを切った際に「故障では?」と焦らずに済みます。
軍艦部カバーの取外しは、大きく分けて3ケ所にある固定部分を外せばOKであり、比較的楽なのではないでしょうか。
因みに、僅かに部品が違うことはあっても、基本は<OM-1(N)>と<OM-2(N)>では全く同じです。
ただ、マスプロダクトとはいっても、僅かな個体差があり、外れやすいモノとそうでないモノがあります。
製造時からというよりも、使用方法、保存状態によって生じることの方が多いように思いますが。
特にジャンク品の場合は、メーカー以外の第三者が弄った個体も少なくありませんので、多少の難儀はするものと覚悟して取りかかった方がいいでしょう。
順を追って紹介していきますが、先に述べた3ヶ所というのは、
で、全て軍艦部カバー上部にあります。
つまり、カメラでは普通によく見る側面のビスなどが一切ないわけで、こんな細かな積み重ねがOMの美しさの秘密なんだという気がします。
「1巻上げレバー部」の取外しは簡単です。
しかし唯一無二の難物が、何度もいう化粧板であり、これを傷付けずに巻上げレバーを外すのが大変なのです。
ところで、今回モデルになってくれたボディは、ご覧の通りにオリジナルの化粧板は既になく、代用というにも「なんともなぁ・・」というモノでしたので、遠慮なくベリッと剥がしてしまいました。
前述したように、ここの対策については、次回に詳しく書きます。
また、万が一ダメにしてしまった時の案も幾つか示すつもりですので、今回は一つを紹介するにとどめます。
用意するモノは、ゴム、竹ひごとカッターナイフ、そして無水エタノールです。
竹ひごは穴を突くのに使います。
カッターナイフは竹ひごの先が磨耗した時に尖らすのに使います。
ランク1:ゴムを化粧板に圧し当てるようにしてネジを緩める方向(逆時計)に捻ります。運がよければ化粧板とネジがくっついたままで緩んでくれるので、この場合は、続けて緩めるだけでネジは取れます。
ランク2:大抵の場合、ネジと化粧板を分離させなければなりません。化粧板は接着剤で固定されているだけなのですが・・
化粧板の上に無水エタノールを垂らします。
その状態で、竹ひごでネチネチと穴を突きます。
丸まったり、折れたりした先端をカッターで整えながら、時折ゴム攻撃も交えながら・・遅遅として進まないようですが、何度も根気よくするのがコツです。
わずかでも接着の場所が浮いてくれれば、竹ひごで静かに持ち上げて・・この際、無理にやると化粧板が曲がってしまいますから、くれぐれも「高名の木登り」にて...
アルミの化粧板は、竹ひごではなかなか傷の付きにくいモノですが、
エタノール→竹ひご→竹ひご→ゴム→エタノール→竹ひご・・
を30分近く続けていると、さすがに穴の周りが傷んできます。
ここまで大変だとランク3になるのですが、今回はここまでで。
固いですが、傷は付きやすいです。
隠れるのでいいともいえますが、なるべく注意をして工具の先が滑らないように。緩めさえすればネジは指で回せます。
これはかぶせているだけで、すぐに取れます。
ランク2まで行った時のカニ目と最後のカニ目は少し注意が必要ですが、工具を滑らさないようにすれば(圧し7、回し3らしいです)、大丈夫です。
それと、巻上げレバーの軸部にワッシャーが1枚あるので、なくさないように注意。
軸にくっついている場合と、巻上げレバーの裏にくっついている場合とがあります。
「2ホットシュー設置部の化粧ネジ」は、小さくてシッカリと固定されているようで、一見大変そうです。
実際、そう感じる人もいるかもしれませんが、私はまずは何の道具もなしに臨みます。
ランク1:爪を引っ掛けて回します(逆時計)。
これまで私は1台を除いてこの方法で外しています。
ただ、日頃から爪を伸ばしていない人、爪が弱い人は大変かもしれません。
ランク2:上の方法でどうしてもダメな場合は工具に頼るしかありません。
ペンタプリズムという最もデリケートな場所です。
特にOMの場合は命かもしれません。
滑った時のことを第一に考えて・・化粧ネジには少し傷が付いてしまいますが、この工具でやればすぐに取れました。
「3巻き戻しクランク部」は2工程になります。
まず、巻き戻しクランクを外します。
軸を固定し、クランクを逆時計の方向に回せば、ポロッと取れます。
画像の工具は、自分でもなかなか優れた流用品だと思っているのですが(「準備」をご参照のこと)、他にも巻き戻し軸の先割部にちょうどはまる太さのものならなんでもいいでしょう。
ただ、フィルムボックスを傷付けないようにしたいのと、万が一固くて外れない時に先を折ってしまわないようにプラスティックとか、木材が安全です。
今までとてつもなく固くて外れないのを一台だけ経験したことがあります。
仕方なく、軸をペンチで挟みクランクを回して外しました。
クランクが外れれば、その下から出てくるビスを2本外すだけ。
工程でも一番簡単ではないでしょうか。
以上でもう軍艦部カバーとボディを固定しているものはなくなりました。
最後に念の為「電源兼モード切換レバー」がOFFになっていることを確認し、軍艦部カバーを真上に静かに引き上げます・・まさに感動的な光景というべきなのかもしれません。
ただ、飛行機が怖くて乗るのが嫌いな私は、初めて乗った飛行機が離陸した時と似た気持を抱きました。
要するに、「今度地上に降りられるのは、無事に着陸か、堕ちた時だ・・」と。
以上で今回はおしまいです。
面白いことに、これら3ヶ所はそれぞれ独立したものだということです。
当り前といえばそれまでなのですが、巻上げレバーが外れたから巻き戻しクランクもスムーズに外れるわけではない、ということで、2つが難なく外れたのに、最後の1つに困らされることもあります。
もちろん、全部が外れなければカバー内部にはアクセス出来ないのですが、逆にいえば、最初の1つがダメでも、他の部分からかかればいいともいえますね。
そんな気持でもって、決して焦らずに愉しんで進めていただくため、少しでも活用していただければ、と願っております。
次回は「これを征する者は・・」というべく、化粧板のお話です。
毎日のことですが、仕事場が京都ですので日常のごとく出ておりましたが、祇園さんで凄い人です。さすが日本三大祭りですね。鉾の周りにはカメラを持った人が溢れてました。デジタル1眼の台頭で年齢層も幅広くデジイチを持った人が多かったですね。
夏休み企画第一回スタートしましたね。楽しみにしていた企画なんで、最後まで一気に記事を読みました。元々、キャノンのFT系やpenの分解掃除なんかには手を出したことがあったのですがOMは手引き書のようなサイトも無く手探りで分解したのを覚えています。かなり丁寧に纏められており、初心者の方が手を出されてもわかりやすいのではと思いました。
貴ブログを見られた方がジャンクと称されて可愛そうな末路を辿る崖っぷちから救われ、少しでも多くの綺麗で実用なOMが残るきっかけになるのではと思います。
更に言えばフィルムカメラに目覚めて頂きフィルムユーザーが増えれば良いですね。
ラガールカードでのシャッター幕保護は良いアイデアだと思いました。使わせて頂きます。
続きも楽しみにしています。
用事が入り、少し慌ててのアップになりましたが、とにかく往路は紹介しました。
私などのドシロートがなんとかなるくらいなので、是非心ある方にはOMを助け、大事にして上げて欲しいと思っています。
プリズムがダメになったOMはよく見かけます。
もちろん、それでも写真は撮れるのですが、今となっては一眼レフの命であるファインダーの感を強くします。
まだ大丈夫なモノがあれば、早く救出しておけば、まだまだずっと気持良く使えますからね。
新品のOMにはフィルムボックスにグレーの紙が入っていました。
SSでも貰えましたが、今や貴重品・・私の手元にも1枚しか残っていません。
もちろんお分かりでしょうが、ラガールカード磁気面のグレーを見て、それを想った次第です。
いや、それがとても参考になる、と書いては失礼かもしれませんが、
「自分がやっても失敗しそうなところ、気をつけたいところ」が分かりやすく、
実際の作業の上で、とても参考になると感じている次第です。
「早速試しで、、、」とできるドナーもいないので、しばし拝見するだけですが、
ゆるりと続きを見せていただければ、とてもうれしいです。
鈍臭いからこそ役に立つ・・そんなものになれば至上の喜びです。
ビビリがいったん始めると、反動でメチャをやってしまいがちです。
自棄糞といいましょうか・・そんな箇所を伝えられたらいいのですが・・
ま、こんな向う見ずな人はあまりおらず、道理が分ってなさる方が殆どなんでしょうけどねぇ。