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鞄の中身 かばん の なかみ : 出かける時は、どうも手ぶらじゃダメ…そんな私の鞄には…?

Highkor 1:2 f=40mm, OKAYA OPTIC.

入手に向けてのアクションを起す一方で、威丈高に感じられる命名をした岡谷光学機械というメーカーについて改めて詳細情報を探ったのですが、やはりなかなかままなりません。
服部時計と東京光学(TOPCON)の出資により1940年代に設立(東京光学が養蚕の地・岡谷で製糸会社と合併したとの話も)されたこと、戦後は双眼鏡やカメラなどの光学製品を手掛けたこと...結局分るのはこの程度止まり。
肝心のカメラ製造に関しては、1953年から<Lord>というブランドで35mm判カメラ製造を展開させるも、1959年の<Lord-Martian>を最後に終焉を迎えたようです。
この間わずか5年余りに毎年新機種を投入しているのは注目に値しますが、だからといって「太く短く」とはいえそうになく、結局謎に包まれたままでした。
ただ、Lordという命名は、会社の成立から鑑みるに、東京光学が1937年に製作したセミ判のカメラ名が引き継がれたと見るのが妥当に思えます。



Highkor 1:2 f=40mm, OKAYA OPTIC._e0101258_20384725.jpg
シリーズの完成形というべきでしょうか。
ボディ同様にコンパクトでカッコいい純正フードはバヨネット式。
ただ、詰まる所レンズ周囲にはフィルター枠がなく、後にこれでちょっと難儀をするのです。


そんな中で、ともかく私がターゲットとしたのは、『Nカメラ店』で見た<Lord-IVB>、もしくは<Lord-IIA>でした。
Lordシリーズのレンズは全て焦点距離が40mm、シャッターも精工舎で共通であり、カメラとしての基本性能は皆同じといえます。
比較すべきはレンズの明るさと露出計の有無くらいでしょうか。
あっていいことなどない露出計搭載機は真っ先に除外、せめて距離計連動機構は欲しいから...ということで落ち着いた2機種です。
因みに、普通ならII型の次にはIII型があるはずなのに、<Lord-IIA(Highkor40mmF3.5付)>の翌年に登場したのは間違いなく<Lord-IVB(Highkor40mmF2.8付)>で、後にも先にもIIIを付する名のモデルはありません。

目標が定まってから毎日のように某オークションを探りましたが、いやはや、そうそう簡単に「ちゃんと動きそうな」モノには出逢えません。
予測できたとはいえ、出物自体が稀でそもそもが「選ぶ」ような状況ではないのですから。
と、ある日、ほぼ日課となった“見回り”でHighkor40mmF2付の<Lord-5D>というのに出会しました。
<Lord-5D>にはノーマークでしたが、露出計はなしです。
何よりも私の主力レンズというべき40mmF2が付いているではないですか。
しかも、出物にはどうやら純正フードが付いている模様です。
これが決め手となり、相応の覚悟でもって入札に臨んだところ、とても満足できる結果を得ることができました。
Highkor 1:2 f=40mm, OKAYA OPTIC._e0101258_20383353.jpg
個性的で凝った裏蓋開閉レバー。
ところが、この個体は収納時に引っ掛かりがなく、ぶらぶらしたままでした。
幸い、ちょっと工夫をしたらいい具合に治りました。
窪みにあるバーが、かの有名なフィルムカッター機構。
頭を引き下ろすと(フィルムボックス内では)上から刃が降りてフィルムを切る仕組みです。
ま、今となっては不要どころか、甚だ危険なモノでしかないでしょうね。
フィルム取り出しの際、頭を不用意に引き下ろさないようテープなどで固定した方が賢明です。


さて、数日後にやってきた<Lord-5D>はメッキ劣化が所々に見受けられたものの、作動は良好、肝心のレンズもほぼパーフェクト。
ちょっとした不都合があったボディ底部の裏蓋開閉レバーの収納具合も、少しの工夫で解決。
ファインダーの簡単な清掃で実用機になってくれたようです。
決め手となった専用フードがまたスマートでおしゃれですらあります。
「さぁ、フィルターを付けたらフィルム入れて撮りに持ち出せるな」と、既に「愛機」を手にする気持になっておりました。
Highkor 1:2 f=40mm, OKAYA OPTIC._e0101258_20382015.jpg
端正な中に洒落っ気があり、とてもカッコいいと思います。
フィルム巻上げとシャッターチャージはダブルストロークにて。
完了でレリーズボタンが迫り出すギミックは何故か嬉しいものです。

Commented by harada at 2013-10-19 00:33 x
こんばんは。
 フィルムを切る仕組みがあるという事ですが、どういう理由なのでしょうか。
 カメラ内で切断してどうしようというのでしょうか?
 カメラを暗室に持ち込んで、撮影途中のフィルムを切断して、巻き取りスプールからズルズルと引き出すという事?ですかね。
 他のカメラにも、このようなカッターが付いているのですか?
Commented by yy2828yy at 2013-10-19 08:33
haradaさん、
理由は...私も実感はないのですが...以前、仰っていたモノクロ主流時代のカメラということに尽きるのではないでしょうか。
フィルムも「パトローネ入を購入」が必ずしも当り前ではなかったのでしょう。
もちろん、途中でカットしても暗室か暗箱が必要ですが、そうしても早く現像したい...非デジタル時代の力技といいましょうか。
そんな中でフィルムを無駄にしないという感覚がいいですね。
今となってはこんな物騒な機構と思いますが、さほど多くの機種に搭載されたものではないようですよ。
Commented by harada at 2013-10-19 20:27 x
 質問攻めになつて申し訳ございません。

 フィルムを切断して現像とは、よほどの写真好き設計者というわけですね。
 この機能を重宝した人がいるのか、気になりますが。
 古いカメラにはもっと他に、知らない仕掛けがあるかもしれませんね。
Commented by yy2828yy at 2013-10-20 09:51
haradaさん、
今回の初撮りでは試す機会がなかったのですが、このカメラには「多重露光機能」も付いていますよ。
Commented by harada at 2013-10-20 11:32 x
 多重露出! 創作意欲をかきたてる言葉です。
 
 リバースボタンを押しながら(OMはひねりながらですね)シャッターチャージをするという、裏技的な事をせずとも、多重露出ができるなんて、中版カメラのようで、ホンカクテキですね、これは。
Commented by yy2828yy at 2013-10-22 00:18
haradaさん、
OMではキチンとできなかった多重露光、ほとんどすることなどないのに、妙に引け目を感じておりました。
また機会があればLordでの多重露光をやってみたいと思います。
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by yy2828yy | 2013-10-18 21:19 | Film | Comments(6)