ブシュロン、シャネル、ランバン、セイコーウォッチ……。銀座ではハイブランドの新規出店が相次ぎ、円安とインバウンド需要の急速な回復を背景に、ハイストリートの路面店の平均賃料はコロナ前を上回る水準となっています。

 日経不動産マーケット情報2023年11月号の特集は、毎年恒例となっている「取引される街・銀座」。記事では、直近1年間の主な取引事例や店舗の新規開業を地図と表にまとめています。

 この地図をじっくり眺めると、ハイブランドの出店が相次ぐ一方で、コメ兵やOKURAなどの中古品流通店、スギドラッグ、H&M、ディスカウントスーパーのオーケーなど低価格帯の店舗の出店も盛んなことがわかります。この多様さが、銀座に新たな活気を与えているようです。一方、地図上のハイストリート沿いでは物件の取引は少なく、これまで以上に好立地の物件の売買が成立しにくくなっている状況も見えてきます。銀座の今を、特集でご覧ください。

 店舗賃料には明るさが見えますが、オフィス賃料は伸び悩んでいます。11月号の「成約賃料調査」では、東京・神奈川・大阪のオフィスエリア28カ所の全エリアで、3四半期連続の横ばい状態となりました。渋谷など一部のエリアでは上昇の兆しも出ていますが、IBMや富士通が移転によってそれぞれオフィスを1万坪程度縮小するといった動きもあり、市況全体の回復には時間がかかりそうです。同号の移転ニュースでは、この2社の移転の詳細も伝えています。

 成約賃料調査と同じく四半期に1度実施している「売買事例分析」でも、オフィスの取引は低調。前年同期比マイナスの状態が続いています。一方、ホテル取引は本格回復に向かっています。ホテル系を中心に複数のREITが公募増資と物件の一括取得を実施し、市場を下支えした形となりました。記事では、大型取引やオフィスビルの推定利回りなどをまとめています。市場動向の把握にご活用ください。

 2002年の創刊以来の取引データは「ディールサーチ」で提供中。REITの運用実績データなども収録しています。また、東京都心のオフィスビル3000棟のテナント情報については「オフィスビルデータベース」で、東京都心の大規模オフィスビル開発計画については「これからできる大規模オフィスビル調査データ2023」で提供しています。併せての利用をご検討ください。

編集長 岡 泰子