孔子はさすがだね「過ちて改めざる、是を過ちという」

過去に行った差別的発言が発掘されて現在の仕事やポジションを失うという話が結構続いている。
www.sponichi.co.jp

www.afpbb.com

確かにそういう発言はして良いものではないが謝罪して、改めているならば受け入れるというのもあって良いと思う。孔子曰く、「過ちて改めざる、是を過ちという」。

その良い事例があったのでメモ。

エントリーの発端

以下のツイート読んで、そんな人がいるのかと調べてみたら感動的なまでの勉強ぶりだった。


大河内氏が稲田議員秘書になる際のエントリー

議員辞職のご報告 ~ 感謝と御礼 | 大河内茂太オフィシャルサイト

この度の議員辞職の理由は以下の通りです。

LGBT関連の失言を切っ掛けに、二年前、自民党政務調査会性的指向・性自認に関する特命委員会にオブザーバー参加させていただいて以来、自分の声が直接国政に反映されていくダイナミズムに触れ、日本におけるLGBT理解増進の1ページを紡ぐ瞬間に立ち会えることに喜びを感じ、やりがいをもって取り組んで参りました。

しかしながら、未だ自民党内でのLGBTへの理解は十分に進まず、理解増進法の実現は難航しています。

このような状況において、自分自身が主体となって国政で力を尽くしたい、たとえ今は議員秘書という間接的な立場ではあっても、なんとしても国政に携わりたいと強く思うに至りました。

これからお仕えする稲田朋美衆議院議員は上記性的指向・性自認に関する特命委員会を立ち上げてくださったご縁とご恩のある方です。

上記のLGBT関連の失言(2015年6月)

matome.naver.jp

大河内氏の発言への非難
emajapan.org

レズビアンやゲイなどの性的少数者(LGBT)の支援施策を検討している兵庫県宝塚市議会で、自民党の大河内茂太議員が6月24日に本会議において、「(支援条例が制定され)宝塚に同性愛者が集まり、HIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出る」と発言したのに対し、別の議員が「不適切」と取り消しを求め、議事が中断したと報道されています。

EMA日本は、こうした性的少数者への無知と誤解に基づく差別的発言を強く非難します。

発言についての謝罪および取り消し


私から申し出た質問内容の一部取消が、本日(29日)の本会議で正式に確定しました。

取り消したのは、HIVの感染経路に関する本年4月8日付の朝日新聞の記事を紹介している部分、及び報道されているように「条令ができた場合、『同性愛者が集まり、HIV感染の中心になったらどうするんだ』という議論も市民から起こると思う」という趣旨の発言部分です。

先日の議会運営委員会終了後、マスメディアを通して正式に謝罪いたしましたが、ここでも改めて謝意を表します。

心からお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

平成27年6月29日   大河内茂太

その後の大河内氏の取り組み(本人のブログより)

  • 2015年7月:謝罪はしたけど認識は変わっていない感じ
  • 2015年9月:第一回LGBT勉強会(同性婚に慎重な立場からのLGBT支援勉強会)を開催
  • 2015年9月:、および性的マイノリティ関連のレクチャーを複数受ける
  • 2015年10月:ゲイタウン訪問、ゲイコミュニティにおいけるHIV予防啓発活動の勉強
  • 2015年11月:第二回LGBT勉強会(保守の立場から学ぶLGBT勉強会)開催
  • 2015年11月:ブラジルでのエイズ当事者運動の第一人者であるジョゼ・アラウージョ・リマ・フィーリョ氏の講演会聴講
  • 2016年02月:自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」で講演
  • 2016年03月:宝塚市のLGBTパートナーシップ制度への懸念表明。2015å¹´7月のエントリーと比べるとかなり違う認識を持っているように読める。
  • 2016年4月:「性的少数者・特命委員会を終えての所感」
  • 2016年05月:発達障害支援に関する活動の報告。2015å¹´12月の市議会でも発達障害支援について質問した旨が2016å¹´1月のエントリーに書いてある。
  • 2016年06月:レインボーパレードに稲田朋美氏と参加したことの報告。これに到った裏側はこちらとこちらにある。繁内幸治氏の反省から学んだ大河内氏失言対応から生まれた結果。まさに多様性の重要さが分かる事例。
  • 2016年07月:能町さんの記事の紹介。
  • 2016年09月:FinS Japan Pride Award 2016での繁内幸治氏の受賞スピーチの紹介
  • 2016年10月:カラフル連絡網勉強会・交流会の報告
  • 2016年11月:朝日新聞の記事の紹介
  • 2017年07月:レインボーパレード参加の報告
  • 2017年09月:公益財団法人「人権教育啓発推進センター」でLGBT関連図書と取組みの充実を申し入れ
  • 2017年12月:「女性問題と性的マイノリティ」をテーマとしたシンポジウムへの参加報告
  • 2018年02月:「HIV・エイズの現状」についての勉強会の報告

大河内氏の保守向け(主に自民党支持者向け)のLGBTに関する説明

人口の5%前後がLGBTの当事者というわけで、ご家族を含めてどなたの周りにも隠れた当事者が何人かはいる計算です。LGBTの課題解消には与党自民党の理解が必須ですが、未だに誤解が解消されていない状況です。

誤解の第一は「LGBTが趣味や嗜好の問題だ」というものです。LGBTは生得的なもので、後天的な趣味や嗜好ではありません。

第二にLGBTへの理解が進んでも、(そのことを原因としては)「少子化」は進みません。また万が一、同性婚が認められたと仮定しても、(そのことを原因としては)「少子化」は進みません。なぜなら、(バイセクシュアルを除いて)LG(B)Tが子供を産む可能性は「そもそも」ほぼないからです。同性婚を制度化している欧米の統計でも実証されています。

第三にLGBTは現に存在する「実在」であり、思想的・観念的に性差を否定する左派的「ジェンダーフリー」とは異なります。この点、保守派の一部がシャルル・フーリエからマルクス・エンゲルス・レーニンに至る家族解体思想を警戒するのは理解できますが、LGBTの問題を一括して共産主義的策謀と考えるのは間違いです。むしろ一部の革 新勢力がLGBTを利用していることこそを警戒すべきだと思います。

第四に自民党が施策の主体である限り「同性婚」や「過度な支援」には否定的です。
私は保守派の仲間向けには「LGBTの皆さんも等しく天皇陛下の大御宝である」ことを訴えて理解を求めています。
(「LGBT自民足踏み」~最近の新聞記事からより)

繁内幸治氏の取り組み

そんな中、去年(2015年)の4月に宝塚市議会議員の大河内茂太さんが、議会で不適切な発言をしたことを覚えてらっしゃいますか?

実はその前の年(2014年)にも、自民党の兵庫県議会議員がひどい発言をしたことがあったんです。

その時、私はたまたま神戸を留守にしていました。その間に、当該県議に対して当事者始めいろいろな方からの非難が集中してしまい、県議本人が心を閉ざしてしまうという最悪の事態になってしまいました。私が神戸に戻ってから県議ご本人に電話をかけても、
「そんなこと言っても、どうせあんたも他の人と一緒やろ、もうええわ!」
と切られてしまったんです。
これは自民党に行かないとどうしようもないと思って、初めて自民党兵庫県連の幹事長にお会いして、
「できるだけソフトランディングさせたいんで、幹事長からご本人に説明して欲しい」
とお願いしたんです。そしたら幹事長も「わかった」ということで電話してくれたにも関わらず、ご本人は、「もういい」と言って幹事長の話すら聞こうとしなかったんですね。
攻撃した人たちは、思いが強すぎて結局、県議ご本人を追いやってしまったわけです。
議員は次の選挙で落選してしまいました。おそらくご本人の中では憎しみが残っているだろうと思われます。
私は、地元に根ざしたNGOは、地域に対して責任があると考えているので、この件は今でも宿題だと捉えています。憎しみの連鎖や固定化が起きないようにしたいのです。彼もLGBTのことでは対応が極めてまずかったけれども、他の部分ではいいところもあるようにも思っています。
で、先の大河内さんの発言があった後、当日の夕方、大阪の旧知の弁護士から連絡をもらったんです。

「今日、宝塚の市議会で自民党の議員が問題発言をしている。明日の神戸新聞の朝刊に載るようだ。去年の県議のようにならないよう早く動いて欲しい」と。
神戸新聞朝刊の主要な記事は、日付の変わる0時にインターネットで先行して流れますので、「それを確認したら大河内さんに連絡します」と、知人の弁護士には伝えました。
で、0時にニュースがアップされたのを確認してから、面識のない大河内議員にfacebook経由で連絡させてもらったら、すぐにご返信頂いたので、私の考えを丁寧に説明したんです。
「私は神戸のNGOの代表です。今後あなたに対する当事者団体等から様々な非難が起こるでしょうが、私は決してあなただけを一方的に非難しない。今回の発言の真意を聞かせていただき、これからどういう風に解決していけるのか一緒に考えたい」
とお伝えしました。すると2日後には、BASE KOBEの事務所に大河内議員がいらしてくれたんです。
お会いしたら分かりますよ、大河内さんが差別主義者じゃないことは。
初対面で約3時間お話しして分かったのは、大河内さんの発言は誤った一方的な情報を基にした不適切なものであって、根底に差別意識はないだろう、ということでした。
それならば、彼を差別主義者として当事者団体等が追い込んでしまうのは誤りであって、地元の当事者団体の代表でもある私がこの人と向き合って、彼が抱えているモヤモヤとしたものをきちんと勉強してもらうことで整理してもらい、願わくば理解者になってほしいと考えたのです。
それから彼に対してはずーっとレクチャーし続けたんです。面談や電話を合わせて1000時間くらいでしょうか。交わしたメールも膨大な数です。お忙しい中で、本当によくお付き合いいただけたと思いますよ。
(自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会の真実を直撃。 その1「なぜ自民党が特命委員会を立ち上げたのか?」 | Letibee Lifeより)