TwitterやFacebook、LINEなどで事故や災害に関する情報発信をするときの私的ガイドライン

柔らかい版

事故や災害現場にいたときには
  • 写真や動画を撮る前に、安全だと確認できるところまで逃げる
  • 知り合いと一緒にいたならば、知り合いを連れて逃げる。知り合いが逃げないならば放っておく
  • 安全な場所まで逃げた上で、ちゃんと対応してくれる人(その施設の職員、警察など)に事故や災害について知らせる
  • ちゃんと対応してくれる人に報告した後に、どうしてもこれは知らせないとと思ったら「いつ」「どこで」「何が」「どうなったのか」を明確にして情報発信する。自分の考えや予想は付け加えないようにする
友達や知り合いから事故や災害情報を受け取ったら
  • 事故・災害現場付近にいる場合には、まずは安全だと確認できるところまで逃げる
  • もうすぐ、事故・災害現場付近に到着するならば、一度、移動を止める
  • 今が安全な状態ならば、新聞社のWebサイト、TV局のWebサイト、事故・災害現場の公式Webサイトを確認する
  • 知り合いや友達にも「絶対に」伝えた方が良いと思った場合は、「みんな」ではなく、一人一人に連絡する
    • Twitterならダイレクトメッセージ、Facebookならメッセージ、LINEならば伝えたい「あの人」だけとトークする
    • 「一応」知らせておいた方が良いぐらいなら連絡はしない
ネットで事故や災害情報を見かけたら
  • 友達や知り合いから事故や災害情報を受け取ったときと同じようにする
  • ただし、友達や知り合いよりも信用できないので、絶対に「みんな」には伝えないこと

硬い版

事故や災害の情報を発信するときのガイドライン
  • 自分および一緒に行動している人の身の安全を守る
  • 可能ならば周囲の人(自分が直接見ている人)の安全も守る
  • 災害や事故に直面したときのの情報発信(一次情報の発信)は上記の安全確保ができているならば行う
  • 一次情報の伝達は不特定多数の「誰か」に宛てては行わない。混乱による新たな人災を生み出す原因になる
  • どうしても心配ならば、自分のことを良く知っている「あの人」に二次情報であると断った上で伝える
事故や災害の情報を受信するときのガイドライン
  • 情報の内容が緊急でかつ深刻である場合は、真偽に関わらず、自分および一緒に行動している人の身の安全ができる限り保たれるように行動する(参考: 韓国地下鉄火災事件における「多数派同調バイアス」と「正常性バイアス」)
  • 情報の真偽確認の余裕がありそうならば、一次情報(当事者が発信した情報)か二次情報(伝聞)なのかを検討し、他の一次情報源(新聞サイト、TVサイト、当該施設の公式Webサイトなど)を確認する。
    • なお、当該施設に電話で問い合わせなどはしないようにする
    • 緊急事態が起きている場合は、緊急事態の解決にリソースを割いてもらうべきため(電話などの同期通信は人的リソースを消費する)
    • 一次情報であったとしても、人は見間違い・勘違いをするものであるということ良く理解すること
  • 「たくさんの人が同じことを言っている」というのはSNS(Twitter、Facebook、LINE)などでは意味ない判断基準。SNSは二次情報やn次情報(知り合いの知り合いの・・・知り合いが言っていたんだけど)を短時間で大量に広める機能がある
  • 二次情報を不特定多数の「誰か」に向けて発信し続けている人を信用しないこと。理由は、その人は無責任であるか、情報発信について何も考えていないため
未確定の事故や災害情報が急速に広まることで発生する直接的な被害
  • 問い合わせ対応のために安全確保・救済のために必要な人的資源を消費してしまう
    • 現場で動ける人が対面あるいは電話による説明のために別のことができなくなる
    • 100人に1人だけが電話で問い合わせをするとしても、10,000人に情報が広まったら100人が一斉に電話をかけてくる。
  • 当該現場・施設およびその周囲での通信回線の圧迫
    • 電話回線が事故や災害の確認のために埋められてしまう
    • 事故や災害から直接的な被害を受けない人たちも安否確認や情報確認で携帯電話を使うため、本当に携帯電話を使用すべき人たちが使えなくなってしまう(地震のときの心得を思い出すこと!)
  • テロリスト、愉快犯の狙いどおりになってしまう

われわれがこれほど悲劇をリツイートしたがるのは、人を気にかけ、同情を感じ、何か役に立ちたいと思うわれわれの本質によるのかもしれない。しかし、悲報を速く増幅しすぎると、それ自身がリスクを引き起こす。
〜中略〜
テロリストにとって主目的に一つは注目を集めることであり、ソーシャルメディアはそれを提供する。彼らの起こした破壊と悲痛を無限にリツイートすることが、実は彼らの攻撃をより効果的にしているかもしれない。
〜中略〜
1対多のメディアだと情報が広がるすぎる時は、プライベート・メッセージングを使うべきだ。全員に恐怖を押しつける必要はない。
(jp.techcrunch:人はなぜ止めどなく悲劇をリツイートするのか?より)

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