2470cfd9m0084354321日本原子力研究開発機構は2025年3月13日、ウランの化学的な性質を利用した蓄電池を世界で初めて開発し、充放電の性能を確認したと発表した。現在、ウランを使った蓄電池システムの特許を出願中という。写真は原子力研究開発機構NXR開発センターの大内和希・研究副主幹 参照記事
tm1636144_03134_2_w490 今回研究チームが開発したウラン蓄電池は、負極にウラン、正極に鉄を活物質として採用した「レドックスフロー電池」。電解液には有機溶媒とイオン液体(陽イオンと陰イオンで構成する100℃未満で液体の塩)を混合したものを使った。これまで提唱されていた概念では、鉄は使われていなかったが、鉄を使うことで正極の電解液を安定化でき、電圧の向上も見込まれたという。試作したウラン蓄電池の起電力は1.3Vで、一般的なアルカリ乾電池(1.5V)と近い値になった。また、充電と放電を10回繰り返しても蓄電池の性能はほとんど変化せず、負極と正極ともに電解液中に析出物はなかった。このことから、ウラン蓄電池では安定して充電と放電を繰り返せる可能性を示した。
ウラン235は原子力発電の燃料に使われるが、ウラン鉱石にウラン235は0.7%程度しか含まれていない。そのため燃料製造時には、ウラン235の含有率を3~5%まで高める「濃縮」が必要となる。その際、副産物として天然ウランよりもウラン235の含有率が低い「劣化ウラン」が発生する。

 劣化ウランは現状、原子炉(軽水炉)の燃料には使用できず「燃えないウラン」と呼ばれている。日本国内には1万6000トンの劣化ウランがあるが、現状では利用用途がなく有効活用を探る研究が進んでいた。その一つとして、ウランを活物質に使う蓄電池の開発が行われてきたが、これまで蓄電池としての性能は報告が上がっていなかった。

国内に保有する劣化ウランを蓄電池として実用化・社会実装に至れば、メガソーラー等、再生可能エネルギーでつくった大量の電気を蓄える用途などで、需給調整機能の役割を担うことが期待できる。劣化ウランが出す放射線は弱く、人体への影響は比較的小さいとされる。ただ、蓄電池の設置場所は現状、原子力発電所の構内や燃料の加工施設などに限られる。参照記事 過去ブログ:2025年1月フィンランドのスタートアップと量子コンピュータ>日本が難題突破



nappi11 at 00:01│Comments(0)

コメントする

名前
メール
URL
絵文字

ライブドアブログでは広告のパーソナライズや効果測定のためクッキー(cookie)を使用しています。
このバナーを閉じるか閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます。
また、お客様は当社パートナー企業における所定の手続きにより、クッキーの使用を管理することもできます。
詳細はライブドア利用規約をご確認ください。