PBMでビデオゲームをプレイしてあげるサービス

ゲーム会後の雑談より、二人の対話形式にして再構成。(実際は二人ではないし、もっと馬鹿な話をかわるがわるしているし、誰かが聞き役になっているわけでもない。)

「GTAとかって、人によっては何が面白いのかわかんないじゃない。楽しみ方にコツが必要っていうか」
「放置されすぎって意味で?」
「いや、プレイヤーの映画経験が問われてるみたいなところが」
「不法行為をはたらいてハイウェイ逆走とかして警官に包囲されてれば、それでいんじゃないの」
「そういう光景を見て笑ってる自分がいるでしょ。主人公にとってはバッドな経験でも、プレイヤーは笑えてるってところがポイントっぽい。そういうの面白いって感じるのもさ、<世界まる見え>とかの映像を見た経験があって、それっぽい何かを知ってるからで」
「あー」
「ゲームが面白いというよりか、<やってる俺が反応してる姿込みでいとおしい>みたいなところあるんじゃないかなー。ラブプラスとかもそういうもんだと」
「GTAとラブプラスが同じて」
「パッケージだけじゃなくて、パッケージが触媒になって誘発されるオレのリアクション込みでコンテンツみたいな」

「人生の貴重な時間をなんでドブに捨てるんだよ、って感じだな、ラブプラスは」
「Twitterでときどき流れる<僕の考えたラブプラス>を読むのがそうとう面白い。触媒ですよやっぱあれは」
「そういうのさ、時間がアレなら、人が代わりにやってあげるっていうのはどう。要所要所で、プレイした報告はしてくれる」
「おー?」
「ラブプラスじゃなくても何でもいいけど」
「メールとかで進捗報告して、次どっちにしますか、って選択肢を出してくれるといいよね」
「<今から3hくらいレベル上げに行くんスけど、経験値重視にしますか、素材入手重視にしますか>みたいな感じ。細部は適当に。」
「ドラクエのA.I.みたいな」
「で、その結果起きたことを、要約して返してくると」
「<井戸の中にいた奴といろいろありましたけど、装備一つ上のにして勝ちました。3時間くらいかかったかな>くらいの大雑把さで」
「で<いい感じなんでそのままつづけて>とか指示を出す」
「ゲームしたい人はゲームして金貰えるわけよね、これ」
「きたね」
「売れるねこれは」
「あらゆるものをテキストアドベンチャーにできるよな」
「てかPBMだこれ」

「時間が無くて金ある奴と、金なくて時間ある奴を橋渡しするサービスは当たると思うんだよ」
「それ儲かるのは仲立ちに立つ奴だけじゃないの」
「そだなー。やるとしたら、攻略本とか作ってる会社じゃない?」
「それかもう、ゲーム制作側がそこまでパッケージにするとか」
「ゲームの内部情報がかなりわかってるんだったら、作り置きの文面自動配信とかでもいいんじゃない」
「自分の選択の結果が返ってくることが重要だから、ユーザー一人にスタッフ一人が張り付かないと難しいかも」
「1対1か。ペイしないな」
「付加価値がないとだなー」
「スタッフにランクがあって、金を払えば面白そうな奴が雇えるってのはどう。ゲームばっかやってるフリーター、アホっぽい大学生専門学校生とかからはじまって、作家志望まで」
「あー、報告の文章に色が付くのか」

「ていうかさ、それ女の子にやらせればいんじゃないの?」
「それは何か別の……」
「しかもあれだよ、<オレの好きなゲームを女の子にやらせて感想を言わせる>っていう、オタにとってのファンタジーを金で解決できるわけだよ……!」
「ファンタジーて、それは既にやったゲームをやらせてニヤニヤするのがファンタジーであって、今言ってるPBMは、好きかどうかまだきまってない状態のゲームをやらせるんだろ?」
「あ、そうか」
「あと、どこまで素かとか、本当に女なのかとか、そのあたりが争点になるかも」
「まぁ本当に女の子が中に入ってやっても、継続参加させるためのマニュアルはあるだろなー」
「チャットレディー的な引っ張るノウハウだな」
「最初は<今日は2レベル上げました。指示通り、装備をひとつ上げて、隣の村まで行ってみました>みたいな、事務的な報告だったのが、だんだんうち解けて<今日は晴れたので、ベランダのプランターのハーブに水をやりました>とか、私的なことも書いてくれるようになる……みたいな感じで気を持たせる」
「でもあくまで、こっちからの会話のインターフェイスは<[1]経験値重視 [2]材料重視 [0]今日は休んでいいよ>みたいなのしかできなくて」
「そんな貧弱な語彙で…」
「いや、その語彙はやっぱりさ…ねぇ?」
「アイテム課金で買わせるべきだよな」