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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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ある詩集

今日の一つの出会い。

いつも行っている図書館に,リサイクル資料として,誰でも
もって帰っていい本が並べられている。
たいていは,古くなって使えないものや,ぼろぼろのもの。

一冊だけ,きれいな背表紙に目がとまった。

  金良植 詩集
   『かささぎの啼く村』 (花神社)

手にとってみれば,まだきれいで,後ろを見たら,たった一人しか
この本を借りた痕跡がない。

この本,わたしを待っていてくれたのかしらん・・・
なんて,あるはずもないけれど,誰も取ってくれなかった
その本が妙にいとおしく,家に持ち帰ってきた。

キムさんは1931年生まれの詩人。女性。
1931年といったら,満州事変の起こった年だ。
戦争を通ってきた人ということになる。

彼女の詩は多様だ。
怒りや怨の気持ちが語られているもの。
何かを願うもの。

この詩集には,「シャガールの絵」と題して3編の詩がのっている。

    詩   Poeme

 リズムに合わせて踊りましょう
 バイオリンを奏でましょう

 あなたの唇が宙に舞い
 半月になって空にかかっています

 古い灰色の村を飛びまわり
 雨が降ったら黒い傘をさしましょう
 あなたもいれてあげましょうか

 豊かな私の乳房をほしがるあなた
 路上のカフェ エッフェル塔の近く
 豚も十字架もイエスさまも
 まったく関係ないもの

 ただ私の詩を吟じてくれる人ならば
 眼が二つでもかまわない
 眼が三つでもかまわない
 顔が逆さまにくっついていてもいいのです
 ただ在るがままでいいのです

 腐って崩れてしまった十字架の前で
 ぜんまいの緩んだ時計塔の前で
 セーヌ川の橋の下 深い水の中に
 じゃぼんととびこんでしまってかまわない
 ただただあなたが好きだから


こんな柔らかいことば。
感じることば。

シャガールの絵は本物を見たことはないけれど,好きでもあり
なんだか不得手でもあったりする。
感情豊かな絵だ。

朝鮮半島で書かれた詩。
闘いの詩ばっかり目に付いてしまっていた。
こんなやさしい詩が,なんだかうれしい。
by KATEK | 2008-01-23 20:02