2024.01.01

「たつ年」あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。

ブログも1年ぶりの更新になってしまいました。

ここ数年、仕事自体は順調にすすめているものの、私の生き方の根幹にかかわって思い悩む要素が根深くあり、どこで何を決断するのか、難しい状況が続いています。

2024年は、たつ年。

行動に立つ、不正を絶つ、時が経つなど、さまざまな「たつ」と向きあう年になります。

今の仕事も、2月下旬で25年の節目を迎えます。具体的なことは言えませんが、大きな選択をするかもしれません。

今、ハラスメントなど人権侵害がさまざまな分野で明らかになっています。

私もその対策の専門家の一人として、できることをやりきる決意です。

今年もよろしくお願いします。

2023.01.01

卯年、あけましておめでとうございます

新年、あけましておめでとうございます。

1975年生まれの私は、年男(年男、年女という性別表記もどうかと思うようになりましたが)となりました。

就職したのも24年前の卯年。

節目を迎えました。

ここ数年、特に昨年は何度も退職を考え、別の道を進むことも選択肢に入れてきましたが、なんとか続けることができています。

昨年末には、ハラスメント防止の相談や体制支援、研修などをすすめていく専門の認定試験に合格しました。資格取得者として認定される3月からは、今の仕事のなかで資格を前に出しながら活動する機会も増えそうです。

子どものころからコツコツとがんばることが苦手で、さらに視野も狭い私ですが、変わっていく必要性を感じています。

器用ではありませんが、結果として一兎も得られないとしても、二兎を追いかけることにチャレンジしていきたいと決意しています。

最近はほとんど更新していなかったブログも、時々書くつもりです。

今年もよろしくお願いいたします。

2022.12.24

ハラスメント防止にむけて 講義を踏まえて認定試験を受けました

久しぶりの更新になります。

セクハラやパワハラなど、ハラスメントが社会問題になり、連日のように関連する報道が続いています。

芸能界や自衛隊など、今まで声をあげにくかった分野でも、勇気をもって告発する動きが広がっています。

私の所属する労働組合にも、保育や介護などの福祉現場でパワハラなどに悩んでいる職員から、相談が寄せられています。

私も電話やメールで相談に応じることがあります。

そのようななかで、公益財団法人21世紀職業財団のハラスメント防止コンサルタント認定試験を11月に受けました。

21世紀職業財団のこちらのページで試験の紹介がされています。
https://www.jiwe.or.jp/harassment/consultant

ハラスメント防止教育や事案解決の支援ができる人材を育成する講座が開設され、試験に合格するとハラスメント防止コンサルタントとして認定・登録されます。

9月中旬に講師レジュメが届きました。ほかに3冊のテキストと、分厚い判例集2冊をもとに、9月下旬から1カ月間、4テーマで計13時間の養成講座をオンデマンドで受講しました。

9月から11月は業務が多忙で、まとめて勉強に充てたい土日に会議などが入ることも多く、計画づくりに苦労しました。

そのなかでも、基礎知識だけでなく、カウンセリングとメンタルヘルス、裁判例の解説など、この講座でしか学べないことを深めることができました。

11月中旬に都内の会場で、択一式60問、記述式2問の試験が行われました。

12月23日の合格発表で、めでたくハラスメント防止コンサルタントに合格しました。

主には、社会保険労務士や企業の人事労務担当者などが受講・受験しているようです。合格された方は、ハラスメント問題の専門家として、社内の相談対応、企業の体制整備や事案解決の支援、研修講師などで活躍されているということです。

毎年1回で、第14回となった今回は、受験者341人に、合格者は77人、合格率22.6%という難関でした。

試験内容は難しすぎて、不合格だと思って、周囲にもその旨を話していました。

職場の協力、これまでの相談対応の経験・知識などと今回の受講があわさって、何とか合格できました。

来年は、学習会などでお話をさせていただく機会も増えそうです。

私にできることをやっていきたいと考えています。

2022.07.03

「女子アナという職業はない、アナウンサーという職業があるだけ」という言葉と過去を踏まえてジェンダー平等を考えあいたい

元TBSアナウンサーの吉川美代子さんが日刊スポーツ2022年7月3日付「日曜日のヒロイン」に登場した。

全部は下記URLで読むことができる。

https://www.nikkansports.com/entertainment/column/sundayhero/news/202207030000396.html  

入社8年目の1984年10月に夕方のニュース番組に抜擢された当時の経過や葛藤も語られている。

 

当時は1986年に男女雇用機会均等法が施行される前だ。

 

TBS社員時代にアナウンススクールの講師や校長を務め、田中みな実さんや江藤愛さんも教え子だという。

 

14年に定年退職して、現在はフリーの立場でコメンテーターなどとしてテレビ番組にも出演中だ。
記事中では「女子アナという職業はない、アナウンサーという職業があるだけ」と厳しく指摘している。

 

夕方のニュース番組を4年間担当して今産休に入っている女性アナウンサーについて、

 

「すごく優秀なのに、産休で離れると、なかなか報道番組に戻れない。スポーツで頑張ってた高畑百合子も産休に入ったけど、ちゃんと元に戻してほしい。産休は今の時代は当たり前。時代は変わっているんです。セクAhらが冗談でもダメになったように、産休が終わったら無条件で元の番組に復帰させないとダメ」と厳しく注文をつけている。

 

男女雇用機会均等法が施行され、36年が経過した。
私も以前から、女性のアナウンサーの労働条件に関心を持ってきた。

 

テレビ局に所属していたアナウンサーでは、山村美智子さん(1980年・フジテレビ)や寺田理恵子さん(1984年・フジテレビ)は、均等法前の世代で、契約社員として入社している。

 

長野智子さんは、均等法施行前でも、1985年の法成立を先取りして、同年に正社員として採用されている。寺田理恵子さんらも同年から正社員になっている。

 

また、70年代までテレビ局などの女性社員が30歳停年制などに置かれていたことを知る人は、今は少数になっている。

 

民放労連女性協議会の私たちの40年のページをみると、
https://www.minpororen.jp/women/history/index.html

 

労働組合として30歳などの定年制廃止を求めて、会社への要求や裁判に立ち上がって是正させてきたことがわかる。

 

今、参議院選挙の投票日まであと数日を残すのみとなっている。

 

政策にジェンダー平等を掲げる政党・候補者も増えている。政党によって差があるが、女性の候補者も増えてきた。

 

これからをどうするかはもちろん大事だが、過去はどうだったのか、振り返ってから考えることを大切にしたい。

 

2022.06.04

赤、青、黄、緑、桃、ジェンダーという壁を振り返ってみる

1975年生まれの私は、小学生の頃、再放送が繰り返されていたゴレンジャーに影響されました。

赤、青、黄、緑、桃の5人のレンジャーのなかで、キレンジャーはカレー好きの面白キャラ、青と緑はかっこよくて人気があり、赤はリーダーシップの魅力がありました。

でも、リーダーの赤が一番人気かと言えばそうではなく、赤色は当時の男子の中に一定の抵抗のある色なので、青や緑の方が好きという男子も多かったです。

それでも、アカレンジャーも人気があり、男子が赤を選ぶようになったことに貢献したはずです。

青色や緑色は男子、赤色や桃色は女子という色分けが、文字通り色濃く残っていた中で、変わっていく一つのきっかけになったと思っています。

その後、私のまわりで起きた変化は80年代後半になるでしょうか。

ミキハウスの服を子どもに着せるブームがあり、赤と紺の色が入った服を小さい子どもに着せて「かわいい」と喜ぶおとなの姿が増えていきました。男の子に着せるケースも目立って、これが赤を男子が着てもいいという決定的な変化につながったのではないでしょうか。

さまざまなジェンダーが指摘され、多様性を認め合う社会を求める動きが広がってきています。

一人ひとりが身近な過去を振り返って、変化を語っていくことが今求められているのではないでしょうか。

2022.05.22

11人の教師が関与し53件のパワハラが認定された北海道立高等看護学院の闇を追ったテレメンタリー「やっぱり、看護師になりたかった...」

テレビ朝日系のドキュメンタリー番組「テレメンタリー」で、5月17日(この日はテレビ朝日、放送日程は地方局によって異なる)に「やっぱり、看護師になりたかった…」が放送されました。

 

北海道立の高等看護学院で長期にわたって続いた多くの教員によるパワハラ指導。

 

これによって、看護の道を絶たれた学生が多くいます。

 

病気になったり、休学したり、自殺に追い込まれたり。

 

少なくとも11人の教師が関与し、53件ものパワハラが認定されました。

 

パワハラと認定されなかったケースもあります。その一つ、自殺に追い込まれた学生の母親は「悔しいし、この学校に行かなかったらこんなことにはならなかったのにという思いしか残らなかった」と、思いを語っています。

 

用事があっても聞いてくれない、質問しても「自分で考えろ」、考えて持って行っても「やり直し」などと...。

 

どうしていいかわからないのは当然で、これが教育、指導でしょうか。

 

この学校に限らず、さまざまな教育機関や職場、組織において、教育・指導のあり方と実践を見直し、権利侵害を問い、確認しあえる体制や問題を通報できるしくみも必要です。

 

問題を追い続けてきたHTB北海道テレビが制作したこの番組、公式動画の視聴ができます。ぜひご覧ください。

 

【公式動画】テレメンタリー「やっぱり、看護師になりたかった…」(テレビ朝日2022.5.17放送 制作:HTB北海道テレビ)24分44秒
https://youtu.be/gtZkdug-g20

 

 

2022.05.05

少子化で揺らぐ保育園 保育士などを増やせる政策を

今日は、こどもの日。

 

15歳未満のこどもは、1982年以降41年連続して減少し、少子化に歯止めがかかっていません。

 

5月2日には、読売新聞オンラインで、

 

保育施設を人口減が直撃、5割超が維持に懸念
https://toyokeizai.net/articles/-/586601 と報じられました。

 

昨年11~12月に、認可保育所などに実施した調査によれば、

 

『人口減少の影響で、施設の運営の維持が難しくなるかどうか聞いたところ、12・2%が「現在影響が生じている」、55・7%が「今後影響が生じる可能性がある」と回答した』

 

ということです。

 

すでに、0歳児などの定員に空きが出て埋まらないという声が都市部や地方の一部の園で出ています。

 

これを機に、保育園の保育士の配置基準を見直してはどうでしょうか。

 

国は、保育士配置の最低基準として、保育士1人に対して、0歳児は3人、1・2歳児は6人、4・5歳児は30人などと定めています。

 

実際には、これでは子どもの安全が守られないため、園として上回る保育士を雇用して配置しています。

 

そのため、1人あたりの人件費が下がり、手厚い保育をしている園ほど賃金水準が低くなる構造になっています。

 

これらを見直して、保育園に通う子どもの数が今のままでも保育士を増やせるようにする、子どもの人数が少し減っても保育士を減らさずに配置できるようにする。

 

そうなれば、子どもの成長・発達の保障、保護者への細やかな支援ができ、持ち帰りなどの温床になっている保育士の事務仕事も時間内に保障できるようになるはずです。

 

その場合、保育士を手厚く配置できることで何ができているか、行政だけでなく保護者や社会にむけて報告していく責任を果たしていく必要があります。

 

少子化によって、保育園も保育士も減らすという流れではなく、もう1つの道があると考えます。

 

また、保育園の給食をつくっている栄養士や調理員なども、ギリギリの体制になっている園が大半だと思います。

 

特に栄養士は休暇が取りづらいという声を聞きます。

 

アレルギー児や外国にルーツのある子どもへの対応、子どものクッキング体験など、給食室の職員も一定のゆとりを持つことで、今以上の支援ができるようになるのではないでしょうか。

 

子どもが少なくなるなかで、何を大切にしていくか、子どもにとって社会の入り口となっている保育園への施策をどうしていくのか、私たちに問われています。

 

2022.04.23

もし自分の職場でハラスメントが起きたら… 映画「ある職場」

3月に、映画「ある職場」を鑑賞しました。

映画「ある職場」公式サイト
https://arushokuba.com/

職場で起きたセクハラをめぐって、保養先を訪れた人たちがやりとりを重ねるなかで、人間関係が揺らぎます。

ハラスメントについてのとらえ方、ジェンダーなどについて、さまざまなズレが浮き彫りになり、変化が続きます。

ここ数年、さまざまな分野・職場でのハラスメントが社会問題になっています。

もし自分の職場で起きたら何ができるか。

この映画の展開に、そう考えずにはいられませんでした。

監督がキャストに設定を伝えたものの、実際のセリフは出演者に任されたという珍しい作品です。

4月16日から29日まで、東京・ポレポレ東中野https://pole2.co.jp/でアンコール上映されています。

上映館が広がることと、ハラスメントをなかったことにしない職場が当たり前になることを願いつつ、みなさんに鑑賞をお勧めします。

2022.04.16

就職したばかりだけど、職場がおかしいので退職したいという人へ

4月も半分が過ぎました。

 

3月に学校を卒業して、4月から新しい職場でがんばり始めた人も多いですね。

 

ただ、入職してみたら、休憩が取れない、不払い残業がある、パワハラがあるなどの問題に直面する場合もあります。

 

不安で誰に相談していいかわからない、仮に相談できる人がいても、相談された側もどうしていいかわからないという状況も…。

 

退職したい場合、どうしたらいいのでしょうか。

 

期間の定めのない雇用(無期雇用)による労働者側の退職は、民法という法律で、原則として2週間前に通知すればいいことになっています。

 

宮城労働局の資料でも示されています
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/library/miyagi-roudoukyoku/window/img/kiso_04.pdf
ただし、冒頭に示したように、休憩が取れない、不払い残業があるなどの場合は、違ってきます。

 

雇用契約書などの労働契約と実際の労働条件が異なる場合は、契約違反ですので、労働基準法15条により即時解除が可能となります。2週間前などの要件は必要ありません。

 

☆彡☆彡☆彡
労働基準法(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
☆彡☆彡☆彡

 

労働基準法の15条3項によれば、就職のために引っ越して、契約解除をしてから2週間以内に帰京する場合は、かかった旅費を請求すれば、法人の負担が義務となります。

 

そもそも、休憩が取れない、不払い残業があるなどは契約違反でもありますが、法律違反ですよね。

 

また、休憩は取れるし、不払い残業はないけど、パワハラがあるので退職したいというケースもありますね。

 

平均的な感覚から見てこれはおかしいと思える暴言などのパワハラがある場合は、使用者(事業所)として安全配慮義務(労働契約法第5条)を果たしていないと主張ができ、これも労働契約の即時解除が可能性が高いと言えます。

 

☆彡☆彡☆彡
労働契約法(労働者の安全への配慮)
第5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
☆彡☆彡☆彡

 

でも、新卒で就職した場合は、退職の経験がないわけですから、退職の手続きをどうしたらいいか、わかりませんよね。

 

「退職届」というタイトルで、上記の理由をもって退職する旨を記載し、職場・法人の責任者に提出すれば、それで十分です。受け取れない・受け取らないということは許されません。職場に行けない場合は、郵便局で配達証明の手続きをとって郵送すれば、相手に届いたことが証明できますので、送った・届いてないなどになりません。

 

「退職願」を出す人もいますが、願いは相手の許可がいるという解釈ができるので、「退職届」にしましょう。

 

今年3月に始まったマクドナルドのテレビCMで、部下(木村拓哉)が退職願を上司(段田安則)に渡そうとしているのに、上司はごまかして受け取らず、食事に誘うという場面があります。あれが「退職届」であれば、受け取らないことは許されません。

 

短期での退職は、のちの経歴に響くのではないかという心配をする人もいます。契約内容や法律を守らない職場で無理して続けるよりも、がんばれる土壌のある職場を探すほうがいいのではと思います。

 

 

2022.04.10

2022年4月パワハラ対策義務化 指導に大切な視点を考えあいたい

パワハラが社会問題になっています。

 

象徴的には、芸能やスポーツ、政治、官庁などでの出来事が報じられ、衝撃をもって受け止められています。

 

消防や自衛隊、役所など、公務員の処分の報道も相次いでいます。

 

保育園での管理職によるパワハラで、大量離職につながったケースも出ています。

 

私の所属する労働組合にも、保育園の職員などからパワハラ相談が多く寄せられています。

 

長時間叱責される、必要がないのに人前で叱責される、以前のミスを持ち出される、人格を否定される、聞いても答えてもらえないなど、精神的な攻撃が多いのが特徴です。

 

2022年4月、パワハラ防止法が全面施行され、法人の規模にかかわらず、パワハラ防止にむけた法人・事業所の方針の明確化、就業規則等への規定整備、相談窓口の設置などが義務化されました。

 

しかし、義務化にもとづく対策がおこなわれていない職場もまだまだあります。

 

厚生労働省は特設サイト「あかるい職場応援団」で、規定の整備にかかわる資料の提供や指導の改善にむけた動画の配信などをおこなっています。

 

厚生労働省 特設サイト「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

 

ただ、このサイトだけでは指導のあり方を見直す視点がわかりにくいと感じています。

 

ここ数年、私はパワハラ防止にかかわる研修を積極的に受講してきました。また、パワハラにかかわる労働相談も電話などで受けてきました。

 

研修内容や寄せられる相談事例からも、パワハラにならず、指導を効果的なものにするには、育成、改善、目的、配慮が必要だととらえています。

 

 

自分の感情を優先しないで、短所とともに長所にも気づいてもらう育成の視点、

 

抽象的でなく具体的な改善点を示して事後のフォローもおこなう改善の視点、

 

何のために指導をしているのか明確にする目的の視点、

 

人前での叱責は避ける配慮の視点、

 

この4つの視点を、職場で共有できているでしょうか。

 

これらを踏まえない指導では、うまくいかないのではないでしょうか。

 

一方で、若い職員が「指導を受けた」⇒「自分のやったことが否定されて傷ついた=パワハラだ」という受けとめも広がっています。

 

上記の4つの視点を踏まえつつ、人格を否定せずに行為に対する指導は徹底する必要があり、その指導はパワハラではないことを明確に打ち出すことも重要です。

 

パワハラは、被害を訴えている人の受けとめだけでなく、平均的な感じ方の人がどう感じるかという点が基準になります。

 

4月を迎え、多くの職員が新しい仕事に向かい、その職員たちへの指導が始まっています。

 

パワハラとは何か、指導で大切にする視点は何か、パワハラ防止対策の義務化を踏まえて、形式的なルールだけでなく、定期的に進捗や課題を話し合える体制をつくることが求められています。何のためにパワハラをなくしていくのか、指導を改善していくのかということも大切にしていきたいですね。

2017.04.01

ドラマ『逃げ恥』と『ダンダリン』のセリフが保育園の職員に何を問いかけているか~「やりがい搾取」を許さずに自分たちの手でよりよいものに変えていくという選択肢とは

昨年10月から放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。DVDが3月下旬に発売されたことで、ふたたび話題となっている。
 
このドラマは、「恋ダンス」だけでなく社会を風刺する展開で人気となったが、私は特に第10話での「やりがい搾取」の反響に注目した。
 
商店主たちの集まりに参加することになった主人公・森山みくりは、活性化にむけたイベントを提案すると、店主たちはそのアイディアに賛同しつつ無償の手伝いを要求する。
 
みくりは、彼らを引きつけた上で、こう力説した。
「いいですか、みなさん。人の善意につけこんで、労働力をタダで使おうとする。それは搾取です。例えば、友達だから、勉強になるから、これもあなたもためだからなどと言って正当な賃金を払わない。やりがい搾取を見過ごしてはいけません。断固として反対します」
やりがい搾取とは、

「金銭による報酬の代わりに“やりがい”という報酬を強く意識させられることで、賃金抑制が常態化したり、無償の長時間労働が奨励されたりする働きすぎの組織風土に取り込まれ、自覚のないまま労働を搾取されている状態」
https://jinjibu.jp/keyword/detl/816/
をいう。
 
このような働かせられ方の広がりに対し、ドラマは警鐘を鳴らし、ツイッターなどでも反響が大きく広がった。
 
「やりがい」「成長」といった言葉をえさにして、賃金の抑制や長時間労働を強いる。いわゆる「ブラック企業」だけでなく、いま保育士不足が社会問題になっている保育園も同様の傾向がある。業界としてこのような状態に置かれていると言っていい。
 
最低の基準として国が示している職員数と保障している人件費財源が少ないため、賃金は低く、休憩・休暇がとりづらい。持ち帰り残業なども横行している。構造として、保育園の職員に「やりがい搾取」を強いているのは、政治だということも言える。
 
この春、姫路市の「こども園」をめぐるニュースが連日報道されているが、15分前出勤をしないと罰金、残業代はナシ、退職をさせないなど、裏契約・違法労働も明らかになり、労働基準監督署も調査に入った。
 
ここまでひどくはないとしても、政治による「やりがい搾取」とあわせて、経営者が日常的に支配・監視しやすい環境のもとで、閉鎖的で違法なワンマン運営がさらに園の職員たちを追いつめているケースも少なくない。ワンマン運営とまでは言えなくても、労働法令を守ることができていないことに問題意識を持たない経営者もいる。
 
保育園の職員に対して、森山みくりが上記のセリフをこのように少し変えて問いかけたとしたら、どうだろうか。
 
「いいですか、みなさん。人の善意につけこんで、労働力をタダで使おうとする。それは搾取です。例えば、子どもたちのためだから、みんなやってるから、これもあなたもためだからなどと言って正当な賃金を払わない。やりがい搾取を見過ごしてはいけません。断固として反対します」
 
2013年10月から放送された日本テレビ『ダンダリン 労働基準監督官』は、各回で日本の象徴的な労働問題を取り上げ、竹内結子さん演じる労働基準監督官・段田凛が問題の本質と法的根拠を示し、解決していった。
 
第8話では、実質的に経営者が強制している研修について、自由参加とは言えず、業務・労働として賃金を支払う義務があることを明らかにした(脚本で参考にしたのは居酒屋「和民」のケースと思われる)。
問題を解決したうえで、監督官・段田凛は、こう言った。
「会社が嫌なら辞めればいいじゃないか、よく簡単にそういうことを言う人がいます。あるいは、我慢するか会社を辞めるか、会社員にはその二通りの選択肢しかないとおっしゃる方もいます。でもそれは間違いです。本当は、3つ目の選択肢があるんです。それは、言うべきことは言い、自分たちの会社を自分たちの手でよりよいものに変えていくという選択肢です」。
続けて、
 「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」
という労働基準法第1条も引用された。
 
ドラマの展開はここまでだったが、その3つ目の選択肢を実際にとっていくのに必要なのは、労働組合に集団的に入ることだ。経営者と対等な立場で協議できる権利をもとに交渉し、職場の改善を迫る。憲法や労働基準法、労働組合法などのルールと、組織が力になる。
 
さらに、経営者に責任を果たさせながら、保育園をめぐる構造としての「やりがい搾取」を許さない立場で、経営者とともに、保護者とともに、社会に理解を得ながら、保育園で働く職員の処遇改善を政治に対していっしょに求めていく。
 
「言うべきことは言い、自分たちの手でよりよいものに変えていく」という選択肢をとっていくことによって、保育士不足の改善にとどまらず、保育者たちを専門職として社会と政治が位置づけ直し、ふさわしい待遇にしていくことができないだろうか。
 
子どもが初めて長時間にわたって過ごす場所で向き合う専門職。プロとしてスキルを磨き合い、集団的にその力を発揮できる体制をつくっていくことが必要だ。保育園で働くみなさんには、労働組合への相談と加入をすすめたい。
 
≪相談先として≫
全国福祉保育労働組合

2017.03.19

保育士の賃金引き上げと増員を

 多くの保育園で卒園式が終わった。その保育園を支える保育士は、賃金が全産業平均に比べて月額で約10万円低く、休憩や休暇も取りづらいことが知られるようになったが、もっとも忙しい時期だ。
 
 子どもといっしょに給食を食べ、休憩中も午睡の安全チェックを続ける傍らで連絡ノートを書き、事務仕事や行事などの準備は持ち帰り仕事などの不払い残業になっているのではないか。退職する職員の多さに、労働実態を心配する保護者も少なくないはずだ。
 政府は来年度から保育園の職員の賃金を来年度から2%改善し、保育士数の3分の1程度の中堅保育士を副主任と位置づけて月4万円を加算するという。そもそも賃金水準が低いなかで、主任や非正規職員とのバランスもあるなか、実際の配分などに矛盾を生まないだろうか。

 忙しすぎる状況を改善し、働き続けられるようにするには増員が欠かせないが、対策として実施されない見通しだ。「働き方改革」と言うが、国の制度にもとづく保育園など福祉職場で実践できなければ、国の説得力はない。

 新年度が目前に迫るなか、求人誌や求人サイトには保育士の募集が目立つ。独自の施策を打つ自治体も増えているが、格差も広がっている。安倍首相は6月に新たな待機児童対策を発表するというが、保育士など保育園を支える職員の大幅な賃金の改善と増員を打ち出すべきではないか。

2015.03.29

保育士不足の背景に丁寧な取材で迫る 

卒園・入園シーズンは、退職・入職シーズンでもあります。

静岡県内の保育士、園長、研究者などに取材を重ね、制度上の問題を解説し背景に迫る記事。

「キャリアを積むよりも、人が入れ替わる方が事実上歓迎されてしまう構造を変えなければならない。保育士が働き続けられる環境整備に向けて、国と県、市町がいかに政策的なバックアップをしていくか」と結びます。

「上」「中」「下」と続き、「上」はYahoo!ニュースで『保育士不足「夢がない」現実』というタイトルでトップ記事にも。

認可保育所が足りずに働きつづけられない状況に異議申し立てをしなければならないほどの「保育園一揆」と、待遇が低く働きつづけられない保育現場の深刻さ。保育園を増設しようにも、保育士が集まらないという矛盾。何が問題で何が必要なのか、考えあいたい春です。

《静岡新聞こちら女性編集室》連載
育む社会へ 保育士不足の背景(上) 待遇の現実(3月26日)
http://www.at-s.com/news/detail/1174180122.html

育む社会へ 保育士不足の背景(中) 制度と実態(3月27日)
http://www.at-s.com/news/detail/1174180489.html

育む社会へ 保育士不足の背景(下) 好循環どう構築(3月28日)
http://www.at-s.com/news/detail/1174180841.html

2015.03.24

「思いました」 つかいすぎてませんか?

~思いました。~思います。~思いました。

というような連続「思いました」表現を象徴的に、人に読まれるものとして推敲したんだろうかと考えさせられることがつづいています。

長さはさまざまでも、年間に100人以上の作文に目を通しますが、そう痛感させられるのです。 なかには内部向けでなく、世の中に出てしまった読み物にその手のものを発見して、がっかりすることも…。

私は学生時代、それもかなり早い段階から当時の先生から、作文はできるだけ「思いました」以外で表現するように諭されました。 「思い」を「思いました」で繰り返していくんじゃなく、本や新聞を読んで、豊かで多彩な言葉を自分で考えて書くようにと。

特に今年に入って手にした発行物に、きちんと推敲したのかな、出す前に誰かに読んでもらったのかな、先輩は何を助言したのかなと「関係性」を心配してしまうものがいくつも。 書き手の年代に関係なく。

福祉関係者は否応なく書く機会が増えています。そこにプロ性も求められています。褒めるだけや放置でもなく、磨きあっていかないと。

「自分の言葉」で書くことが私の業界でも強調されますが、好きにただ書くんじゃなく、まわりに磨かれながら探すのが自分の言葉なのではないのでしょうか。

がんばって伝えようとすることも大事ですが、伝わるように助言も求めて受けながら、謙虚さとおせっかいを忘れずにいたいものです。たとえ、嫌われたとしても。

2015.01.02

節目のなかでの2015年に 「改革」「変化」を問い直す

戦後70年。日本の過去と現在をみつめ、未来を問う。

新聞の新年企画でもそんな記事が目立っています。

今年は戦後70年。また、賃上げや雇用のあり方が問われるなかで春闘60年でもあります。

施行は翌年となりましたが、法律の制定(1985年)でいえば、男女雇用機会均等法から30年。

阪神淡路大震災からは20年。

さまざまな節目を迎えるなか、政治は「憲法改正」を視野の中心に入れていこうとしています。

私も年末には40歳を迎えます。

岐路に立つ年、「改革」「変化」を問い直す1年にしたいと決意しています。

社会にむけても、所属の組織内にむけても、自分自身にむけても。

«あけましておめでとうございます 働き方を問い直す1年に

2024年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

ツイッター

影響されてるよー

注目!