パワハラが社会問題になっています。
象徴的には、芸能やスポーツ、政治、官庁などでの出来事が報じられ、衝撃をもって受け止められています。
消防や自衛隊、役所など、公務員の処分の報道も相次いでいます。
保育園での管理職によるパワハラで、大量離職につながったケースも出ています。
私の所属する労働組合にも、保育園の職員などからパワハラ相談が多く寄せられています。
長時間叱責される、必要がないのに人前で叱責される、以前のミスを持ち出される、人格を否定される、聞いても答えてもらえないなど、精神的な攻撃が多いのが特徴です。
2022年4月、パワハラ防止法が全面施行され、法人の規模にかかわらず、パワハラ防止にむけた法人・事業所の方針の明確化、就業規則等への規定整備、相談窓口の設置などが義務化されました。
しかし、義務化にもとづく対策がおこなわれていない職場もまだまだあります。
厚生労働省は特設サイト「あかるい職場応援団」で、規定の整備にかかわる資料の提供や指導の改善にむけた動画の配信などをおこなっています。
厚生労働省 特設サイト「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
ただ、このサイトだけでは指導のあり方を見直す視点がわかりにくいと感じています。
ここ数年、私はパワハラ防止にかかわる研修を積極的に受講してきました。また、パワハラにかかわる労働相談も電話などで受けてきました。
研修内容や寄せられる相談事例からも、パワハラにならず、指導を効果的なものにするには、育成、改善、目的、配慮が必要だととらえています。
自分の感情を優先しないで、短所とともに長所にも気づいてもらう育成の視点、
抽象的でなく具体的な改善点を示して事後のフォローもおこなう改善の視点、
何のために指導をしているのか明確にする目的の視点、
人前での叱責は避ける配慮の視点、
この4つの視点を、職場で共有できているでしょうか。
これらを踏まえない指導では、うまくいかないのではないでしょうか。
一方で、若い職員が「指導を受けた」⇒「自分のやったことが否定されて傷ついた=パワハラだ」という受けとめも広がっています。
上記の4つの視点を踏まえつつ、人格を否定せずに行為に対する指導は徹底する必要があり、その指導はパワハラではないことを明確に打ち出すことも重要です。
パワハラは、被害を訴えている人の受けとめだけでなく、平均的な感じ方の人がどう感じるかという点が基準になります。
4月を迎え、多くの職員が新しい仕事に向かい、その職員たちへの指導が始まっています。
パワハラとは何か、指導で大切にする視点は何か、パワハラ防止対策の義務化を踏まえて、形式的なルールだけでなく、定期的に進捗や課題を話し合える体制をつくることが求められています。何のためにパワハラをなくしていくのか、指導を改善していくのかということも大切にしていきたいですね。
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