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技術の進歩により再現できた10の失われた歴史上の貴重な資料

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 わたしたちは常に前進している。その過程で、さまざまなものを過去に置いて忘れ去っていく場合もある。人類とはそういうものだが、そうした忘れられてしまったものを取り戻すことができたなら?

 技術の進歩のおかげで、歴史をさらにさかのぼり、過去には本当はどうだったのか、知ることができる時代なのだ。

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1. 世界初のレコーディング

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 最初のレコーディングは、ワックスで作られたレコードで行われていたが、かなり脆くてうまく音が出なかった。ソフトが開発されたことによって、レコードの溝を分析して、レコードを傷つけずにデジタル方式で音を変換することができるようになった。このおかげで、今でもアレクサンダー・グラハム・ベルの生の声も、1860年頃の世界最古の録音も聞くことができる。

This Is Alexander Graham Bell’s Voice

2. 先史時代の音

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 人間の声も音楽も感動的なものだが、人類が存在する以前の音はどんな音だったのだろう?古生物学者たちが、現代のコオロギの祖先であるジュラ紀の Archaboilus musicusの二枚の羽が完全保存されたものを見つけた。

 コオロギは羽をすりあわせて鳴くので、保存されていた羽を分析して、大昔の彼らが奏でたと思われる音を真似ることができるプログラムを作った。1億6500年間沈黙していた鳴き声を聞くことができる。

Archaboilus musicus

3. 古代の音楽

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 録音が可能になる前の音楽とはどんなものだったのだろう? これもちゃんと聴くことができる。古代ギリシャの文献を丹念に調べると、どのように詩歌が歌われていたのか、そのヒントがわかる。歴史家たちは、さまざまな注釈と関連する音の高低や音色を解読する方法を開発している。古代の楽器の作り方がわかり、演奏を完全に再現することができる。

Musica Grega de 2500 Anos

4. 絵画の下絵

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 今も昔も画材は高価だったため、長い間、画家たちは、古い絵の上に絵を描いて、キャンバスをリサイクルして使っていた。モノクロの不鮮明な画像だが、最近はエックス線で下にどんな絵が描かれているのか、のぞき見ることができる。

 画像処理技術はさらに進み、カラーでもこうした下絵を見ることができるようになった。傑作ではないとしても、隠されていたこうした下絵によって、その画家の製作過程の内面を探ることができる。

5. 古代の彫像の本当の色

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 古代ギリシャやローマの彫像は白いというイメージがあるかもしれないが、それは現在、白い彫像を見ているからそう思うのだ。だが、当時はさまざまな色で鮮やかに塗られていたのだ。彫像の表面に残されていた成分を分析して、彫像が本当はどんな色をしていたのか、再現することができた。

Som forvandlet – Antik skulptur i farver / Transformations – Classical sculpture in Colour

6. 戦争で失われた古代アート

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 残念なことに、人間が作った多くの偉業が戦争によって失われている。最近はISがイラクや周辺地域から奪ったかけがえのない古代アートを破壊するという暴挙に出ているし、世界のほかの地域でも、歴史や文化の遺物が失われている。

 しかし、ラッキーなことに、現代の写真習慣がこれに役立っている。失われた建造物のさまざまな写真を何枚も使って、3Dデジタル版を作ることができ、破壊されたもののデジタル博物館が可能となる。3Dプリンターも発達しているため、いつか3次元の”本物”を再建できるかもしれない。

7. 失われた言語

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 言葉というものは急速にすたれていくものだが、言語学者と科学者が、現在使われている言語要素をトレースして、古代言語との共通基語(祖語)を見つけることによって、今は使われなくなった失われた言語をよみがえらせようと取り組んでいる。古代言語の祖語が長い時間をかけて進化して、現在使われている言葉になっているからだ。さらにこの作業が速くできるプログラムを開発して、すでにオーストラリアとインドネシアの7000年前の共通基語を再現することに成功している。

8. 古代の薬(現在でも通用する)

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 科学者が中世の眼感染症の治療法を再発見したニュースを覚えているかもしれない。こうしたことは日常茶飯事で、研究者たちは現代の薬へとよみがえらせようとしている。実際、今日の主要な抗マラリア剤は、古代中国の文献から発見された薬草の処方によって開発された。

9. 初期のインターネット

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 インターネットは古代のものではないが、最初の構成要素は残っていない。古代アートに比べたら重大なことのようには見えないかもしれないが、インターネットや今日の社会機能を理解する上でこれらは必要不可欠なものなのだ。研究者たちは、初期のインターネットを掘り起こし、そのページを復元する方法を開発している。そうすれば、今日のプログラマーたちがそこから学ぶことができる。

10. 古代のビール

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via:viralnova・Translated konohazuku

 人類は酒を愛す。我々は何千年にも渡って酒を造り続けてきた。世界の発掘現場から発見されるさまざまな容器を化学的に分析できるおかげで、古代の醸造に使われた酒の成分がわかる。ブリュワリーのドッグフィッシュ・ヘッドが、科学者とチームを組んで、古代のビールを再現した。一部は一般にも販売されている。この写真のものは、菊の花とハチミツの風味を特徴とした中国のビール。

 技術はわたしたちをより未来に近づけてくれると一般的には考えられているが、過去へも近づけてくれる。わたしたちがどこからここまでやって来たのか学べば、わたしたちがどこへ向かっているのかがわかる助けにもなるのだ。

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この記事へのコメント、42件

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  1. 時空を越えた疑似体験を可能にしてくれる素晴らしい技術だね。
    でも古代ギリシャ彫刻とかは、カラーだと逆に安っぽく見えそう…

  2. ローマ・ギリシャの彫刻が着色されていたのは初耳だな
    しかし、なんか日光の彫像っぽいw
    白がいいよ

    1. ※4
      ギリシアの彫刻や神殿に白いイメージがあるのは
      西洋で起こったギリシア懐古ブームのときに勝手にイメージアップのために
      どぎつい色を落としちゃったりしたからなんだよね。
      有名なのは大英博物館が所蔵のパルテノン神殿彫刻をスポンサーの意向で
      わざわざ色を落とし漂泊して資料的価値を台無しにしちゃった事件とか。

  3. ジュラ紀のコオロギの鳴き声ありがとう!ありがとう!
    一億年以上も前だというのに現代の虫とそう変わらない音で、もうこの時代には鳴いて雌を呼ぶという行為が完全に確立していたことが伺えて面白かった。

    1. ※5
      いやこれは完全再現ではなくあくまで推測でしかないからな。

  4. カンボジアの伝統、文化、技術を復元、甦らせる方法はないのか? 

  5. 奈良の大仏も本当は極彩色でしたっけ?
    現代人の目からするとかえって悪趣味に見えちゃいますが
    あと8の動画は今年のノーベル賞かと思ったら、その前に獲ったラスカー賞でしたか

    1. ※7
      奈良時代のモノは寺や仏像や街並みも全部極彩色。まあ、街並みは貴族の家とかだけだったかもしれんがな。

  6. ジュラ紀のコオロギの音
    いや、だがしかし・・ジュラ紀の原始的な昆虫が現代のように鳴いていただろうか?
    一定のリズムで、一斉に鳴いていたかもしれないし、鳴く時間が決まっていたりなど(ゲンジボタルの発光のように。)・・現代では考えもつかないような事が起こっていたかもしれない。

  7. 酒とか一滴でも無理だわって人たまにいるけど、最初はそういう酒に弱い古代人が甘い果実が自然に発酵してアルコール含んだようなものを食ったんだろうな

    1. ※10
      古代人どころかサルの時代からだよ
      なんなら現代だってリスがサル酒食らって酔っ払ったりする
      初めてナマコを食った奴は何考えてたんだとか
      食った奴みんな死んでるのになぜフグを食おうと思ったんだとか
      現代人の感覚からすれば不思議でしかないけど
      雑食性のサルが虫なんかを食ってたことの延長
      ある日突然食いだしたわけじゃない

  8. ギリシャ彫刻ね…実は大英博物館で金にしか興味のないスポンサー様によって
    「金ダワシで表面を削ってより白く!」なんて暴挙が行われたらしいんですよ
    見ほれるのも良いけど歴史遺産であり貴重な手がかりであることを見失ってはいけないね

  9. アルキメデスの写本の解読とかアンティキテラで発見された機械の再現とか、本で読んでて感動したけど、世界には色んな古代の謎があるよな。
    科学者の鋭意と努力に感謝

  10. ギリシャ彫刻が白く着色されたのはヨーロッパで流行した、ヨーロッパ文化の源流になったローマやギリシャの文化を過剰に持ち上げ、神秘化するロマン主義と関係がありそうだ。

  11. ウミヘビやカレイ、ミノカサゴなど15種類もの擬態をこなすミミックオクトパスが居るけど、中には何の擬態なのか分からないものもあるとか。
    ひょっとしたら絶滅した生物を擬態しているんじゃないかと思うとワクテカするね。

  12. 古代のビールは日本でも、キリンビールが 吉村作治先生と共同で再現していたよね。

  13. 現在の白いギリシア彫刻は、後世の人々がわざわざ色を剥がして白くしてしまった姿。有名なパルテノン神殿も建築時は極彩色の建物でした。現在、表面に残る微量な染料を分析した結果、当時の姿を再現したCG映像が作成されています。

  14. 抗マラリア剤すごいなぁ‥アンティキテラとかもそうだけど
    古代人類の膨大な経験と天才達の技がそのまま受け継がれていたとしたら
    今の人類はどんな次元になっていたんだろう・・・
    大概動乱や戦争でリセットされちゃうんだけどね‥

  15. 曜変天目茶碗は、日本だと二人の陶芸家が再現?してるね。
    一人は焼きによってノーマルに追及
    もう一人は斑点を塗る事で人為的に追及
    後者の方が簡単に出来たけど、
    オリジナルがどうやって作ったかは不明だし
    、前者は中国の原産地から粘土を輸入したりの原点追及だから、技術進歩はあんまり関係ないかもね。
    技術進歩の点があるとすれば、両者はガス窯使ってたから、安定した火力で試行錯誤出来た点ぐらいかな。
    もしガス窯がなかったら、薪選びや窯形状も試行錯誤しないといけなかったと思う。

  16. バッハ以前の中世の音楽を再現するダンスリーって団体が居て
    坂本龍一とコラボして1982年辺りに「エンドオブエイジア」という
    (何曲か坂本の曲を演奏しているためその曲からのタイトルが入っている)
    アルバムを出していて、これがまた結構いいのよ。
    レコード持ってたのに行方不明で私は悲しい。

  17. 古代の彫像の本当の色はなんかガッカリしてしまった…
    白い彫像に見慣れ過ぎたせいなんだろうな

    1. >>29
      どうやらヤツらは我々と本気でことをかまえるつもりらしいな・・・・

  18. 古代の音楽って確かに気になってたんだよね 
    あくまで再現だろうけどこんな感じの曲聴いてたんだなーってのがイメージできたよ

  19. 彫像復元は、兵馬俑の復元もそうだったけどなんでかマットで色が浅いんだよねw; 
    せっかく大理石使ってるのにマットにしたのかなぁ?て疑問がある
    7のオーストラリアとインドネシアの共通言語
    日本も他人事じゃないよね、語源の解明できない単語や外国語と似た言葉の手掛かりになるかも知れんね

  20. 忘れられた知恵ってほんとうは一杯あるのかもしれないね。古いものは遅れてるとか現代より劣っているに違いないとかいう固定観念で否定しちゃうのはもったいない。

    1. ※34
      ニスみたいなつや出し剤がなく
      思った色の絵の具作ること自体がものすごい難しい時代だからな
      現代人と色彩の美的感覚が違っててもおかしくない

  21. 古代ギリシャの音楽はパピルスに書かれた楽譜らしきもの復元したんだっけか
    たしかCD出てたような気がする

  22. もしかして、初期のインターネッツがwwwだと思っていますか?
    原文からそうなのね。がっかり。

  23. 前にテレビ番組で平安時代や日本人の喋り方を再現したテープが流れてたけど、平安時代の喋り方は現代とは似て非なるものって感じだった。
    平安人からすると現代人はめちゃくちゃ早口らしい。

  24. 古代ギリシャ音楽は、グレゴリオ・パニアグア率いるアトリウム・ムジケーだね
    復元した水力オルガンの音とか聞けるよ
    こんなところで出くわすとは思わなんだ

  25. 多くの人はネット資産に割と無頓着で、今でこそWEBアーカイブがあるから残ってたりするけど、20年前以上になると残ってないサイトも結構ある。
    当時の政府の自粛要請で閉鎖してしまった専門サイトとかは是非とも復活してほしい。

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