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HOME   »   内部被曝  »  異常・奇形・適応 ― チェルノブイリと福島の放射能と野生生物
       
20140722-2.jpg
突然変異した福島県のタンポポ (撮影 ティモシー・ムソー)

今、福島では、原子力マフィアや政府に影響されない野生生物の放射能の調査研究が進められています。
ここから、人間のやや遠い未来が見えてきます。


国際的な草の根コラボによる福島の放射能の影響調査

[チェルノブイリ+福島リサーチ・イニシアティブ]は、米国サウス・カロライナ州コロンビアのサウス・カロライナ大学が中心とな り、2000年にウクライナ、2005年にベラルーシ、2011年7月には福島で正式な調査活動を開始しました。

現在までに、チェルノブイリで30回以上、福島では10回に及ぶ現地調査を行ってきました。

この研究チームの中心的人物、ティモシー・ムソー博士から元国連職員で国連アドバイザーである松村昭雄氏に、研究チームの概要についての報告が届きました。

これまでのムソー博士の研究結果は驚くべきものですが、まったく意外というわけではありません。

ムソー博士は、そこでこう述べています。
「チェルノブイリと福島の汚染地域で、生物多様性と個体数の低下の原因と考えられる、数多くの発達異常と奇形が実例である。
従って、これらの結果は、国連チェルノブイリ・フォーラムと国連科学委員会による、根拠に乏しい楽観的な報告とは、全く対照的である。引き続き、調査を行うべき…」と。

松村昭雄氏のブログ「FINDING THE MISSING LINK」には、ティモシー・ムソー博士からの概要報告の日本語訳が掲載されていますが、論文調なので、ここでは読みやすいように多少、表現を変えている箇所があります。
松村氏には事後承諾をいただきます。

異常・奇形・適応 ― チェルノブイリと福島 放射能と野生生物に関する新研究から

まず、ムソー博士が中心となってチェルノブイリと福島の両方で調査活動を行っている「チェルノブイリ+福島リサーチ・イニシアティブ」が発表した主な研究結果は以下の通りである。

• チェルノブイリの高濃度汚染地域で、鳥類、哺乳類、昆虫類、クモ、それぞれの種(多様性)において、著しく個体群サイズが縮小し、個体数が減少している。

• 高濃度汚染地域に生息する鳥類、小型哺乳類の多くが、生存期間が短くなり、繁殖力が低下している。

• 福島では、事故直後の夏に、鳥類、チョウ類、セミ類のみが著しい減少を示した。
他の種について悪影響は見られなかったが、引き続き、個体数の変化を追跡している。 

• 放射性核種の影響は、種によってかなりのばらつきがある。
影響を受けていない種は少数である。
中には、チェルノブイリ、福島の高濃度汚染地域で、個体数が増加したと見られる種もある。
これは、生存競争からの解放(食べ物や棲み処を得られやすくなった)、捕食動物の減少、放射能への適応が推測される。

• 種の多くは、急性被曝による遺伝子損傷の徴候を示している。
この点について、福島とチェルノブイリに差異が見られるのは、種によっては、遺伝子の変異が蓄積し、数世代を経た後に異常として表れるからだと考えられる。

• 被曝による遺伝子の損傷が見あたらない個体や種もある。
また、電離放射線に対する防護作用を持つと考えられる抗酸化物質を活発に生成して、放射能への進化的適応を見せた種も存在する。

• 鳥類の中で、放射能の影響によって個体数が減少する傾向の強い種は、自然史的に見て、被曝以外の理由でも突然変異率が上昇しやすい。原因は、DNA修復能力や酸化ストレスへの防御力の低下が関連していると考えられる。

• チェルノブイリの放射線被曝の影響として、自然個体群に、白内障、腫瘍の罹患率の上昇、奇形、精子の異常、不妊、白化の増加が見られる。

• 鳥類、げっ歯類脳容積の減少から明らかなように、神経発達が阻害されており、その結果、鳥類には認知能力や生存能力への影響が見られる。

•2013年に福島で、鳥類に発達異常の初期徴候が認められたが、鳥類、げっ歯類について、有意な遺伝子損傷の発生は報告されていない。

• 高線量地域における、樹木の生長と土壌微生物の分解活動もまた低下している。

以上の調査結果は、個体、個体群、生態系といった自然を構成する諸要素への原発事故の影響をはっきりと映し出している。

チェルノブイリと福島の汚染地域 で、生物多様性と個体数の低下の原因と考えられる、数多くの発達異常と奇形が実例である。

従って、これらの結果は、国連チェルノブイリ・フォーラムと国連科学委員会による、根拠に乏しい楽観的な報告とは、全く対照的である。

生物の個体、個体群が放射能汚染の危機に対してどのように適応していくのか、その経時変化を見定めていくだけでなく、人が再び住めるようになってからも研究、調査を継続していく必要がある。

ティモシー・ムソー博士は、この調査研究の方針について、次のように説明しています。

20140722-6.jpg
福島の現地で日本人研究者たちと

研究方針について:

[チェルノブイリ+福島リサーチ・イニシアティブ(CFRI)]は、米国サウス・カロライナ州コロンビアのサウス・カロライナ大学が中心となり、 2000年にウクライナ、2005年にベラルーシ、2011年7月には福島で正式な調査活動を開始した。

現在までに、チェルノブイリで30回以上、福島で10回に及ぶ現地調査を行った。

チェルノブイリと福島、いずれの原発事故でも大量の放射性物質が放出された。

常風による放射性物質の拡散で、チェルノブイリでは約200,000k㎡、福島では約15,000k㎡の範囲が高濃度に汚染された。

どちらの地域も、放射性物質の広がりは均一ではなく、放射線量の「高」と「低」の地域が微細なモザイク状に点在していた。

このツギハギ細工のような放射線量の分布状況をもとに、生体システムへの遺伝的、生態的、進化的影響について、調査を繰り返 し、ある程度まで細密に探ることが可能だ。

そして、そこから科学的に精度の高い検証結果が得られる。

ともすれば、制限された不自然な環境条件になりがちな実験室での研究や旧来の実地調査では成し得ない。

この点は、重要だ。
原発事故が生物に及ぼした影響の究明に、放射能汚染物質と環境要因の相関関係が重要な手がかりとなり得るからだ。

このように、放射能汚染の影響は本来、環境を構成する諸要素を尺度に研究すべきである。

一方、人間集団に関する研究だけは制約が多いため、放射能汚染の長期的影響を把握しようにも、限界が生じる。

サウス・カロライナ大学のチェルノブイリ+福島リサーチ・イニシアティブは、現在のところ、自由生息する自然個体群への環境面と健康面の影響につい て、幅広い専門分野から調査している、最初にして唯一の研究グループである。そのため、急性(短期的)被曝と慢性(長期的、複数世代にわたる)被曝の両方 を調査していくことが可能だ。

[チェルノブイリ+福島リサーチ・イニシアティブ(CFRI)]はまた、現在、チェルノブイリと福島の両地域を対象に調査を行っている唯一の研究チームである。

学術研究資金は主に、
・サミュエル・フリーマン・チャリティー基金、
・フランス国立科学研究センター、
・アメリカ国立科学財団、
・ナショナル・ジオグラ フィック協会

からの提供である。

次いで、
・北大西洋条約機構(NATO)、
・アメリカ民生研究開発財団(CRDF)、
・アメリカ国立衛生研究所(NIH)、
・アゲン社(本社・ドイツ)、
・フルブライト記念財団、
・サウス・カロライナ大学研究事務局、ならびに教養学部、
・フィンランド・アカデミー、
個人寄付によって支えられる。

これまでのところ、過去7年間を中心に、[リサーチ・イニシアティブ]の研究から60以上の学術論文が発表されている
http://cricket.biol.sc.eduから閲覧可能)。

20140722-7.jpg

そして、これらの研究が、『ニューヨーク・タイムズ』、『エコノミスト』、『ハーパーズ』、BBC、CNN、PBSニュース・アワーといった沢山の新聞やテレビで大きく報道された。

研究チームは、チェルノブイリと福島の原発事故による慢性的低線量被曝の影響を健康面と環境面から解明すべく、生態学、遺伝学、線量測定技術を率先して駆使してきた。

また、鳥類、哺乳類、昆虫類の自然個体群の生態調査を反復的に行って、個体数を調べ、個体群統計学から影響を解析した。

例えば、DNA 塩基配列と遺伝毒性試験から、野生で暮らす個体への短期的、長期的な遺伝障害を調べる。

また、野生動物に小型線量計を取り付け、放射性物質による鳥類、哺乳類への全身負荷を野外測定し、自然条件下で生きる動物が内部、外部被曝で受けた放射線量の正確な推定値を得る。

最近では更に、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたウクライナの住民(特に子供)を対象とした、疫学、および遺伝学研究にも乗り出した。

研究の主な結果が、2013年から2014年に発表された。

その中で、チェルノブイリの高線量地域に生息する鳥類から、腫瘍、白内障、精子の異常の発見、そして福島では、生物多様性への影響が報告されている。

また、興味深い事例として、鳥類の中に、体内の抗酸化物質量を変化させて、放射能に対する抵抗力をつけた可能性のある種が新たに発見、報告された。

しかし、高濃度汚染地域に棲む鳥のオスの多くは、無精子症である。

最近では、チェルノブイリ、福島の両地域で、小型哺乳類の神経発達への影響も認められた。

チェルノブイリと福島では、事故後の経過年数が異なる。

放射性核種の放出量と種類についても違いがあるが、検出される主な核種は、両地域とも、セシウム137である。

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チェルノブイリ周辺で見つけたアオジ

博士のプロジェクトは、野生動物集団における被曝量と遺伝子損傷の新しい測定を福島で行って行く予定。今後の方針については、松村氏のブログ、FINDING THE MISSING LINKを読んでください。

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「歩く鳥」、「酔いどれ熊」、そして人間は・・・異常な事件、交通事故の多発



上:「何故か次々に削除されるらしいのでUPしました。」とは、制作者の弁。



こうした歩く鳥は、山奥に行くと、たまに遭遇します。3.11前からのことです。
ただし、この鳥は、明かに平衡感覚を失っています。こうした動きをする鳥は見たことがない。

その他、たくさんの報告が、ネット上に挙げられています。

山に異常が起きていることは事実で、2011年から2012年にかけては、本州のツキノワグマが線路に出てよたよた歩いていたり、道路上を歩いたり、と数々のクマの異変が報道されていました。

私は、意図せずとも野生動物と関わることがあるので、2年以上前に「野生動物の脳神経細胞が破壊されている」ことを確信を持って記事にしています。
ティモシー・ムソー博士は、福島の現地調査の結果、「小型哺乳類の神経発達への影響」を確認したということです。

20140722-8.jpg
ひょこひょこ近づいてくるカモシカ(管理人撮影 3.11前)

今では、異常な行動を示す動物の動画が次々と消されます。それは自民党の安倍晋三の狂気政権になってからのことです。

チェルノブイリ原発事故後、人間の脳神経のセシウム被曝が大きな問題となりました。
ティモシー・ムソー博士は、こう述べています。

放射能事故とその他の環境中の放射能が、人間集団に与える長期的影響の予測を立てる上で必要不可欠であるのに、このままでは、将来、日本への居住、渡航についての危険度を評価しても、高い信頼性は得られないでしょう。

博士は、何を言っているのでしょう。
東京オリンピックは、このままではできない、と言っているのです。

日本には、3.11直後からの神経細胞へのセシウム被曝を疑っている医師たちがいます。
そして、それを認めつつありますが、しっかりしたデータがないという理由で表ざたにはなっていません。
彼らにとって、研究費がカットされることは死活問題だからです。

これは、安倍晋三内閣の犯罪閣僚たちを、この国から完全駆除しなければ、今後はもっと締め付けがきつくなるでしょう。

しかし、わずかですが、そうした医師たちのに中からも使命感に目覚めつつある医師が少しずつ出てきました。
それを書くことができる日は近いかもしれません。






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