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電力の代替計画のないまま2009年に閉鎖されたリトアニアのイグナリナ原子力発電所。
電力を輸入に頼ることを余儀なくされたお陰で電気料金が上昇。
国民から、次の原発を待ち望む声がますます強くなっている。

この記事は止まらない日本の原発輸出-ベトナム、ヨルダンへの続きです。
海外から情報提供いただきました。

原発の安全性の方針は国が決める前に、原発メーカーが決めている

ここで取り上げる記事は、昨年の11月にワシントン・ポストに掲載されたものです。

ワシントン・ポストは、(記事が掲載された去年11月の時点では)福島第一原発人災事故が収束する見通しすら立っていないのに、日本の政府や企業が新たな原子炉の海外輸出に力を入れているのは、どう考えても、まともではない、とやんわり批判しています。

その反面、世界の“エネルギーにハングリーな国々”が、福島原発事故後も原発を渇望していることに理解を示しています。

福島原発の原子炉は、3月12日の1号機の水素爆発に続いて、次々と連鎖的に水素爆発や核爆発を繰り返しました。

なんと、その数週間後には、原発メーカーの日立の“お偉いさん方”は、リトアニアなど、日本が原発を輸出しようと交渉段階に入っていた国々に飛んでいって、営業攻勢をかけていたというのですから、開いた口がふさがりません。

本当に北半球が終ってしまうかもしれないカタストロフィーが起こっていたのに、その最中、日立の幹部連中は国の後押しを受けて、日本の原発の安全性(国とマスコミによって作られた神話に過ぎないのに)についての信頼性を維持しようと、必死に相手国の要人に説明したり、原発の必要性を説いていたというのです。

国として、日本の今後の原発の方針が固まっていないにもかかわらず、海外に対しては、積極的に営業攻勢を掛ける…。
そして、それを国が奨励する…。
3月12日から、数週間しか経っていないというのに。

誰が?
経済産業省と財界です。

2011年8月30日。野田が新しい首相に就任してからは原発推進路線まっしぐら。
野田の原発輸出企業への特別な肩入れは、ワシントン・ポストも皮肉るほど。

政府は国内向けには、「今後の原子力政策のあり方を…」などと言いながら、外国には、とにかく売り込み一辺倒なのです。
「原発には法律や、その他のルールなどカンケーねぇ」のでしょう。

日本の政府と原発メーカーは、世界の恥です。彼らには精神鑑定を受けさせ、幽閉しないと危険です。

まさにエコノミック・アニマルならぬ、原発アニマルです。
アニマルは、もともと檻の中で飼うものです。


(ワシントン・ポストの記事)
日本は、国内で原子力政策について討論の最中なのに、原子炉の輸出については是認し薦めている
Japan endorses reactor exports even as it debates nuclear policy at home
By Chico Harlan  2011年11月16日

20120202-1.jpg
写真:3号機/ワシントン・ポストから

国内の欲求の赴くまま、日本の核技術企業は、福島第一原発事故直後にもかかわらず、外国の政府が、彼らに対する信頼と(原発技術に対する)安全性を信頼してくれることを期待して、ますます海外の市場に目を向けています。

国内から批判が沸き起こっているにもかかわらず、野田佳彦首相は、日本の核技術企業が、ベトナム、ヨルダン、そしてリトアニアのような国々と取り引きを結ぼうとしていることに合わせて、ここまで原発コングロマリットの支援要請に応えているのです。

野田は先月(2011年10月)、ベトナムグエン・タン・ズン首相と会いました。

エネルギーにハングリーなベトナムは、日本から二基の原子炉を輸入することを決めていますが、その二基の原発建設費用の支払いに、低金利のローンが使えるように申し出たのです。

こうした核の輸出を支持するものの、原子力の信頼性に対する疑問が浮かび上がる中で、海岸沿いに建造された54基もの原子炉が日本列島を取り囲んでいることに、日本は矛盾を感じているのです。

大多数の日本人は、原子力がもはや安全ではないと言っています。

しかし、日本の政府は、福島第一原発災害から学ぶところがあるので、少なくとも、日本の核技術は、これからも世界でもっとも安全だと言い張っているのです。

日本政府のスタンスは、特に東芝、日立、三菱重工業のような重厚長大型産業の強力な役割を、さらに強化することです。

こうした企業の持つ技術は、スパッタリング経済(原発のお陰で活気付いている周辺分野)にも何十億ドルもの金を注ぐ結果となっています。

日本政府が、福島第一原発事故の公式な調査(建前では、原発の新しい安全指針につなげるための調査)をまだ終えていないにも関わらず、こうした核コングロマリット企業群は、(政府の調査結果が出る前に)すでに自分たちで新しい安全性基準を作っており、それを強調することによって、一刻も早く取引を完結させたいと思っているのです。

福島第一原発の原子炉建造に関与したのは東芝と日立だけでしたが、この数ヶ月は、(三菱重工業を含めて)この三社が日本の技術における安全性の世界規格として動いてきたのです。

日立の役員たちは、福島第一原発事故のせいで、いくつかの取引を失ったと言います。
また、東電がパートナーとして組んだ東芝は、トルコの原発建設の入札から手を引きました。

しかし、こうした核技術企業は、「後退」は、せいぜい一時的なものだと考えているのです。

3月11日の震災が起きる前まで、東芝は、2030年までに海外に38基の原子炉を建設する計画を描いていました。

福島の核危機が起こって後、日立原子力システムの最高経営責任者、羽生正治は、
「目標を達成するのは、少し遅れるかもしれませんが、会社としては、その目標を低めに変更したりすることはない」と語っています。

日本の企業は、(福島の核危機の後も)世界の多くが、まだ原子力を欲していることをあらためて知りました。

ドイツは、2022年までに原子力発電所を段階的になくすことを決定しており、イタリアは、新規原発の建設に反対する意思を表明しましたが、アジアと中東諸国では、まだ大きな核プロジェクトの計画が進行中です。

唯一、中国だけが、25基ほどの原子炉を建設中です。

「福島原発事故が、我々の交渉を脅かすことにはならないでしょう。
エネルギーの安全保障、および二酸化炭素排出という点では、原発には、まだまだ大きな要求があると思っています」と、羽生正治は言っています。

日立は、福島原発事故が起きてから数週間以内に、ペンディングとなっていた取引が“生きている”ことを知らせるために、世界中に幹部を派遣しました。

日立は、特にリトアニアをターゲットにしています。

リトアニアは旧ソ連時代の原発を2009年に閉鎖しました。
それ以来、電力を輸入に頼っており、電気料金は跳ね上がっています。

リトアニア政府は、現代の標準レベル以上の福島第一原発の旧式なモデルよりもっとパワフルな1300メガワットの原子炉を求めていました。

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管理人:

日立は、昨年暮れに、とうとうリトアニアと原発建設の合意に漕ぎ着けました。

ベトナムとは、交渉をすで終了しており、実施段階に入っています。

続いて砂漠のヨルダン…、そしてアフリカのケニア。

菅直人政権のときは、経済産業省と三大原発メーカーを始めとする原子力ムラは、彼らの独自ルートや外務省のルートを通じて、国民にばれないように原発輸出交渉を進めていたのです。

当然、新聞、テレビなどの大マスコミは知っていたはずです。
しかし、ほとんど報道しませんでした。

一方では、菅直人が党内からの「辞めろコール」を浴び、海江田の後に経済産業相になった鉢呂が言葉狩りをされて、マスコミによって辞任に追い込まれていたのです。

国内では「福島の子供に年間20ミリシーベルトの被曝」を強要しながら。

そして野田佳彦、民主党の内部政党・「CSIS財閥党」の党首が政権トップの座に就いてからは、あからさまに原発輸出を進めたのです。

だから、上司の言うことを良くきく細野が、突然、大規模除染などと言いだしたり、国がストレステストもしないのに再稼動をさせようとしたり、当の住民が帰りたくないといっているにもかかわらず、各自治体が国に唆されて、住民を危険な放射能の渦の中に帰そうとしたり、およそ、信じられないほどの奇行を繰り返しているのも、冷血・野田の方針だったのです。

まんまと「瓦礫を燃やして被災地を救おう」という国の策略に引っかかって、放射能瓦礫を受け入れている自治体の真底、おバカな首長たち。

つまり、「日本は瓦礫もスッキリ、住民も納得ずくで帰宅、放射能野菜だって、安全」ということにして、「福島第一原発事故の痕跡」を消してしまいたいのです。

いったい誰のために、こんなことを続けているのか-。

次の記事で、もう少し野田佳彦、枝野幸男らが、なぜ原発を推進したいのか、その“深層に横たわっているもの”について書いてみたいと思います。

【関連記事】
止まらない日本の原発輸出-ベトナム、ヨルダンへ




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