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おなかのなかに美しいお花畑をつくるには-腸内細菌と土壌菌の育て方

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Byほんたべ

gazou 025
ハリウッド映画ではスレンダーな美しい俳優ばかりですが、海外のニュースを見ると
日本人ではあり得ないような肥満の方が多くて、やっぱし味噌汁とか海藻とか野菜とかを
日々食べてる日本人は健康なのかなーなんて思ったりします。


わたくしたちのからだにはさまざまな細菌(微生物)が共生しています。
健康時にはとくに悪さをしないものや有益なもの、良くないものを含め、
それぞれのヒトが独自の共生微生物群を持っています。

最もメジャーなのは腸内細菌で、昨今では「腸活」と称し、
ヨーグルトや食物繊維を摂取することで善玉菌の割合を増やし
腸から健康になろうなどという雑誌やテレビの特集をよくみかけます。

共生微生物には腸内細菌だけでなく、実は鼻の奥とか胃とか皮膚とかそこら中にいます。

皮膚常在菌が注目され始めた数年前から、軽い擦り傷・切り傷の治療は、
オキシドールで消毒して赤チンぬってバンドエイドで傷口を保護してというような治療から、
「水洗いのみで何もせずあとは皮膚常在菌におまかせ」のほうが治癒が早いと考えられており、
そういった目的のバンドエイドが販売されています。

このような、ヒトと共生している微生物=ヒトマイクロバイオームの研究は、
アメリカでは2007年からプロジェクトが発足し2012年に第一期が終了し、現在第二期が継続中です。
だぶん第一期の終了時に出た記事→
海外がん医療情報リファレンスサイト https://www.cancerit.jp/17969.html

EUでは同じようなプロジェクトが2008年に始まり、やはり2012年に終了しました。
こちらは第一期のみで終わったようです。

用語解説・マイクロバイオーム
「マイクロバイオータ(microbiota)はある環境中の微生物を指し、
マイクロバイオーム(microbiome)は微生物が持つゲノム情報の総体を指す用語である。
ヒトは総数にして600兆から1000兆個の微生物と共存している。」

日経バイオテク・オンラインより引用
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082300008/070600011/

つーことで、日本で腸内細菌が話題になり始めたのはやはり2012年頃からでした。
アメリカのプロジェクトの第一期が終了し研究報告が公開されたのではないかと思います。
そう言えば、藤田紘一郎先生の『脳はバカ、腸は賢い』が出版されたのも2012年でした。

てなことから、日本ではマイクロバイオームと言えば腸内細菌のことを言います。

つーことで、コンビニやスーパーには、ヨーグルトとか乳酸菌とかビフィズス菌とかの
プロバイオティクス入りの「腸活食材」がたくさん売られておりまして、
高齢者も若者も「とりあえず買っとけ!」的な感じで購入しています。

「腸活」のいいところは、日々の健康法として最もカンタンなことです。

食べれば便秘が治りお肌がツヤツヤになるとかの具体的な効果が実感できます。
でも便秘は治らずお肌もグダグダ、という方もいらっしゃる気がするので、
トクホ頼みの「腸活」だけで健康を入手するのはむずかしいのかもしれません。

わたくしが共生微生物に興味を持ったのも、ちょうど2012年頃でありました。
興味の順番は、最初は皮膚常在菌、次に土壌微生物、最後に腸内フローラって感じです。
そして、知れば知るほど土と人体の細菌叢には共通項があると思うようになりました。

まず、土壌中の微生物も腸内細菌も、いい菌のエサは炭素分です。
炭素分が少なくチッソ分が多いと有益な微生物が減少し悪玉菌が増えます。
作物の場合は腐りやすくなり、ヒトの場合は便秘や肌荒れなどの症状が出ます。

昨今では腸内細菌叢のバランスによって疾病が起きるとか肥満になるなどの、
腸内細菌と疾病の相関性も指摘
されており、ヒト的に気を使いたいところです。

また、外部から有益な微生物(微生物資材・プロバイオティクス)を導入しても、
その効果がはっきりとはわからないというところも似ています。

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『ダイエットの科学』によりますと、老人ホームなどで画一的な食事をしていると
本来個々人で全く違う組成のはずの腸内細菌が似てくるという研究報告があるそうです。
いろいろな食材を食べる「多様性」が腸内細菌叢を多様化することに繋がる、とか考えると
日々のごはんをちゃんと考えて食べないとなーなんちて考えてしまいますなあ。



微生物資材もプロバイオティクスも、実際に増えているのかどうなのか、
メーカーの研究報告はあっても、自分の畑の土、あるいは自分の腸内細菌叢がどうなってるか
なんて調べるのはなかなかむずかしく、っつーか基本的には不可能なので、
できたもの(おいしい作物、快調なお通じ、つやつやのお肌)でしか判断できません。

しかも、もしかしたら他の要因(肥料・食事、天候・環境)の可能性もありますから、
「やらないよりはやった方がいい」くらいの感じかもしれません。

ということで、少し乱暴かもしれませんが、土もヒトも同じではなかろうか、なんちて思うわけです。
であれば「微生物叢が豊かに、そしていい構成になる方法」も同じではないか
なんちて思って、以下のように考えてみました。

土の微生物叢を豊富にし、善玉菌を増やす方法

1.炭素分(堆肥のほか籾殻など粗大有機物)の供給
2.農薬(土壌消毒剤・殺菌剤・殺虫剤)の削減
3.畜糞堆肥を使用する場合、残留抗生物質の可能性を排除する


土壌微生物には、菌を殺す土壌消毒剤や殺菌剤はもちろん、殺虫剤も悪影響を与えます。
抗生物質は畜糞に残留している可能性があり、問題視されているのは耐性菌ですが、
土壌中の菌を殺す可能性も考えられます。

これをヒトに置き換えてみると

1.食物繊維の積極的な供給
2.化学物質・抗生物質を摂取しないこと。


プレバイオティクス(オリゴ糖やイヌリンなど)はもちろんですが、食物繊維は腸内細菌のエサになります。
日々の目標数値が男性で20g、女性で18g以上ですが、日本人の摂取平均値は15g
少し足りない感じなのできのこや海藻、大麦などを食べるべきかもしれません。

そして、食べものに含まれる化学物質で自らがコントロールできるのは、
食品添加物とサプリメントでしょう(治療目的の薬は別)。
抗生物質は感染症でないもの、つまり風邪とかで処方してもらわないことに加え、
食肉などからの摂取に注意することも大切ではないでしょうか。

食肉中にどんだけ残留しているか全然わかりませんが、とりあえず、
飼料添加が出荷前日までOKとされている牛肉は常食するには要注意かもしれません。
抗生物質は現在耐性菌問題で世界的に「多投はやめてね」という方向に向かっています。
日本ではヒトにも家畜にもわりとふんだんに与えられていますから、
個人的に注意したほうがいいでしょう。耐性菌に感染してから後悔するのでは遅いのです。

わたくしたちの体内でも、土の中でも、何をしてるかまだ全体が解明されていない菌たちですが、
非常に重要な働きをしていることが昨今の研究で明らかにされています。

ということで、いい菌を育てるために体内に入れるものに気を使い、
腸内に美しいお花畑(フローラ)をつくってしあわせになろうではありませんか!


ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く(ティムスペクター著)
ダイエットがテーマですが、我々は何を食べるべきなのか、さまざまなエビデンスをもとにして
マイクロバイオームの研究者が書いた本。糖質・飽和脂肪酸・オメガ3・6、ココナツオイルなどなど
ありー(゚∀゚)そうだったんだ! 的な情報が満載です。



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