オーガニックの生み出す価値について考えてみよう
畑に花が咲くとミツバチがやたらとやって来ます。
セイヨウミツバチの場合は誰かに飼われているものですが、
ニホンミツバチが来るとちょっとうれしくなります。
ニホンミツバチはおなかの縞々が黒いのですぐにわかるです。
「平成28年度有機農業の推進に関する全国会議」に行ってきた。
ちょうどビオセボンの社長・土屋氏の講演が始まったところで到着という、
遅刻してすんませんでした的な感じもあるがそれはともかく、
その他の講演者は福島屋の代表とか法政大学の小川氏とかで、
有機農業に関わるいろいろなことが報告された模様である。
(検討とか議論にはなってない、というのがミソかもね)
土屋氏の講演のなかで興味深い発言があったので、
それについてちょっと考えてみたくなりました。
ビオセボンは麻布十番にオープンしたオーガニック専門店である。
ビオセボンのオープンとともに数度目のブームを迎えたオーガニックは
数年後のオリンピック・パラリンピックを控え、これからますます
市場規模を広げ、食の安心・安全を求める人々に訴求していくようである。
日本のオーガニック市場は一人あたり消費量でみると先進国では最低で
先進国では若年層がオーガニック市場を牽引しているのに
日本ではジジババが牽引、というか主な購入層がジジババなのである。
これは大地を守る会などでも同じで、昔から高額購入者は60歳前後で、
小さな子どもがいるママ層は会員数は多くても客単価は高くはない。
例えば子どものために300円の低温殺菌牛乳は購入するが、
親が飲むのはどうでもいいからフツーの190円の牛乳って感じ。
つまり優先順位を決めて必要なものを購入してるってことだろう。
ビオセボンではオーガニックの一般的な顧客層(高齢者)ではなく、
若い人々がよく来ているらしい。そして加工品を購入している。
これは野菜が人気がないとか鮮度がどうとかいう理由ではなく、
単に若者は野菜を食べないってことだろう。
結婚前の若者は大型野菜や煮物は食べずサラダを食べるのだ(偏見)。
さて、ビオセボンではお客さまとの会話を大切にしているらしい。
有機JAS認証ではない転換期間中を応援する理由とか
(これがうまく説明できているとしたら神ではなかろうか)
おいしい食べ方や、素材の味の大切さなどについて話しているそうだ。
わたくしはオーガニックは通常のお店では説明商品になるが、
オーガニック専門店では説明はなくても販売できると考えていた。
しかし、やはり説明が必要なのだった。なんかガッカリ。ううううう。
近くに水場がないと来てくれませんが、カエルはすごいす。
ウンカを一日数十匹も食べるという研究報告もあるし
鳥や小動物のエサにもなります。田んぼのカエルは
より大きな生きものを支える大切な資源とも言えます。
「ビオセボンに売ってるならなんでもOK!!!」と思ってもらえないのなら、
どこで売っても説明し続けなくてはならないということではなかろうか。
ええええー、んじゃ永遠にオーガニックは説明商品ってこと? ひー。
さらにお客さまから以下のような要望があると聞いて、
わたくしはうーんと考え込んでしまった。
「せっかくオーガニック野菜を売ってるのに、オーガニックのマヨネーズが売ってない
オーガニックのマヨネーズを置いて欲しい」
オーガニックのマヨネーズをつくるのがむずかしい理由は、有機卵が、
加工品原料になるような価格で入手できないからだろうと思うが、
わたくし的にはなぜマヨネーズにオーガニックを求めるのか、というか
オーガニックのマヨネーズの価値がギモンである。
マヨネーズの原料は卵と油と酢、塩コショウだ。
自分でつくれば、原料も素材も一から選択できるのだから
どんなものよりも安全で安心でおいしいのではないか。
それよりもオーガニックマヨネーズがいいとはどういうことか。
この場合のオーガニックの価値を考えてみると、思いつくのは
「オーガニック=有機JAS=国が定めたもの」、つまりお墨付き、である。
お墨付きとはおそらく「安全」のことだろうと思うわたくし。
日本で売られている食べものは食品衛生法等々で定められた
「安全基準をきちんとクリアしたもの」しか売っていないため、
法的には安全である。んじゃオーガニックはさらに安全なのか。
オーガニックはJAS法(日本農林規格)で定められている
有機JAS法の基準をクリアしたものだが、残留農薬基準値などが
別途定められているかというとそのような安全基準はない。
だってJAS法って規格のルールだもん安全とか関係ないもん。
しかし使える農薬や資材がきびしーく決まっているという点で
なんでも使えるその他一般的なものとは違いますよ、とは言える。
鱗翅目の幼虫類は、鳥、アシナガバチ、寄生蜂などのエサになります。
母親もわかっているらしく、あちこちに少しずつ時間を置いて産卵します。
大量の卵の中から一匹蝶になれればいい的な感じなのかも。
例えば保存性を維持するための輸入穀物の収穫後農薬の散布は禁止とか、
輸入くだものだと輸入時の燻蒸を行ったら有機とは言えないとか。
(わかりやすいので輸入品の農薬について例にあげました)
でもね。オーガニック野菜を栽培している隣の畑で農薬をまいたら
オーガニック野菜にも農薬は飛んで来るため、残留農薬が検出されることがあるの。
つまり、オーガニック=残留農薬0と言い切れないの。
んだけど、残留農薬が基準値以内ならその他のものと同じで問題は全くないわけ。
狭い日本の畑ではそのようなことはひんぱんに起きている。
残留農薬0を目指して和歌山の山の中の耕作放棄地を借り上げ
有機JASを取得した人がいるが、残留農薬を0にするとはそういうことである。
誰にでもできることではないし、そうまでする必要があるとも思えないわたくし。
わたくしは、オーガニックの価値とは「安全」というよりも、
「持続可能であること」だと考えている。
ひとことで持続可能と言われてもピンとこないが、
「有機物を土に還元する」という非常にシンプルな行為の積み重ねが
具体的に生み出すもろもろのことを考えるとわかりやすい。
有機物を土に入れるとそれらを食べる微生物が豊かになり、その結果
土が団粒構造になって保肥力が上がりいい作物が収穫できるようになる。
地力が上がってくれば農薬や土壌消毒剤などの化学物質の使用量が減り、
虫や小さな生きものが増えてくる。生態系が豊かになれば、
猛禽類などのさらに大きな生きものを生かすことができる。
また、この影響は地上だけにとどまらない。
流出する化学物質量が減れば地下水や河川に流れ込む毒物の量も減る。
結果的に海に流れ込む化学物質の量も減るから海の環境も変わってくる。
オーガニックの畑や田んぼが生み出す金銭的価値は計り知れない。
すばらしいでしょう? 有機物を土に入れるというシンプルな行為で
これだけの効果を生み出すことができるとは。
オーガニックの価値とはそういう部分にあり、安全性だけではない。
トンボが大量発生したら小鳥が喜びます。たんぼの中にいるときは
肉食の水生昆虫が喜ぶでしょう。また人間の子どもも喜びます。
わたくし幼いころ、ヤゴを捕まえるのが大変とても好きでした。
日本では有機=安全というアピールから入ったという歴史的経緯があり、
オーガニックの価値は安全と思っている人が多い。そして購入する理由は
環境のためではなく我が身の安全のためという人がほとんどだ。
だからこそ、オーガニックの主たる購入者は健康が気になり
お金もちょっと余分にあるお年寄りなのである。
オーガニックの価値を安全性だけと考えるのは非常にもったいないのだ。
あなたが今日選ぶ野菜は、海や山の生態系につながっている。
そんな感じでオーガニックというか有機の野菜を選ぶってのはどうでしょう?
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