ちょっとしょっぱいあんこと小豆の話
わたくしの大好きならっぱやのたい焼き。
一匹ずつ焼いてます。皮がうすっぺらくて一気に3匹はイケます。
そしてあんこがめっちゃおいしいのです。
わたくしはたい焼きが好きである。
たい焼きでもっとも大切なのは「あんこがおいしいこと」である。
わたくしにとってのベストたい焼きは鳥取市の川端銀座(笑)にある
「らっぱや」のたい焼きだ。
らっぱやのたい焼きは、メリケン粉の薄っぺらーい皮と
小豆の風味がしっかりとするそれほど甘くないつぶあんの、
そのバランスが絶妙ですんばらしい。
しかしこのおいしいあんこは自家製ではないだろうとわたくしは考える。
ちっこい店だしなにしろ鳥取だから売れても一日100匹くらいかもしれない。
日によって増減があるのにあんこを炊くなんて手間をかけるのは大変だ。
つーことで、あんこはあんこ屋さんから仕入れていると想像するわたくし。
老舗の和菓子屋さんが「あんをたくところから始めます」とか言って、
大きな釜であんこを炊くのを見ると、すべての店がそのような気がするが、
たぶんそんなことはなくて、あんこやさんに自社レシピで依頼したり、
既存のものを買ったりしてるんだろうなーと思うわたくし(想像)。
さて、あんこの原料は小豆である。
現在日本で小豆がどれぐらい栽培されているかというと、
【検定テキスト-農産物取引の基礎知識】というサイトに
小豆の詳細情報が掲載されているのを見つけた。
http://www.tocom.or.jp/jp/guide/study/textbook/agricultural/agricultural2.html
2012年の小豆の収穫量は68200トンだった。
収穫後の小豆(選果前)なので、豆がらとか入っています。
これをピカピカのものとクズに分けます。その工程はなんと
5工程。最後は人の手。個人の豆農家の選果ってたいへん。
選果機を2回通したピカピカの小豆。きれいだねー。
この後まだまだ選果が続くらしいです。もういいじゃん! これで! って感じ。
こしあん用に売れるという規格外品のさらに規格外品。
つぶあんにはならないの。だって粒がちゃんとしてないから。
今年は台風被害で小豆やいんげん豆が不作だが、
北海道における十勝の小豆の生産量は6割強のため、
生産量が少なくなるのではないだろうか。
でも大丈夫、前年度産のヒネ小豆があるから。
小豆の総供給量はその年栽培された新豆と在庫、輸入豆を合わせたもので
ここ数年は11万トンくらいで推移している。うち需要は8万トン前後である。
足りないぶんの輸入は中国、次がカナダで、総輸入量は25600トンらしい。
意外と自給率が高いのね、小豆。
これら小豆の用途は70%弱があんこである。
しかししかし。ここで驚きの事実がひとつ。「加糖餡」という
すでにあんこになっている加工品がかなり輸入されているのだった。
2012年の輸入量は75000トン弱。これも主産地は中国である。
輸入した加糖餡をスーパーなどで小売する場合は原産地表示義務があるが、
どら焼きのあんとかの原料になっていると表示義務はなくなる。
安価な加糖餡は、安い和菓子やおまんじゅう、あんぱんなどに使われていて、
消費者の「安いもの志向」に伴い、ここ十数年でめっちゃ増えた。
非常に日本的な食材・あんこだが、原産地表示の義務はないから、
「あんこが入った加工品」がどこの小豆を使ってるんだか
あんこはどこの国産なんだか全くわからないのだった。
国産のあんこがどーしても食べたい!! って場合は、
「北海道産小豆使用」とか書いてあるものを選ぶしかない。
国産小豆を使ったあんこはどこに行っているのか。
すげーおいしい和菓子とかになってるのかな。
さてわたくし今回十勝の豆農家のところで豆の選果を見せていただき、
小豆の規格外品が格安価格で「こしあん用」に買い取られることを知った。
小豆はよほどひどいもの以外は捨てるところがない豆なのだった。
味噌作りのときのピカピカ大豆。これは小袋に入れて
直売所で売られました。美しいピカピカの大豆です。
紫斑病にかかった大豆(規格外品)。茹でると消えるので、
この豆を使って味噌を作りましたよ。ワレとか入ってても
味噌だからぜんぜんOKなのです。
カビてたりするので肥料になりました。クズ大豆。
なぜか自分と重ね合わせて見てしまうわたくし。
以前大豆の種をまいてみんなで育てて味噌を作ったときに、
大豆の規格外品の多さに驚愕したのだが、豆とはそういうもので、
小豆でも黒豆でもいんげんでも同じだ。
しかし小豆といんげんは規格外品も「あんこ用」で売れるのだった。
そこがいんげんと小豆のいいところ、大豆にはないところだと豆農家は言う。
大豆のクズは肥料にしかならないのだ。ううううう。
わたくしたちがお店で見かける小袋に入った大豆や小豆は、
畑でできた豆から選りすぐられたピカピカのエリート豆で、
当然だが落ちこぼれたものがかなーり存在する。
わたくしはその豆の行末を考えたこともなかった。
そして今回「ああ、そうだったんか!」と今さらわかったのだ。
加工用の大豆や小豆はピカピカでなくてもかまわないから、
規格外品が使われているはずだ。価格が合わないからだ。
加工品の場合、もともとの豆のおいしさはそれほど関係ない。
とくにあんこの場合、砂糖や水飴をガッツリ入れてしまうと
小豆の風味はどこかに飛んで、ひたすら甘いあんこになってしまう。
では加糖餡の原料小豆はどのようなレベルのものなのか。
うーん。しみじみ考えちゃうなー。
ピカピカのしみひとつない大豆でつくる手前味噌や、
ピカピカの小豆でつくる自家製あんこはとてもおいしいが、
これは原料豆がいいのだからある意味あたりまえのことなのだった。
「選りすぐりの豆(フツーに売ってる豆)で調理する」ことは
とても贅沢なことだとわたくしは初めて知った。
なんかちょっと今度から感謝して赤飯とか小豆とか炊かなくちゃ、
と素直に思ったわたくしでした。
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