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【認定鳥獣捕獲事業者講習】に参加してあれこれ考えた

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Byほんたべ

狩猟免許所持
狩猟免許所持者数の高齢化は農業に匹敵するのでは。
今や60歳以上のおじさま方が駆除も狩猟も担っているのです。


鳥獣保護管理_ページ117

現在20万人弱いる狩猟免許所持者の約1/3が銃ではなくワナ所持者。
鉄砲撃ちは確実に減少しております。ワナの方が気軽なのかな。


野生鳥獣被害額
今回提示された資料に狩猟初心者の獲物獲得率というデータがあり、
年間の捕獲等数(ワナ)が0頭という集落が36%、年間2頭以下が52%、
また銃猟については2頭以下の狩猟者が55%、5頭以上は16.6%らしい。
初心者全く取れません。どうやって被害を減らせばいいのでしょう。
(どちらも兵庫県の調査によるもの)



9月6日、狩猟免許取得講習会、9月12日、狩猟免許試験、
9月17日~18日、認定鳥獣捕獲事業者講習、
9月19日、銃所持初心者講習会&試験と、
鳥獣法と狩猟免許と銃刀法にまみれた一ヶ月であった。

狩猟免許が取得できたかどうかは9月30日までわからないが、
銃所持の許可はもらえた。ってことで、今後は銃の申請である。
とりあえずエアライフルを視野にいろいろチョイス中。

申請してからのほうがあーだこーだあるので気は抜けないが、
他のこともしないといけないのでしばらく放置の予定だ。

さて、初心者講習会の前日2日間かけて認定事業者講習に参加してきた。
脳みそから銃刀法の知識がボロボロとこぼれ落ちた2日間であった。

認定事業者講習とは、環境省の「指定管理鳥獣捕獲等事業」の
認定事業者を目指す人々が受けなくてはならない講習である。

「指定管理鳥獣捕獲等事業」とは、指定管理鳥獣
(ニホンジカ及びイノシシを想定)を対象に、
都道府県が策定した計画を実施する団体(法人)に対して
交付金が支給されるもので、予算は20億円(事業者へは18億円)である。

認定事業者になりたい法人は環境省に所定の手続き・申請を行い、
認定事業者となった後は、都道府県が策定した計画に対して
入札等で事業を受託しニホンジカ及びイノシシの駆除を行う。

環境省は今後10年間で現在の猪鹿の数半減という目標値を設定しており、
管理計画もかなりマジ。「認定事業者になりたーい!」という人々は多く、
過去3回の講習会が盛況だったらしく9月は追加の開催だった。

わたくしは全日本ジビエ協会でいずれ駆除関係に関わるかも的な
全く予定は立っていないがそういう可能性もあるから受けとこうって感じで、
全く経験のない状態で講習を受けたのだが、参加者はNPO法人や建設会社、
猟友会の人などすでに駆除を行っている人たちばかりのようであった。

鹿個体数
鹿は1歳で83%が妊娠し、寿命は4~6歳、長いもので8歳、
繁殖年数は5年として一年に1.2頭出産するということで
あっという間に増えるのはご承知の通り。力のある雄によるハーレムのため
オスが一頭いれば複数のメスを繁殖させられます。メスの駆除が大切。


猪個体数
年一度複数頭出産する猪はウリ坊が捕まると警戒心が強くなり
なかなか捕まらなくなるという性質があるそうですよ。賢いのですね。
繁殖年齢に達するとほぼ100%のメスが一年に一度出産。
減らないのは当たり前的な。



さて、野生動物の農業被害は年を追う毎に深刻になっており、
平成25年度で被害総額は199億円である。主な被害は猪鹿によるものだ。
5月に開催された鳥獣法改正のお勉強会で、被害は農業のみならず
林業にも及んでいることを知ったがこちらは主に鹿によるものである。

野生動物を真剣に管理しなくてはならない段階に入っているが、
これまではハンターによるボランタリーな有害駆除に任されており、
また、一部の不届き者による写真の使い回しなどの不正請求があったりで
個体数の「管理」がほんとうにできていたかどうかについては疑問が残る。

農水省の有害駆除の交付金を調べてみたら平成26年度予算で95億円であった。

不正請求が行われる場合、一件あたりの金額は低いが、
日本全国で地道にそれぞれ10万円ずつ行えば相当の金額になる。

カネは出て行くわ駆除にならないわじゃ頭にくるよなあ。
不正請求がマスコミ沙汰になった例。ちょびっとしかなかったよ。
http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2013/06/post-414.html
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201506/0008121218.shtml
金額が小さいからガリガリ管理されていないのかもしれないね。

しかし環境省も農水省もそのことはよくわかっているらしい。
鳥獣法改正の勉強会時や今回の講習会でも不正請求に関わる発言があり、
参加している方々からもちらほらとそういう話を聞いた。

一部の不心得者のおかげで、ボランティアで真面目に駆除してる
ハンターまでがそういう目で見られるのはほんとうに気の毒だと思うが、
国民の血税使うんだからちゃんと駆除してよ!!!
と思ってしまうのはわたくしだけではあるまい。

鳥獣保護管理_ページ_15
狩猟による捕獲数と駆除による捕獲数がほぼおなじです。
現状の捕獲頭数のままだと10年後の農業被害額は現在のなんと2倍!
と推測されております。早急に捕獲数を増やす必要があるらしいです。

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鹿も猪も狩猟の捕獲数がなんとなく増えてるのは、
ワナ猟師の増加によるものかもなーと思ったり。



今回の「認定事業者制度」のキモは「都道府県が計画を策定すること」
事業の受諾者が「駆除の実績のある法人格を持っているもの」であることだ。

町役場からハンターに駆除を依頼してざっくり管理とかではなく、
積算根拠とか示しながら事業計画をちゃんと立てて
報告も記録もちゃんとしてね当たり前でしょ税金使うんだからって感じ。

少しだけ働いたNPO法人で内閣府だの農水だのの事業を受けてたので
事業の報告とか記録とかがすげー大変だってことはわかるわたくし。
事務仕事が得意な人がいないと難しいよねー。

ともあれ、交付金には欲がついてまわるものだ。

現在はまだ都道府県から計画が出ていないので、
8社ほどある認定事業者はまだ稼働していない。
稼働し始めたら起きるトラブルがすでに想定されているらしく
会場から質問や指摘が相次いだ。もしかしたらすでに起きているのかも。

曰く「地元の人々(ハンター)の妨害にあう可能性が高い」というものだ。

認定事業者は認定を受ければどの都道府県に出張ってもいいから、
地元の猟友会や駆除をしている人々と共生しなくてはならない。
管理された捕獲を専門とした人々が組織化された猟を行えば、
現在市町村の依頼を受けている人たちと軋轢が生じるのは想像に難くない。

今ですら新参者が誰かの縄張りにワナをしかけて嫌がらせにあったり
盗まれたりする例はあちこちで聞く。しかし環境省の方々曰く、
「問題が発生しても我々は関わりませんから自力で解決してね」であった。

ひいー。大変だようー。

鳥獣保護管理_ページ_12
森林被害とは幼木の食害や樹皮の剥皮による枯死などが
上げられております。それ以外に下草の植生を変えてしまったり、
保護すべき植物の絶滅などもあるそうですよ。鹿、恐るべし。

鳥獣保護管理_ページ_08
「鹿なんていなかったのになー」という地域に鹿が進出。
西日本は鹿よりも猪天国って感じですが、鹿も多くなっており、
どちらにしても増え続けていることは事実のようです。



そう言えば、鳥獣法改正の勉強会時にも講演者がこんなことを言っていた。

「駆除で猪鹿が減ると獲物が取れなくなりハンターと軋轢が生じるでしょうねえ」。
5月に聞いた際にはピンとこなかったが、4ヶ月経ってみたら
ものすごーく実感できるようになったのは自分が変わったということか。

ハンターの目から見ると、有害と考えられる野生動物被害が多い→
個体数が多い→獲物が多い→たくさん取れてハンター幸せ、減ったら不幸せ、
という図式も成り立つ。

このようにひとつひとつ地道に片付けていかなくてはならない問題山積の
地域住民とのコミュニケーション能力も問われる「認定事業者」制度だが、
予定通り10年後に猪鹿半減が実現できないと被害だけが大きくなるのだ。
真剣にやらねばなるまい。

そして狩猟免許講習に来ていた若者たちよ! あなたたちの双肩に
今後の農業・林業はかかっているのですよ!!! と言いたいわたくし。

とりあえず、すぐには当たらないとデータも出ていることだから、
わたくし的活躍は10年後を目標に、気長に練習しようと思っております。
※グラフ→環境省WEBサイトより
http://www.env.go.jp/nature/choju/capture/capture5.html



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