これはオススメ! 『有機栽培技術の手引』
本庄市で有機農業を営んでいるSさんちのナス畑。
マリーゴールドは天敵を涵養するために植わっとります。
IPM技術を応用した有機栽培っつーことで、手引で紹介されてます。
圃場周りには風よけのデントコーン、その内側にマリーゴールド。
ナスの前作は米で、後作は玉ねぎと肥料を効率良く使う輪作体系を構築中。
技術のある人は日々の努力を欠かさないってことですね。いやはや。
某D社の産地担当時代、何軒もの有機農家を担当していた。
技術がある人もいるが、そうではないような人もいた。
そして、もしかしたら有機農業には、
きちんと体系化された技術がないのかもしれないと思った。
2006年に、科学的な農業を実践している西出隆一さんを知り、
技術とはこういうものだよなあと実感した。
それ以来西出さんはわたくしの師匠となった。
担当している農家には、再現性可能な技術を持っている人が何人かいたが、
数千軒ある某D社の取引農家のうちの「数人」というところに、
科学的な有機農業技術の構築の難しさを感じちゃうよね。
わたくしは、農家に技術がないと言っているわけではない。
それぞれの農家がそれぞれの技術を持っているが、
自分の畑やその土地限定のことが多く、他者に教えるのは難しい。
よその土地でやっても再現性がないのだ。
よく言う「あんたんとこでも良くてもウチではダメ」である。
新規就農者がこの「土地限定」の技術を取得したとしても
再現性がないからうまくいかない。そういう事例はいくつも見てきた。
理由は「科学的じゃないから」である。
パラ見させてもらったけどすげーわかりやすくて、
毎日手元において丸暗記したいような内容。充実度、半端ないです。
再現性のない農法はいくつもあるが、
農業を始めたばかりの人にそれを見極めるのは極めて困難で、
最初の数年間をふいにしてしまう人も多い。
病気が出た畑を見て「有機農業は我慢です」とかいう人は
メディア受けはするかもしれないが
「私は技術がありません」と宣言しているようなものだ。
一昔前、有機農産物=虫食いというイメージがあったため、
虫に食われた野菜は安全と言われていた。
多少の虫食いは農薬を散布しなければ発生するものだが、
盛大に虫に食われたものはそうではない。
そういう野菜は施肥設計を間違っている事が多く、
おそらく食べてもおいしくないはずだ。
おいしい野菜は微生物が豊富で肥料分が適正な土から生まれる。
微生物を増やすには腐植が、適正な施肥設計には土壌分析が、
有機農業にはそういった知識が必要なのだ。
どうしてかなー? なんでかなー? と数年間試行錯誤している間に
なんとなく土ができてきて微生物も増えてきてうまくできるようになる。
それでは効率が悪いのだ。
さて、2006年に有機農業推進法が施行され、
有機農業技術の構築という目標があるのに、
いつまで経ってもその技術の構築できないのはなんでだろう?
やみくもな有機農業では推進できないぞ!なんて思っていたら、
農水省の事業で『有機栽培技術の手引』というのができていた。
中身こんな感じです。
えええー。全然知らんかった。
でもさあ、この冊子、市販されてないのよね。
だから本屋さんに行っても見つからないの。
「各県の普及員向けに作られた」とか書いてあって、
一般人が入手するのはまずムリ。なんてケチくさいんだ!
入手するには日本土壌協会のサイトからダウンロードするしかない。
有機栽培技術の手引-果樹・稲作・大豆・果菜・葉菜類
http://www.japan-soil.net/report/h25.html
果樹、稲作・大豆、果菜類、葉菜類と4つあるのだが、
これがまたわかりやすく、有機JASで使える農薬とか
資材関係のデータも満載で、大変すばらしいのだ!
もうわたくし的にはウキウキである。
しかし、知っている人、どれぐらいいるのかなー?
わたくしはたまたま、葉菜類と果菜類の執筆者と
実際の栽培事例で紹介されている農家を知ってたので、
「こういうのに出たんだよー」と教えてもらうことができたが、
業界関係者以外は知らない人がめっちゃ多そうである。
すでに有機農業に取り組んで何十年も経つ農家でも
読むと大変勉強になるらしいので、初心者は読んだほうがいいのだ。
書いてあることがそもそもわからないという人は、
もしかしたら、その方が問題かもしれない。
これが葉菜類。某D社の農家の名前がありましたよ。
やはし、有機農業のパイオニア的存在だから? 某D社。
ということで本日わたくし全部ダウンロードしました。
めっちゃページが多いけど、出力しようと思っとります。
しかしなぜ販売してくれないのかしらん?
冊子になってればパラパラ見やすいのにさ。
PDF入稿で冊子作成できないかな。見積もりとってみようかな
なんちて考えている本日のわたくしでした。
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