ラウンドアップもGMコーンもダメダメという論文の話
数学は真剣にキライだったけど、理科の一部はすんごく好きだったのに、
なぜなにひとつ覚えていないのか不思議なわたくし。そしてなぜ授業中、
あんなに眠かったのかも不思議なわたくし。なんでだろ~♪
「ラウンドアップとラウンドアップ耐性組み換えとうもろこしの
長期投与給餌における毒性」
上記はフランスのカーン大学で行われた、
遺伝子組み換え(以降GM)トウモロコシ(NK603)を
えさに与えたラットがどうなったかという研究論文の表題である。
Food and Chemical Toxicology誌に発表されたこの論文は、
「安全」と言われてきたGM作物を食べたラットに
高い確率でガン(文中では腫瘍)ができたというので、
かなり注目されているのだった。
現在、この論文はGM作物反対派の方々の福音となり、
当然だけど、GM推進派の方々の大反論を引き起こし、
現在も反論の反論、また反論などの真っ最中なのである。
先日、遺伝子組み換え反対キャンペーン会議主催の、
この論文の説明会に参加してきた。
大変わかりやすく説明してくださった元同僚のM氏、ありがとうでした。
さて、研究の細かいことを全部書くと大変だ。なので、
とりあえず「おお!これはすごいぞ!」という部分について書いてみた。
まず、この実験は24カ月という長期間にわたって行われた。
その結果、ラットにガンが発生し始めるのが4カ月後であるとわかった。
実はこのような実験はGM推進派の研究者も行っている。
その実験はラウンドアップ耐性トウモロコシの安全性を証明したものだ。
しかし、実験の期間は3カ月間。カーン大学2年。推進派3カ月。
4カ月後にガンが発生するのであれば、
3カ月という短期間では安全性は証明できない。
できる前に実験が終わっちゃってるからね。
どうした推進派。もう少しちゃんとやんなくちゃダメじゃん。
というか24カ月間実験を行ったってことだけで、すごいことなのらしい。
そしてラットがどうなったか?
何も与えない対照群のラットの平均寿命は624日。
510日の時点で(人間で言うと50歳くらい)、オスは対照群の5倍、
メスは6倍と、ガンや腎・肝障害の死亡率が高まり始める。
実験は、以下のような条件で2年間行われた。
1.ラウンドアップ耐性トウモロコシを餌に与えた群
濃度11% 22% 33% の場合
2.ラウンドアップ耐性トウモロコシとラウンドアップを与えた群(※)
濃度 上記と同じ。
3.ラウンドアップを希釈して与えた群
濃度 水道水汚染レベル、米国残留農薬基準値、
農薬として散布時の希釈倍率の50%濃度 の場合
4.通常の餌と水を与えた対照群
(※)ラウンドアップを散布したラウンドアップ耐性トウモロコシという
人間が食べている状態を人為的に作り出したものだと思われる。
1と2の群ではオスの腎臓に腫瘍(ガン)が発生し肝臓に異常が見られた。
2と3の群ではメスに乳房腫瘍(ガン)が発生し脳下垂体に異常が見られた。
1・2の群の共通項は「ラウンドアップ耐性トウモロコシ」
つまりラウンドアップ耐性トウモロコシに問題がある。
(以降R耐性トウモロコシ)
2・3の共通項は「ラウンドアップ」
つまりラウンドアップに問題がある。
R耐性トウモロコシはEPSPSという酵素を
バクテリアのものに組み換えることにより、
ラウンドアップへの耐性を作っている。
EPSPSの組み換えの結果、
抗酸化作用・抗腫瘍活性を持つ物質が減少していることがわかった。
そのため、ガンを防御する力が低下し、ガンが発生した
と、論文は言っている。
組み換え作物は非組み換え作物とほとんど変わらないという
「実質的同等性」はウソなんじゃないの?という結果なのである。
そしてメスの乳ガンは、ラウンドアップに由来する。
ラウンドアップがエストロゲンとアンドロゲンの阻害を引き起こし、
性ホルモンのバランスが崩れ、乳ガンが発生し、
脳下垂体に異常を引き起こしたのだった。
おおおお、恐ろしいのう。
今回の実験については、ラットの品種がどうとか、
データがどうとかと、推進派があれこれ反論というか難癖をつけてるけど、
とにかく「2年」という長期間の実験を行ったことは間違いないのだった。
そして、今まで「実質的同等性(※)」を隠れ蓑にして、
「おんなじだから表示しなくていいんだもん」といい続けた根拠が
ガラガラと崩れ始めたかもしれない可能性が提示された。
推進派はこの反証のためには実験をしなくてはならない。
実験にはこれから2年かかるのだ。うっふっふ。
遺伝子組み換え作物は、実は危険なのでは?という
科学的といっていい根拠がひとつできたのだ。すごいじゃありませんか。
やっぱり「食べない選択の権利」は必要なのだ。
TPPによる表示の後退なんて、大反対しなくてはならないのだった。
さて、わたくし的にこの発表でひとつだけ気になったことがある。
「ラットはGMトウモロコシも普通のトウモロコシも同じように食べた」。
この一文。ラットにはGMと非GMの区別がつかなかったらしい。
動物のカン、あてにならなーい。
たぶん人間も同じだよなあと思った次第でございます。
(※)実質的同等性については次回よーく調べてみます。
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