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触ってみたくなるのは、、

毎週木曜日に「秘密のケンミンショー」(日本テレビ)というテレビ番組をやっていて、たまたま先週と今週2回続けて見た。その県の人には至極あたりまえのことが、他県の人から見ればなんとも風変わりにも異様にも見える習慣がとりあげられていて、それはそれでおもしろいのだけれど、断然印象に残るのは、その習慣はその県だけの習慣だと教えられた人の驚いた顔。

大阪人は、ある特定の食べ物に「さん」をつけるらしい。おかゆさん。おいもさん、ただしその芋はサツマイモに限っていて、ジャガイモやサトイモにはつけない。それはたしかにそうだ。子どもの頃の記憶をたどると、飴だってアメ「チャン」と呼んでいたような気がする。
ポン酢が大好きで、鮨からトンカツまでなんにでもポン酢をかけるらしい。しかし、多分それは比較的最近のことだ思う、僕が子どもの時にはそんな習慣はなかった。ついでにいうとお好み焼きにマヨネーズをかける習慣もなかった。(言っとくけどマヨネーズはあった。)

大阪人は、珍しいなら物でも人でも、とにかく触ってみるらしい。これには思い当たるフシがある。たしかに僕も珍しいものは触る。旅行に行けば、古い城壁やら、寺院の門やら、扉の彫刻やら、触らずにはいられなくなる。触っていいものならたいてい触る。それは遠い昔の工人の手になるもの上に自分の手を置けば、はるかな時間を超えて伝わってくるかすかな震えのようなものが感じられるからだ(と思っていた)。
ところが、石の壁を撫でるように触っていると、ときどき奇異な目で見る人がいる。僕からすればむしろなぜ他の人はそうしないんだろうと不思議に思っていたくらいだ。どうやらこれは大阪人特有の習性だったらしい。

もっとも大阪人といってもテレビに写っているのはオバチャンばかりで、オッチャンの接触習性(?)については何にも言っていない。翻って考えてみれば、人々の行動様式や行動規範が県ごとに異なっていて、かつその県の中ではすべての人がその様式や規範に従っているなどということはありそうにもないことだ。「県民性」がひとつの神話であることを忘れるべきでない。
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