2010年 08月 17日
水月昭道著「アカデミア・サバイバル」
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カフェでも売っています!
水月昭道著「アカデミア・サバイバル―「高学歴ワーキングプア」から抜け出す」
10万人にも及ぶ、正規のアカデミックポストにつけない博士達の実態を描いた、「高学歴ワーキングプア」の続編。毎年5千人もの新たな無職者が加わって争われる、ごく少数の大学正規教員のイス。過酷な博士達の就職レースを勝ち抜くための指南書が、この本だ。
内容は極めて実用的であり、例えば、本当の意味で「教員人事は公募ではない」ので、教授の「偉大なるイエスマン」になり、嫉妬を招かないよう「業績をそこそこにだし」目立たないようにしろと説く。
就職のため、いかに学会や先生に恩やコネを作り、自分の存在を売るかというマニュアル本として、非常によくまとまっている。
逆に言えば、研究以外の雑事に必死に奔走しなければならない、現代の大学院生の滑稽で悲しい実態を告発する本なのだ。本来知る喜びを追求する場だった大学が、5年ごとに非正規職員の首を切るだけでなく、若い学生の夢や希望を食い物にし肥大化する現状にたいする筆者の静かな怒りが伝わってくる。
この本は最後にくびくびカフェを取り上げることで、「役に立たないものの真の価値に気づく可能性」を持つ博士達の存在を肯定する。そこにあるのは大学という制度に対する根源的な意味での信頼である。
現在、大学院の学生やそこに進むことを検討している人にぜひ一読して欲しい一冊。(末岡)
水月昭道著「アカデミア・サバイバル―「高学歴ワーキングプア」から抜け出す」
10万人にも及ぶ、正規のアカデミックポストにつけない博士達の実態を描いた、「高学歴ワーキングプア」の続編。毎年5千人もの新たな無職者が加わって争われる、ごく少数の大学正規教員のイス。過酷な博士達の就職レースを勝ち抜くための指南書が、この本だ。
内容は極めて実用的であり、例えば、本当の意味で「教員人事は公募ではない」ので、教授の「偉大なるイエスマン」になり、嫉妬を招かないよう「業績をそこそこにだし」目立たないようにしろと説く。
就職のため、いかに学会や先生に恩やコネを作り、自分の存在を売るかというマニュアル本として、非常によくまとまっている。
逆に言えば、研究以外の雑事に必死に奔走しなければならない、現代の大学院生の滑稽で悲しい実態を告発する本なのだ。本来知る喜びを追求する場だった大学が、5年ごとに非正規職員の首を切るだけでなく、若い学生の夢や希望を食い物にし肥大化する現状にたいする筆者の静かな怒りが伝わってくる。
この本は最後にくびくびカフェを取り上げることで、「役に立たないものの真の価値に気づく可能性」を持つ博士達の存在を肯定する。そこにあるのは大学という制度に対する根源的な意味での信頼である。
現在、大学院の学生やそこに進むことを検討している人にぜひ一読して欲しい一冊。(末岡)
by unionextasy
| 2010-08-17 23:39
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