ショートショートを書きました 面白い、つまらない、どっちでしょう? 評価、感想を下さい。 「ケツバット」 キャバ嬢のユキはぶつぶつ文句を言いながら夜道を歩いていた。 たまの休日に入ったパチンコですってしまった。 「チェッ、ついてないわ」 ユキは繁華街の通りを歩き、ふと足を止めた。 『ケツバット一回千円』 そう書かれた幟を掲げ、道端に佇む男が居る。 ユキは、面白そうだと思った。 「ねえ、一発いいかしら?」 ユキは学生時代、ソフトボール部に所属していた。ケツバットは勝手知ったるゲームである。そのスイングにも自信がある。 むしゃくしゃしていたので、思いっ切りぶっ叩きたい気分であった。 ブーン ブーン ブーン おもちゃのバットを掴むと、その場で2回、3回と軽く素振りをした。 「いい、いくわよ」 相手の男は尻を向けた。 ユキは気合を入れ狙いを定めた。その目は遊びとはいえ真剣だった。 左足を上げ、踏み込むと同時に腰を捻り、肘を畳んでインサイドアウトでバットのヘッドを走らせる。インパクトの瞬間、月まで飛んでいけと念じた。 見事男の臀部を捉え、バチーッン!と凄まじい音がした。 経験者だけあって、女性らしからぬ豪快なスイングであった。 ユキは、決まった、と思った。 当たった時の手の感触もなかなかのもので、生身の人間の尻を叩けることなど、そうあるものではない。八つ当たりではあったが、お陰で少し気持ちも晴れたような気がした。 ユキが約束通り金を払おうとした時だ。 ドМのジアリは「ありがとう」と言って千円を差し出した。