2024-12

2010・11・29(月)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団のブルックナー「6番」他

   東京文化会館大ホール  7時

 ブルックナーの「第6交響曲」は――第1楽章では第1主題が「アラビアのロレンス」や「野生のエルザ」のテーマにそっくりのフシだったり、終結部での転調が愉しかったり。初めて友人たちとレコードで第4楽章を聴いた際には、いよいよ最後のクライマックスと思って力を入れた瞬間にフワリと肩透かし(第371小節)され、皆で爆笑したものであった。
 そんなこんなで、私はこれは非常に好きな曲なのだが、惜しいことに、演奏会ではほとんど取り上げられない。先日のウィーン・フィル来日プログラムでも、折角予定されながら変更になってしまい、落胆したばかり。それゆえ今回の都響定期は干天の慈雨(?)みたいなものだ。

 第1楽章の、その最強奏による第1主題が非常に鋭く攻撃的に、鋭角的に轟きわたった瞬間に、インバルのコンセプトが明確に示されていただろう。リズムが明快で、響きが生々しく、全体に極めて骨太で剛直なスタイルのブルックナー。インバルのこれまでのブルックナーへのアプローチと軌を一にするものである。

 凡庸な演奏で聴くと甚だまとまりの無いような印象を与えるこの交響曲が、かようにがっしりとした構築を備えたものとして姿を現わしたのは、インバルのこの指揮によるところ大であろう。
 都響も歯切れがいいし、音も分厚く、底力のあるブルックナーを轟かせてくれた。
 この東京文化会館で聴くと、音は裸形に近いものとなり、余情にも不足するが、明日のサントリーホール公演ではまた異なった余韻が生れるだろう。

 なおプログラムの第1部には、四方恭子がソロを弾くモーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」が演奏された。

 昨日から、椅子に掛けていると神経が圧迫されるのか、激痛に襲われる。コメントでいただいた「そのうちツケが来ますよ」という予言(?)は、やはり当ったらしい。とりあえずこの分では、明日のゲルギエフの記者会見と、カルミニョーラとヴェニス・バロックは、諦めざるを得ないか?
 

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