2024-12

2009・5・12(火)グスタフ・レオンハルト・チェンバロ・リサイタル

  トッパンホール

 80歳とは見えないきりりとした姿勢に、学者のような風格を示すグスタフ・レオンハルト。
 2年ぶりのトッパンホールでのリサイタルは、前回同様――といっても、2007年のリサイタルは聴けなかったのだが――イタリアとフランスのチェンバロを弾き分けての演奏だ。

 今回は、前半にマルティン・スコウロネック製作(1980年)のイタリアン・タイプの楽器(特定モデルなし)でフレスコバルディ、バード、フローベルガー他の作品が、後半にアラン・アンセルム製作(1987年、17世紀フェリペ・デニスのモデルによる)でデュモン、パーセルなどの作品が演奏された。

 60年代から聴き続けて来た名匠、グスタフ・レオンハルト。私などの世代にとっては、チェンバリストの代名詞といってもいいくらいの存在だ。一種の懐かしさと親近感を抱いて聴かずにはいられない。
 だが、さすがの彼も、その演奏にやはり年齢を感じさせるようになった。悲しいが、今日の演奏を聴くと、それを受け止めないわけには行かぬ。
 しかし、それをむしろ独特の味として自身の芸風に取り込んでしまっている――というか、ある種の温かい音楽として聴かせてしまうところが、やはり円熟の名匠の見事なワザと言うべきか。時々グラリとする瞬間があっても、それを何気なく乗り越え、さり気なく真摯な音楽に戻る。練達の名人の語り口とは、こういうのを指すのだろう。ずっと元気で活躍を続けて下さい。

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