2024-12

2022・6・29(水)アレクサンダー・ガジェヴ ピアノ・リサイタル

       東京オペラシティ コンサートホール  7時

 2015年の浜松国際ピアノコンクール優勝者にして、昨年のショパン国際ピアノコンクール第2位入賞者アレクサンダー・ガジェヴのこのリサイタルは、完売満席。さながら女性専用演奏会の如し。

 プログラムは、前半にショパンの作品から「前奏曲嬰ハ短調Op.45」「ポロネーズ第5番嬰へ短調Op.44」、「ソナタ第2番変ロ短調Op.35《葬送》」、後半にシューマンの「幻想曲ハ長調Op.17」という曲目で構成された。

 浜松国際ピアノコンクールでの彼の演奏に関しては、当該の項(☞2015年12月1日、☞12月7日、☞12月8日)で多少書いた。7年も経った今では、その風格といい、自信満々の表情といい、演奏への感情移入の激しさといい、流石にあの時とは格段の違いがある。

 とりわけ今回、印象的だったことのひとつは、その音の美しさで、抜けるような明るさと透明さがあり、それが音楽をいちだんと爽やかな表情にしていたことであった。ふつうなら翳りの濃いはずの嬰ハ短調の前奏曲においてさえ、その明るさと爽やかさは冒頭から溢れんばかりに流れ出ていたのである。
 イタリアの若者らしい感性だ、などといい加減なことは言いたくないけれども、とにかくこの憂愁に満ちた作品を面白い感性で捉えるものだ、と、首をひねったり、感心したりしながら聴き入った次第だ。ましてや、シューマンのハ長調の「幻想曲」では、その明朗な解放感に満ちた演奏には、大いに魅惑されずにはいられなかった。

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