2024-12

2022・6・5(日)サントリーホール チェンバーミュージックガーデン
アトリウム弦楽四重奏団のベートーヴェン・サイクル初日

      ブルーローズ(小ホール) 2時

 今日は現場で聴く。

 2000年にサンクトペテルブルクで結成され、2003年にロンドンでのコンクールに優勝して檜舞台に躍り出た弦楽四重奏団で、現在はベルリンに本拠を置く由。
 既に4度の来日歴がある。私も1回だけ、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲3曲を一夜で演奏するという珍しいコンサートを聴いたことがあった(☞2013年12月9日)。

 今回は、16日までの6回にわたるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲ツィクルスで、今日はその初日だ。「第3番ニ長調」「第16番ヘ長調」「第7番ヘ長調《ラズモフスキー第1番》」というプログラム。アンコールでは「第1番」の終楽章が演奏された。客席はほぼ全部埋まっている。

 以前に聴いたチャイコフスキーでもそうだったが、ロシア系の奏者たちとは思えぬほど爽やかで軽快で、颯爽とした音楽をつくる四重奏団だ。特にテンポの速い部分では、気持のいいほど闊達な演奏を聴かせてくれる。「第3番」の第4楽章(プレスト)で、各パートが軽やかに応答しつつ進んで行くあたりなど、技術的な巧さもあって、天馬空を往くが如き趣で、小気味よいものがあった。「ラズモフスキー第1番」の快速楽章でも同様である。

 ただその一方、緩徐楽章にじっくりと心を込めるということになると、どうも未だしの感があるだろう。彼らの若さの故か、それとも、もともと、そういう情感的な思い入れには、最初から興味がないのかもしれない。それはそれでいいだろうが、しかしやはり、「作品135」(第16番)での、ベートーヴェンの最晩年のアイロニー感といったものがあまり表現されていなかったことは、私には些か不満に感じられる。この四重奏団のベートーヴェン、初期から中期にかけての作品なら、多分いいだろうと思う。

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