2024-12

2022・6・2(木)コンスタンチン・リフシッツのショスタコーヴィチ

        トッパンホール  7時

 このホールでリフシッツが演奏するのを聴くのは確か3度目になるが、いつものことながら、彼は何故かこのホールで弾く時には、2000人の大ホール向きの、もしかしたら武道館あたりでもいいくらいの大音量でフォルティッシモをとどろかせる。
 ご本人としてはそれなりの美学に基づいて演奏しているはずだが、それにしても、あれほど「音楽を叩きつけ」なくても、と思うのだが。このホールでの演奏に選ぶレパートリーの所為なのか。 

 リフシッツは、他のホールで樫本大進と協演した際には、もっとふくよかなフォルティッシモを弾いていたし、3年前のびわ湖ホール(小ホール)での「ゴルトベルク変奏曲」では、さらに思索的な、表情豊かな音で弾いていたのだ。30年前、モスクワのグネーシン音楽学校の教室で初めて聴いた少年時代の彼の演奏は、はるかに繊細なものだったが━━。

 今日のショスタコーヴィチ・プログラムでも、まず「24の前奏曲」を弾き、次に山根一仁と「ヴァイオリン・ソナタOp.134」を演奏したが、ここまでで約75分、そのピアノの強烈さにこちらもたたきのめされ、ヘトヘトになった(もちろん、熱狂していた人も見られた)。 

 休憩後には「ピアノ五重奏曲ト短調」があって、これには山根一仁、東亮汰(vn)、川本嘉子(va)、遠藤真理(vc)が協演していた。ここではリフシッツも、アンサンブルとしてのバランスを考えていたようだが、しかし彼の強靭なピアニズムに各奏者が猛烈に応戦する個所もあった。
 もっとも、第1部での「ソナタ」で協演した山根の気迫充分のソロは激烈で、リフシッツとの丁々発止の応酬も凄まじく、これはこれで実に聴き応えがあった。

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