2021・12・9(木)飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルのシューマン
東京オペラシティ コンサートホール 7時
シティ・フィルの新企画、桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎との「シューマン交響曲全曲演奏シリーズⅠ」。今日は「第1番」と「第2番」が演奏された(因みに「シリーズⅡ」は来年6月11日の由)。コンサートマスターは戸澤哲夫。
演奏には並々ならぬ気魄が込められており、「第1番《春》」など、冒頭から沸き立つような熱気にあふれていた。おなじみの重厚でスケールの大きな演奏である。アンサンブルは少し粗いけれども、綺麗に整っていてもつまらない演奏よりは、こういう覇気に富んだ演奏の方が、私は好きだ。
しかし、いっそう演奏が見事だったのは「2番」だったであろう。第1楽章コーダの追い上げは凄まじく、第4楽章終結での怒涛のような昂揚感も印象的で、ここぞという頂点で一押し、力感と昂揚感を更に高めるという大わざに、このところ飯守はますます長けて来ているような気がする。
この「2番」という曲、作曲当時のシューマンの不安定な精神状態も影響して、「ハ長調」でありながらもどこか神経質で落ち着かない性格を持っている曲に感じられるものだが、飯守の指揮で聴くと、そこにも堂々たる風格と威容が加わり、それらが作品をむしろ堅固な性格のものに近づけているように思われる。
つい先頃も体調を崩したというマエストロ飯守だが、今日は楽章間でこそ椅子に掛けて休むことがあっても、演奏の時には常にきりりと立ったまま、指揮を続けていた。オーケストラもマエストロへの尊敬と信頼から、自発的に演奏を盛り上げているようにも感じられる。
演奏が終って、袖のドアの傍で椅子に掛けて休んでいるマエストロに向かい、ステージから引き上げて来る楽員たちがひとりひとり「先生、ありがとうございました」とにこやかに声をかけながら通って行く光景が印象深かった。
シティ・フィルの新企画、桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎との「シューマン交響曲全曲演奏シリーズⅠ」。今日は「第1番」と「第2番」が演奏された(因みに「シリーズⅡ」は来年6月11日の由)。コンサートマスターは戸澤哲夫。
演奏には並々ならぬ気魄が込められており、「第1番《春》」など、冒頭から沸き立つような熱気にあふれていた。おなじみの重厚でスケールの大きな演奏である。アンサンブルは少し粗いけれども、綺麗に整っていてもつまらない演奏よりは、こういう覇気に富んだ演奏の方が、私は好きだ。
しかし、いっそう演奏が見事だったのは「2番」だったであろう。第1楽章コーダの追い上げは凄まじく、第4楽章終結での怒涛のような昂揚感も印象的で、ここぞという頂点で一押し、力感と昂揚感を更に高めるという大わざに、このところ飯守はますます長けて来ているような気がする。
この「2番」という曲、作曲当時のシューマンの不安定な精神状態も影響して、「ハ長調」でありながらもどこか神経質で落ち着かない性格を持っている曲に感じられるものだが、飯守の指揮で聴くと、そこにも堂々たる風格と威容が加わり、それらが作品をむしろ堅固な性格のものに近づけているように思われる。
つい先頃も体調を崩したというマエストロ飯守だが、今日は楽章間でこそ椅子に掛けて休むことがあっても、演奏の時には常にきりりと立ったまま、指揮を続けていた。オーケストラもマエストロへの尊敬と信頼から、自発的に演奏を盛り上げているようにも感じられる。
演奏が終って、袖のドアの傍で椅子に掛けて休んでいるマエストロに向かい、ステージから引き上げて来る楽員たちがひとりひとり「先生、ありがとうございました」とにこやかに声をかけながら通って行く光景が印象深かった。
コメント
集客
1番も2番も大熱演、豊富な表現に加え、bravo vpoさんもおしゃっているように、戸澤さんの周囲を中心として、粋のいい若手の新鮮さ、覇気も光る、素晴らしい内容に感動しました。
来年もなかなか見所、聴き所が多いと思われるシティ・フィル。大いに期待したいと思います。
来年もなかなか見所、聴き所が多いと思われるシティ・フィル。大いに期待したいと思います。
久しぶりのシティ・フィルで、見慣れない若手も増えて新鮮だったし、演奏も、濃厚なロマンティシズムが発揮されて好演だった。しかし、わたしのいた前方はそこそこ埋まっていたが、後方はガラガラだった由。ご時世で、各オケの企画が似通っているなか、集客は難しい。敢えて提案させてもらえば、指揮者陣の一新を求めたい。川瀬賢太郎等若手の登用が良い。昔サッカー観戦も趣味だったが、観戦に飽きた娘が、向こう正面を散歩してもどこにいるかわかるほど、ガラガラだった席が、Jリーグになったとたん一杯になった。なんかの拍子に客は集まるもの。