2024-12

2018・8・25(土)マイケル・コリンズとその仲間たち

    ヤマハホール  2時

 マイケル・コリンズ━━同姓同名の有名人があまりに多くてややこしいが、このマイケル・コリンズは、アイルランドの政治家でも、ラグビー選手でも、宇宙飛行士でもない。英国の名クラリネット奏者である。

 今回はちょっと面白いプログラムで、ドナート・ロヴレーリョ(1841~1907)の「《椿姫》の主題による協奏的幻想曲」に始まり、モーツァルトの「ケーゲルシュタット・トリオ」が続き、次いで「夏の思い出」「からたちの花」「赤とんぼ」「たあんき、ぽーんき」をカルベルトがソプラノ・ソロ(日本語)と室内アンサンブルのために編曲したものが演奏された。 
 そして休憩後には、シューベルトの「家庭戦争」からシュピーゲル編の「ヘレンのロマンス」と、R・シュトラウスの「明日の朝」が歌われ、最後にブラームスの「クラリネット五重奏曲」が演奏された。

 演奏は、マイケル・コリンズのクラリネットを先頭に、村田千佳(pf)、岡本誠司(Vn)、直江智沙子(vn)、鈴木康浩(va)、富岡廉太郎(vc)、シャーロット・ロスチャイルド(S)という顔ぶれだ。
 ロスチャイルドというおばさんは、私は初めてナマで聴いたが、かなり個性的な発声と歌い方をする人だなと驚く。彼女の歌唱の日本語は、もちろんネイティヴ的ではないにしても、鮮やかなもの、と言えば言えるだろう。特殊な歌い方の中にも、極めてあたたかい情感がこもっていることは間違いない。

 ただ、━━と、ついでに余計なことを考えてしまう。かりに日本人歌手がドイツ語なりイタリア語なりで歌った場合、本国の人々はやはり、これに似た違和感と、併せて寛容さと、感嘆と、称賛とが綯い交ぜになった気持で聴くのだろうか? 

 ブラームスの五重奏曲は、さすがに聴きものではあった。しかし第1楽章では、クラリネットは他の4つの楽器に対し、リーダー的ソロという位置に立つのではなく、あくまで同等な位置にいる━━という解釈なのかもしれないが、それにしても他の4つの弦楽器が鳴り過ぎ、弾き過ぎたのではないか? 
 客席後方で聴いていたのだが、勢いよくバリバリ弾かれる弦にクラリネットが埋没してしまい、ほとんど聞こえない個所があまりに多すぎたのである。これでは、真の室内楽とは言い難いのでは。

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