2024-12

2017・3・29(水)東京・春・音楽祭
バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット

      上野学園 石橋メモリアルホール 7時)

 前の「永井荷風」のコンサートが3時45分に終り、時間が空き過ぎるとはいえ帰宅するのも効率が悪いので、東京文化会館の中にある「精養軒」に入り、「チャップスイ」とメロンソーダとコーヒーとを注文して「しょば代」とし、パソコンで仕事をしつつ夜の公演を待つ。
 この「チャップスイ」という簡単な料理は、1960年代からこの店のメニューにあるもので、私もノスタルジー感覚でよく注文することがある。

 「バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット」は、ベルンハルト・ハルトーク、ミヒャエル・フレンツェル、ウルフ・クラウゼニッツァー、眞峯紀一郎の4人からなる、ヴァイオリン4本編成という珍しい弦楽四重奏団である。バイロイト祝祭管弦楽団に長年参加しているメンバーが12年前に結成したもので、すでに何度か来日している。
 ヴァイオリンだけの四重奏ながら、その音色は実に多彩であり、いかにもドイツのベテラン演奏家らしい深い陰翳に富んでいて、不思議な味がある。

 最初のラモーの「4つのヴァイオリンのためのオペラ組曲」(ヴィオロン編)は、ドイツ人の演奏するラモーとはこういうものか、と微苦笑させられるような粘ったものだったが、次の「ニーベルングの指環」組曲は、さすがお手のもの、といった感の演奏になった。
 このうち第1~3曲(「ラインの黄金」から「ジークフリート」まで)は、日本の若い女性作曲家・廣田はる香が編曲したもので、実に良く出来ている。単にどの部分かの旋律を弦楽四重奏に編曲するといったものではなく、さまざまなモティーフを幻想曲風に、起伏充分に織り成しつつ紡いで行く、とでもいう手法で、そのヴァイオリン群の交錯する音色もまた凝ったものであった。
 なお第4曲(神々の黄昏)のみは、ナリ・ホンという人の編曲によるものとか。

 第2部では、ヤーコブ・ドントの「4つのヴァイオリンのための四重奏曲ホ短調Op.42」の古典的な響きで開始され、一転して現代作曲家ベルトルト・フンメルの「4つのヴァイオリンのためのディヴェルティメントOp.36」の濃密で躍動的な響きとなり、最後はラヴェルの「クープランの墓」(ブラントナー編)の華麗な音色になる、というプログラムの流れになっていた。特にフンメルの作品は、聴き応えがあった。
    →別稿 モーストリー・クラシック6月号 公演Reviews

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