2024-12

2017・3・20(月)東京・春・音楽祭 「禁じられた作曲家たち」

     上野学園 石橋メモリアルホール  3時

 これは意欲的な企画。聴衆の数は多くはなかったが、貴重な演奏会であった。こういう「研究的な」コンサートをいくつか混ぜるところが「東京・春・音楽祭」の面目躍如というものであろう。

 コンサートのタイトルは「東京春祭ディスカヴァリー・シリーズvol.4 忘れられた音楽━━禁じられた作曲家たち~《Cultural Exodus》証言としての音楽」という長いもの。
 ナチスの迫害により故国を去り、あるいは追われ、あるいは投獄された作曲家たちの「知られざる」作品を紹介するのが狙いで、ウィーン国立音大exilarte Centerセンター長ゲロルド・グルーバー氏の解説(通訳・井上裕佳子さん)も入る。

 プログラムは、マリウス・フロトホイス(1914~2001)の「オーバードOp.19a」、ヘルベルト・ツィッパー(1904~97)の「弦楽四重奏のための幻想曲《経験》」、ベラ・バルトーク(1881~1945)の「ハンガリー農民組曲」、ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919~96)の「フルートとピアノのための12の小品Op.29」抜粋、ハンス・ガル(1890~1987)の「フルートと弦楽四重奏のためのコンチェルティーノOp.82」。
 演奏はウルリケ・アントン(フルート)、川崎翔子(ピアノ)、プレシャス・カルテット(加藤えりな、古川仁菜、岡さおり、小川和久)。

 これらの作曲家たちの中には、迫害で命を落とした人はいない。そういえばこの演奏会、たしか当初は「亡命作曲家」何とかというタイトルになっていたのでは? 
 そしてバルトークを除けば、みんなつい最近まで生きていて、それぞれいろいろな国で音楽活動をしていた人ばかりだ。

 だが、そのバルトークのもの以外は、こういう機会ででもなければ、滅多に聴けない作品ばかりであろう。前衛的な傾向の作品は見当たらず、どれも今となっては耳当りのいい作品で、特にヴァインベルクやガルの音楽には、フランスのそれにも似た作風さえ聴き取れるし、しかも後者の作品には徹頭徹尾、調性を重んじた優しい(?)曲想があふれかえっている。

コメント

私も聴きに行きました。人が入らないのは周知の上で、こういう演奏会を企画してくれることが嬉しくて、応援したいと思いました。

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