2024-12

2017・3・19(日)大友直人指揮群馬交響楽団 東京公演

     すみだトリフォニーホール  3時

 国内のメジャー・オーケストラの中で、充分な実力がありながら音響的に不満足なホールを本拠地にしているもう一つのオーケストラが、この群馬交響楽団である。
 今回は、トリフォニーホールの3階席で聴いてみたが、実に豊かな響きであり、堂々たる風格の音だ。
 プログラムは、千住明のオペラ「滝の白糸」序曲、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」(ソリストは萩原麻未)、ラフマニノフの「交響曲第2番」。コンサートマスターは伊藤文乃。

 圧巻は、やはりラフマニノフの「2番」である。
 この曲はマエストロ大友の定番というか、極め付きの十八番というべき交響曲だ。その演奏に舌を巻いた最初は、もう20年も前のことで、あれは東京交響楽団を指揮して━━たしかCDにもなっていたのではないか? 
 この日の演奏も、非常に密度の濃い快演だった。憂愁と、郷愁と、甘美さと、豪壮さとを兼ね備えたもので、特に全曲の山場たる第3楽章(アダージョ)は、それに相応しい情感の豊かさをもった演奏だった。最後の最弱音が消えて行くあたりも、絶妙である。
 音楽監督・大友直人と群響との協同作業が好調であることを感じさせる演奏といえたであろう。

 第1部での2曲━━チャイコフスキーの協奏曲では、オーケストラと、萩原麻未のダイナミズムと叙情的な優しさとを併せ持つソロとが、アゴーギクの点で必ずしも調和しているとも感じられなかったが、いっぽう「滝の白糸」序曲では、日本的でトラディショナルな、耳当りの好い曲想を丁寧に再現した演奏で、3年前に聴いた全曲舞台上演の際の演奏よりも、遥かに音楽の美しさが感じられた。

 それにしても群響に、日常の定期を音響の良いホールで開催できる時が一日も早く訪れるよう願ってやまない。だが2年ほど経てば、高崎に新しいホールが竣工される由。ただし、客席2千ほどの、パイプオルガンのない大ホールだとか。音響設計が永田音響であることに期待をかけよう。

コメント

同感です

群馬音楽センターで聴く度に惜しいなあと思います。新ホール早期の竣工を願うばかりです。オルガン無しは少し残念ですね。

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