2024-12

2017・3・16(木)ぺトル・アルトリヒテル指揮プラハ交響楽団

     東京芸術劇場 コンサートホール  7時

 1934年創立のプラハ交響楽団。現在の首席指揮者はあのピエタリ・インキネン。今回は、90年代に短期間、首席指揮者を務めたペトル・アルトリヒテルとともに来日した。
 プログラムは、スメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲。チェコのオケとしては最強のプログラムだろう。

 このオケは、私は最近10年ほどの間には、コウト、マカル、インキネンのそれぞれ指揮で来日公演を聴く機会があったが、良いオケだと思う。
 50年ほど前、当時の首席指揮者スメターチェクの指揮したドヴォルジャークの「第3交響曲」を聴いた時に感じた魅力を、今でもそのまま再現してくれるオケである。いわゆる機能的な楽団ではないけれど、真摯で温かみがあり、最良の意味でのローカル性を今なお持ち続けているオーケストラだ。

 それゆえ、この連作交響詩「わが祖国」も、良い意味での土臭さと、ある種の懐かしさと、民族音楽的な旋律の美しさと、民族舞踏的なリズム感と、━━そういう要素を、これ見よがしではないけれども、随所に感じさせてくれる演奏になっていたのである。

 アルトリヒテル(アルトリフテル?)は、結構大暴れする指揮者で、また答礼する前後には脚をおかしな形に交錯する愛敬のある人だが、つくり出す音楽にはすこぶる良い雰囲気がある。
 第1曲「高い城」では金管を猛烈に響かせるので、この調子で全曲をやられたらとてもたまらないと怖じ気づいたほどだったが、第2曲の「モルダウ(ヴルタヴァ)」では一転して、実に柔らかく豊麗な音で水の流れを描き出してくれたので、いっぺんに魅惑されてしまった。月光の場面など、その夢幻的な音色に陶然とさせられたほどだ。

 第3曲「シャールカ」ではツィティラート軍団の行進や舞踏のリズムも躍動的(この部分はチェコのオーケストラの独壇場である)だし、「ボヘミアの森と草原より」や「ターボル」での、クライマックスへの追い込みも熱っぽく、これらも良い意味での洗練されていない素朴な荒々しさに満ちている。一風変わった指揮者だが、面白い。

 カーテンコールは3回ほどやって、あっさりとお開きになった。ヨーロッパのオケは、日本に来た時は延々とカーテンコールをやることが多いが、ヨーロッパでやる時には、普通は大体この程度の回数のようである。

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