2024-12

2016・5・15(日)トッパンホール15周年室内楽フェスティバル初日

      トッパンホール  3時

 トッパンホールは実に良い企画を組む。

 今回の15周年記念のフェスティバルも、6回に及ぶ公演でシューベルト、シューマン、ブラームスなどからシェーンベルクにいたる作曲家の作品を集め、歌曲と室内楽のレパートリーから選曲、なかなか多彩なプログラムを構成している。
 その中でも、シューベルトのピアノ三重奏曲2曲と、弦楽五重奏曲および歌曲集は、特に目立つ存在だろう。

 今日、初日はシューベルト・プロ。
 前半には、ユリアン・プレガルディエン(テノール)とラルス・フォークト(ピアノ)の協演で、「秋 D945」「あこがれ D879」など9つの歌曲が歌われた。
 なお最後の「流れの上で D943」のチェロには、ターニャ・テツラフが協演するという洒落た顔合わせであった。彼女はそれまでの8曲を、ステージ下手側の隅で聴いていたのである。

 歌ったユリアン・プレガルディエンは、あのクリストフ・プレガルディエンの子息で、1984年生まれとのこと。若いが、しっかりと筋の通った歌唱を聴かせてくれる。
 ただ、若さはやはり仕方のないところで、3曲目の「私の心に D860」などのような情熱的な曲想を歌う場合にはそれなりの勢いのいい気概を感じさせるのだが、哀しみや物想いをしみじみと歌い上げるべき部分では、まだまだ・・・・と言わざるを得まい。
 水曜日の「詩人の恋」や、日曜日の「白鳥の歌」では、どんな具合になるか?

 後半は、「ピアノ三重奏曲第2番」。クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)が加わり、ターニャ・テツラフとラルス・フォークトとのトリオで演奏された。
 これは驚くほど強烈なダイナミズムを持った演奏で、特にフォークトのピアノは、最強奏個所ではホールを揺るがせんばかりの大音響となり、クリスティアンも鋭角的な強奏でこれに応じる。あたかも、強靭な意志力を備えた、荒々しい現代音楽的シューベルト━━といったイメージである。
 まあ、それはそれでいいのだが、この小さなホールで、何もそんなに大きな音を出さなくても・・・・。

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