2024-12

2015・12・6(日)浜松国際ピアノコンクール本選2日(最終日)

     アクトシティ浜松大ホール  2時

 あの3次予選を勝ち抜いた6人の本選出場者は、アレクセイ・メリニコフ、ダニエル・シュー、アレクサンデル・ガジェヴ(以上は第1日の昨日に演奏)、およびアレクシーア・ムーサ、フロリアン・ミトレア(ルーマニア 26歳)、ロマーン・ロパティンスキー(ウクライナ 22歳)であった。

 本選では、課題曲の協奏曲を、高関健指揮東京交響楽団との協演で演奏する。今日の3人━━まずムーサは、チャイコフスキーの「1番」をヤマハのピアノを使って弾き、漸強や漸弱を多用して細かいニュアンスの演奏を聴かせたが、ミスタッチが少なからずあったのが惜しい。
 ミトレアは、プロコフィエフの「3番」をカワイのピアノで弾き、非常にエネルギッシュな、ダイナミックで骨太な演奏を聴かせた。
 そしてロパティンスキーは、ラフマニノフの「3番」をスタインウェイのピアノを使って弾き、前半2楽章でつくり出した陰翳を、第3楽章で一気に開放して華麗に盛り上げるという構築を採っていた。彼の演奏、みんなが誉めるほどには面白いとも思わなかったが━━ある意味でバランスの取れた演奏であったことは確かである。

 2日間の本選で出場者が選んだ協奏曲は、ラフマニノフの「3番」が2人、プロコフィエフの「3番」が2人、ラフマニノフの「2番」とチャイコフスキーの「1番」が各1人。派手に終って聴衆をワッと沸かすことができるとなれば、どうしてもロシアものに偏ることになるのかもしれない。だが、こういうレパートリーでしか得点が稼げぬ風潮があるとすれば、現今のコンクールはちょっと偏った傾向があるのではないかという気もする。

 演奏が4時40分頃に終ると、ホールは一度閉められて表彰式の準備に入る。
 5時半、再び開場となり、1階席のみ聴衆や取材陣を入れて表彰式が行われる━━といっても、予想通り審査が長引いたようで、実際にセレモニーが始まったのは6時20分になってからであり、海老彰子審査委員長から入賞者が発表されたのは7時頃になっていた。

 結果は、以下の通りである━━優勝はイタリア/スロベニアのアレクサンデル・ガジェヴ。第2位がロパティンスキー、第3位がメリニコフ、シュー、ムーサの3人(!)。そして第6位ならざる「第4位」がミトレア。
 なお聴衆賞(聴衆の投票により選ばれる)がガジェヴ、室内楽賞がミトレア、奨励賞が三浦謙司、日本人作品最優秀演奏賞がイーゴリ・アンドレーエフ(ロシア 27歳)であった。

 前回と異なって、私の予想とは些か違ったが・・・・もっとも今回は、おしなべて水準は高かったものの、突出した個性を持つ出場者がなく、どういう順番になってもおかしくはなかろう、というのが私の率直な印象だったから、「予想と違った」もなにもない。
 それゆえ、彼らの中から成長して世界の大コンクールで優勝するとか、コンクールとは無縁でも着実に成長して誠実な演奏を聴かせるとかいう人が出るように、期待しよう。

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