2024-12

2015・12・2(水)第9回浜松国際ピアノコンクール 第3次予選2日目

       アクトシティ浜松中ホール  午前10時

 今日は、続く6人が演奏する。

 室内楽は━━これも昨日と同様なのだが、モーツァルトだからというせいもあるのか、みんなおそろしく丁寧に、時には慎重すぎるような姿勢で弾いている。それは大変美しくはあるのだが、何か演奏に、吹き上げる喜びといったような雰囲気があまり感じられないのである。不思議であり、残念でもあった。

 後半のトップを切ったノ・イェジン(53、韓国 28歳)も、モーツァルトの「ピアノ四重奏曲」を丁寧に弾く。シューマンの「ソナタ第1番」になると、瑞々しさが花開いた感。「ペトルーシュカからの3つの断章」もいい音で、安定している(ピアノはヤマハ)。

 続くはドミトリー・マイボロダ(44、ロシア 22歳)だ。室内楽はみんなと同じようにきれいに弾いたが、いざラフマニノフの「前奏曲」(3曲)と「展覧会の絵」に入るや、ロシアの作品はこう弾くんだとばかり、豪快で骨太なアプローチで意地を見せるのが面白い。特に後者は構築を研究しつくしたという感で、ありとあらゆる手練手管を動員し、なかなか変化に富んだ演奏を聴かせたけれど、ちょっと自己陶酔的にいじり過ぎたという感もなくもない。彼はしばしば陶酔したような身振りで弾き、また、ピアノの前に座っても、椅子の高さを何度も調節したり周囲を見回したり、なかなか弾き出さないという変な癖もある青年だ(ヤマハ)。

 予定時間を20分も過ぎて、漸く午前の部を終了した。これはマイボロダが持ち時間をオーバーしたためもあるが、昨日と同様、審査員たちがロビーでベラベラお喋りしていて、なかなか審査員席に着かないため、進行が押してしまう傾向があったためでもある。

 ここまで、12人の中の8人を聴いて、東京に引き返す。
 昨日の印象と同様、みんなよく弾くし、上手くて見事だけれども、さりとて「決め手」に今一つ不足する、という感じだろう。あとの4人の演奏は聴けなかったが、いずれにせよ、今夜には計6人の本選出場者が決まる。ここまでは帰りの新幹線の中で書いたが、これがアップロードされる頃には、浜松国際ピアノコンクールのサイトに、出場者の決定リストが発表されているだろう。だが、ゲームとしても面白いから、この原稿はこのまま変更しないでおく。

 午前の部が終った時、2階ロビーには審査員と取材陣用の昼食が用意されていたが、食べる時間が無くなった。そのまま新幹線の浜松駅へ向かう。列車の変更に手間取る。飛び乗る直前、自笑亭の「うなぎ弁当」をほぼ30年ぶりに購入してみた。内容に比して、随分と割高だ。味も昔よりさらに落ちたのではないか? 

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