2024-12

2012・2・12(日)井上道義指揮東京フィル マーラー「交響曲第9番」

   オーチャードホール  3時

 マエストロ井上も、札幌で「トゥーランガリラ」を弾いた児玉桃も、今年の「ラ・フォル・ジュルネ」出演者。私たちより1日早くナントを発って来たそうな。エール・フランスのストにぶつからず、幸いだった。

 ちなみにわれわれ取材班の方は、パリから乗るはずの6日のAF278便がストで欠航するため、半日早い便で帰国という仕儀となった。いつものような単独旅行なら、自分で代わりの便を探して大汗かくところだが、今回は勧進元にお任せしていたので、のほほんと構えていられたのは有難い。
 ただ、勧進元が旅行の手配を依頼していたJTBからは「スト勃発」の連絡が何一つなく、しかも週末で担当者とも連絡つかず・・・・の状態だったそうで、勧進元も大変だったに違いない。

 余談はともかく、その帰りの飛行機の中の空気が乾燥していて、すっかりノドとハナを痛めてしまい、それがきっかけで、2、3日経つと咳が出始めた。かくして今日のコンサートでは、咳をこらえるのに死ぬ思い。
 これほど咳を我慢するのが苦しいとは、知らなかった。何度か途中で立とうと思ったが、そっと出るには席の位置が不都合すぎる。ついにもうだめだと思い、第3楽章が終った瞬間に出てしまおうと決心していたら、なんと井上サンは、ほとんど間を空けることなくあのアダージョの静謐な第4楽章を開始してしまったのだ・・・・。

 周囲のお客さんにも、随分迷惑をかけたのではないかと、身の縮む思いである。こういう状態では、申し訳ないが折角の「井上のマーラー」も上の空、ほとんど聴いていないに等しく、ここに書くべき材料は無い。

 この「9番」に先立って演奏されたのは、井上道義の自作の交響詩「鏡の眼(まなこ)」という15分ほどの長さのオーケストラ曲(この頃はまだ咳は酷くなかった)。
 予想外にロマン的な性格もあり、叙情的な個所は、マーラーの「9番」のフィナーレへの、あるいは「10番」の世界への憧れ、オマージュといったものさえ感じさせる。「ヴォツェック」にも似た、一つの音の激しいクレッシェンドも織り込まれ・・・・マーラーへの憧憬と、そこからの訣別を秘かに願う感情との葛藤のようでもあったが、これはあくまで聴き手側の印象。

コメント

このホールは弦楽器が今ひとつ良く響かないのが残念。マラ9では、遅めのテンポでじっくりと歌い上げた1楽章、暴力的な3楽章が印象的。金管楽器が好調で、特に高橋さんの朗々たるホルンは聴き応え充分。このホルンが聴けただけでも聴きに行った甲斐があったというもの。

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