2024-12

2011・3・4(金)リッカルド・シャイー指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

   サントリーホール  7時

 このコンビ2度目の来日は、僅か2日間の東京公演のみ。
 今日はその初日で、ブルックナーの「交響曲第8番」(ノーヴァク版)が演奏された。

 コントラバスは下手側に10本並んでいたが、そのわりにさほど低音が強調されるというほどでもなく、響きの重心はむしろ高い位置にあったように感じられる。そのあたりがやはりシャイー、いわゆる独墺系のブルックナーとはかなり性格を異にするゆえんだ。
 そして、オーケストラの分厚い音圧を、明るめの音色を以って客席へ開放的に響かせるところや、楽章中に何度か現われるクライマックス個所で劇的にテンポを速めるところなども、シャイーならではの個性であろう。

 ゲヴァントハウス管弦楽団の弦楽器には、昔ながらのしっとりした音色も残されてはいたものの、全体としては、今夜はシャイー色に染められたブルックナーが演奏された、と言えるかもしれない。

 それはそれでいいのだが、最大の疑問は、シャイーがあまりに開放的にオーケストラを鳴らしすぎるため、ブルックナーの管弦楽法に備わっている数々の美しい魅力――たとえば管楽器群と弦楽器群の精妙極まりないバランスや、それらが交錯する内声部の神秘的な響き、清澄で透明な音色といったものを含めて――を、著しく犠牲にしてしまい、単なるエネルギッシュな音塊として構築してしまったのではないか、という点にある。

 音響的な小気味よさを好む人は多いだろうが、残念ながらこういうブルックナーは、私の好みとは違う。もちろん、ゲヴァントハウス管弦楽団の良さは別としての話だけれど。

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