老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「PCR検査」がなぜ増えないのか!

2020-04-23 20:47:47 | 社会問題
●現状認識

WHOも言っているように、感染症対策は、【検査】【調査】と【隔離】に尽きる。

アジア型と呼ばれる対策(中国・韓国・台湾)は、それを徹底的に行い、感染集積地(最も感染者の多いところ)に医療資源を投入。感染拡大を抑え込み、ある程度の成功を収めている。

(※スペイン風邪のように、第三次くらいまでの感染拡大は覚悟しなければならないので、現時点で完全な成功とまでは言えない。)

ところが、日本の実情は、世界でも突出して「PCR検査」数が少なく、米国大使館が「日本の感染の本当の実態は分からず、日本の医療機関がそれに対応した医療が提供できるかどうか不明なので、できるだけ早く帰国しなさい」と勧告しているあり様である。

当初、米国と英国と日本が検査数が少なく、世界の劣等生と言われていたが、米国と英国は「PCR検査」を行う事に方針転化。日本だけが世界の趨勢に後れを取っている。

●なぜ、日本は「PCR検査」を行わないのか。

WHO上級顧問渋谷健司氏は以下のように述べている。渋谷氏は、初期北海道などの感染拡大時期のクラスター重視の方針に対しては、一定の評価をしているが、「PCR検査拡大が医療崩壊を招くなどという」議論に対しては、完全否定をしている。世界基準にはない議論であると断定している。

・・・「――日本では当初から「検査を抑えて医療態勢を守る」という考えがありました。そもそも、世界の専門家の間でこのような手法はどう評価されているのでしょうか。

検査を抑えるという議論など、世界では全くなされていません。検査を抑えないと患者が増えて医療崩壊するというのは、指定感染症に指定したので陽性の人たちを全員入院させなければならなくなったからであり、検査が理由ではありません。

むしろ、検査をしなかったことで市中感染と院内感染が広がり、そこから医療崩壊が起こっているのが現状です。

――政府の専門家会議は、機能していると考えていますか。

科学が政治から独立していないように見受けられ、これは大きな問題だと感じています。

先ほど指摘しましたが、4月1日時点で「東京は感染爆発の初期である」と会議メンバーは知っていたはずです。それならばそこで、緊急事態宣言をすべしという提案を出すべきでした。」・・・
WHO上級顧問・渋谷健司さんが警鐘 「手遅れに近い」状態を招いた専門家会議の問題点
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200417-00000078-sasahi-soci
 AERAオンライン限定記事

実は小池東京都知事がオリンピック延期が決まった後、コロナ危機をTVで叫んだ時、専門家として紹介された大曲医師が、PCR検査を積極的に行うと「医療崩壊」を起こすと語り、「PCR検査」抑制論を述べていた。

これに対し、メディア側でも「検査抑制論」を唱えるコメンテーターが何人もでた。

当初から、徹底的な「PCR検査」促進論を主張していたのは、TV朝日の「羽鳥のモーニングショー」の岡田教授と玉川キャスターだった。

実は大曲医師の主張は、政府(厚労省)と専門家委員会の方針通りであり、安倍首相が世論に押されて、PCR検査の保険適用を発表した時も、PCR検査を受ける条件(37.5度以上が4日間続いた場合など)をつけて実質的に「PCR検査」を受けにくくするようにした。

この条件を考え出したのが、厚労省の医系技官・技監。つまり、厚労省挙げて、PCR検査促進を阻害していたと言って良い。

●犯罪的ともいえる「PCR検査」促進阻害

この問題性については、東京大学先端技術研究所教授の児玉龍彦氏の所論が最も信頼できる。金子勝教授の経済政策批判と共に、以下で見る事ができる。

検査妨害をしてきた「専門会議」と「厚労省医系技官・技監」の問題性も明確に語られている。

「自粛で東京を救えるか」https://www.youtube.com/watch?v=7EtDPtKd4L0
「自分で考え、いのちを守れ!」 https://www.youtube.com/watch?v=RUrC57UZjYk 
「東京はニューヨークになるか」https://www.youtube.com/watch?v=r-3QyWfSsCQ 
「検査、検査、検査そして隔離」https://www.youtube.com/watch?v=ApAbkrsa7ZU 

●国家の衰亡を招く官僚たちの【不作為】

クルーズ船(ダイヤモンドプリンセス)の時にも書いたが、有事と言う言葉を乱発してきた安倍政権とその仲間たちには、本当の国家有事(緊急事態)に対応できる準備も能力も胆力もない。

何故なら、【有事】に対応するためには、平穏な日常性の中で「最悪」の事態を想定して、その対処のための準備を怠らない「注意力」と「想像力」が必須の条件になる。

これを実践するためには、「事なかれ主義」の周囲との軋轢は避けては通れない。上司や周囲に対する忖度だけで実現できるような問題ではない。時には、周囲から「変人奇人」扱いを受ける事を覚悟しなければならない。

しかし、現在の厚生官僚たちには、そんな度胸はない。例えば、韓国や台湾は、SARSやMARSなどの教訓を、今回の新型コロナ・ウイルスの対応に生かしている。中国もそうである。(詳しくは、上に紹介した児玉教授の話を聞いてほしい。)

ところが日本はその逆である。以前にも紹介したが、感染症対策の予算をどんどん削減してきた。同時に、自民党政権は、日本の医療体制を新自由主義的思想に基づいて、どんどん削減してきた。

医療費は値上げする、その一方で、効率化の名のもとに地方の病院はどんどん削減され、地方の医療体制は瀕死の状況に陥っている。また、保健所もどんどん削減。人員も削減してきたのである。

そこに新型コロナ・ウイルスの検査やクラスターの追跡などの仕事を全部押し付けてれば、PCR検査が十分できないのは当たり前である。

今、橋下徹がメディアに出て、大声でわめいているが、大阪で全国以上に保健所をどんどん削減し、弱体化した体制にしたのは、彼である。「PCR検査」がなかなか伸びないのは、保健所の削減が大きな要因になっている。

そんな状況を百も承知で保健所に面倒な仕事を全部丸投げし、PCR検査ができない責任を保健所職員に擦り付けようとする厚生官僚や専門家委員の無責任ぶりにはあきれ果てる。

彼らには、「国民の為に」という想いなど感じられない。「ミスなく」「大過なく」という事なかれ主義しか感じられない。とにかく、前例にない手段を行って失敗したらどうしようという【減点主義】の発想しか感じられない。

だから、何もしない。何もしなければ、失敗しない。有事において、この【不作為】の罪は許しがたい。

児玉氏に言わせれば、同じ罪を文部科学省も犯している。東大でも東京医科歯科大でも理化学研究所でも、全国の医学部を持っている大学は、みな【PCR検査】ができる。現在の検査数程度の検査は簡単にできる。ところが、文部科学省は、それを奨励しない。それどころか、大学を休ませる方向で指導している。

現在のような国家的危機では、【PCR検査】も積極的に行い、ワクチン開発や特効薬開発などに大学の医学部は積極的に参加すべきはずだが、文科省はそれを奨励しない。奨励しないばかりか、新型コロナ研究は止めろ、という姿勢だそうだ。

この国家的危機に際してこの「不作為の姿勢」は、犯罪的と言っても過言ではない。

今回のコロナ危機を見る視点として、安倍政権の統治能力の無さ、危機に際しての無作為と無能力も大問題だが、官僚たちの【不作為】の罪は、決して見逃してはならない。

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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