解散直後から、民主党のマニフェストの子ども手当(0歳~15歳=中学校卒業まで)の月額2万6000円について、国税(所得税)の扶養控除と配偶者控除を見直し(廃止など)により負担増になる世帯が出てくると、自公が批判しました。
これについて、すこし、考えが混乱している人がいらっしゃるようですので、あくまでも私の責任で頭の整理をさせていただきたいと思います。
なお、民主党によるシミュレーションは次のページに載っています。
http://www.dpj.or.jp/news/files/090727kodomoteate_2.pdf
まず、「控除から手当へ」という民主党税制の根本的な考え方を理解すると分かりやすいと思います。
民主党税制調査会(藤井裕久会長)が2007年12月26日付でまとめた「民主党税制改革大綱」では、その4ページに「人的控除を精査した上で、必要なものについては、相対的に高所得者に有利な所得控除から手当へと転換する」と書いてあります。
「大綱」のサブタイトルは、「―納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築く―とあります。
私は、今の税制は透明でないと思います。以前、新聞の投書欄でこういう投書を読みました。医療費控除(1世帯で年間5万円以上)というのがあります。病院・薬局に払った医療費や入院・通院の交通費、ガーゼや三角巾などを控除できるこの「医療費控除」を知らなかったことでメリットを受けられなかった、悔しいという女性が投稿していました。これは領収書があれば、過去5年間さかのぼれるのですが、5年以上経ってしまったそうです。もちろん、後から知っても領収書が集まらないという問題もあります。さらに、これは所得控除なので、一世帯全部の領収書を集めて、家族の中でイチバン所得の多い人の名前で確定申告すると得になります。所得税率がイチバン高いので、控除額が大きくなるからです。
これが今の税制で、こういうことを知っていて、所得税率が高い(所得が多い)人が得をする税制と言って間違いない。
私は、扶養控除には「1月1日生まれ」と「12月31日生まれ」の差という問題があることも指摘したいと思います。出産一時金・児童手当は別として、扶養控除に関しては、「1月1日生まれの子ども」も「12月31日生まれの子ども」も翌年2~3月の確定申告の際に、所得税をまけてもらう格好になります。
だから、「1月1日生まれ」は1歳を過ぎてから控除を受けますが、「12月31日生まれ」なら2ヶ月後にも控除を受けられることになります(実際に控除を受ける方は直接ご自身で確認してください)。こどもの1年は大きいです。子ども手当は「(×)15歳まで」ではなく、「(○)中学校卒業まで」ですので、4月生まれが得になりますが、これは15歳になってからの1年間です。15歳少年少女の1年間と0歳児の1年間ではまったく意味が違います。
税制の透明化しようとする民主党税制の基本スタンスが「控除→手当の流れ」ということになるでしょう。もちろん、いっぺんにすべての控除をなくすという意味でないのはいうまでもないことです。
選挙のたびにふしぎだなあ、と思うことがあります。主権者が負担増をのぞむような発言をする人が多いことです。「選挙とは公のもの」だという意識が強すぎるのではないでしょうか。
解散直後のTVの街頭インタビューでも「国民の声をしっかり聞いて欲しい」と話す人の映像が流れました。「私の声をしっかり聞いて欲しい」と言っていいのではないか。エゴイスト? そんなことはありません。そもそも「国民の声」って何ですか?
「私は子ども手当のせいで不利になる」という人だったら、それはそれで判断すべきだと考えます。あまり「国民の声」を意識すると、選挙結果が歪んでしまうと思います。
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