[画像]馬淵澄夫衆議院議員が、衆・経済産業委で配布した資料のうちの1枚、赤いハイライトは馬淵事務所自身によるもの。
【2013年9月27日(金) 第184回国会閉会中審査 衆・経済産業委員会】
「東京電力に関する問題、とくに汚染水」に関して、閉会中の国政調査が行われました。
参考人として広瀬・東京電力代表執行役社長が答弁しました。
この中で、馬淵澄夫さんの質疑の中で、東電が遮水壁の建設を先送りした陰に、国交省と経産省から国費の支出の話があるので、自己負担を見合わせていたことが分かりました。
まず上のペーパーですが、作成した日時と組織、人の明記がありませんが、馬淵さんが「東電が作成したペーパーか」と質問したところ、広瀬社長は「その通りでございます」と答弁しました。なお、きょうは参考人質疑ですから、証人のように偽証罪に問われることはありませんが、広瀬社長の答弁は本当だと感じました。
委員会では、「福島第一原子力発電所地下バウンダリの基本仕様について 平成23年6月13日 東京電力株式会社」と書かれた2枚のペーパーも配られました。この中には、「1~4号機原子炉建屋およびタービン建屋の周りに遮水壁を構築する」と間違いない断言されています。さらには「高濃度の滞留水がこれ以上潰瘍に流出させないために、後追いにならない備えとする」とまで、書いています。
ところが、これが実際にはプレス発表されず、現在も着手されていなわけです。
これについて、2011年6月13日に東電のいずれかの部署が馬淵さんに渡したのが上のペーパーです。
この中で、「最も有力な対策と位置づけ」ているとまでしながら、「対策費用は」「1000億円レベルとなる可能性もある」としています。
そして、馬淵さんは赤いハイライトをしていませんが、(2)のところで、「政府側から国プロジェクト化の示唆(当初は国交省予算)があり」「経産省(原子力政策課)でも最近になり検討を始めたとの認識」を持っているとしています。そして、末文に「費用負担のあり方(国家プロジェクト化)は、今後の検討の中で別途判断されていくものであること」と結んでいます。
なんのことはない、国費で面倒を見てもらえるのではないかという、人間の「おくれ体質」から、自分の財布からお金を出すのを見合わせたのでしょう。
ここで、震災後3か月以内に、国交省が動いていたということですが、部署名は書いてありません。これは東京電力企画部が国交省との付き合いが少ないからでしょう。私の推測としては、水防や砂防の部署が予算をつけて、プロジェクトを増やしたかったのではないか。それを聞きつけた経済産業省資源・エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課が巻き返しにはかったのではないでしょうか。おそらく、互いに民間業者がからんでいるのかもしれません。
一つだけ、東電に理解したいのは、やはり、「国が払ってくれる」という話になったら、1000億円の出費はいったんためらうと思います。これは御自身の家計だったらどうするか、一人ひとり考えていただきたいところです。
このことは、ほかにも気づいている議員がいるようで、民主党の会議では、汚染水の浄化装置(ALPS)について、きょうから動いている3系統を東電が東芝から購入したのに、新しいALPSは国費で購入することについて「絆創膏を貼っているようだ」とちぐはぐな対応が指摘されました。広瀬社長は「もぐらたたきのようで申し訳ない」と答弁していましたが、共産・塩川議員が「第二ALPS(アルプス)と私は呼ばせてもらう」としたうえで、国費で負担してもらうことについて広瀬社長に聞きました。広瀬社長は「第二アルプスを国の予算でやっていただけるのはありがたい」と本音を漏らしました。これに先立ち、広瀬さんは「(第二アルプスは)高性能なアルプスだ」と答弁し、「高性能」であることを強調しました。高性能だから、国の研究開発補助金として支出してもらう、という考えです。
さて、馬淵さんの質疑で、海江田万里大臣率いていた経済産業省に加えて、大畠章宏大臣が率いていた国土交通省の名前まで出てきました。ブーメラン民主党どころか、「ふたまたブーメラン民主党」ということになってきましたが、ぜひ徹底的に国交省も追及していきましょう。それが、与党経験ある野党が世代交代をしながらも再び与党になることをめざす、政権交代ある二大政党政治の始まりにおける混乱に過ぎないからです。なお、馬淵さんの質問時間の直前に、委員外との長妻昭さんが現れ、議員傍聴をしました。
これにまつわる情報を隠して自殺する人などありえません。それは、その人ひとりだけでなく、ほかにも複数名が知っている情報だからです。私には、海江田さんも大畠さんも何かを必死に隠しているように思える節があります。公文書公開法と情報公開法にもとづきながらも、しっかりと国交省と経産省の情報をめぐるやりとりをこれからも明らかにしていきたいところです。
東電の広瀬社長を初めて見ました。小柄で、おそらく150センチメートル台だと思いますが、しっかりとした目で、何か高校野球の2番セカンドがバントで食らいつくような印象がありました。伝わらない表現ですが、私は委員室で「ちばてつやさんの漫画・アニメ、キャプテンの谷口みたいだな」と感じました。けっこう信頼できるような気はします。「東電だからすべて悪人」というきめつけはいけません。
実は、衆議院経済産業委員会は生まれて初めて傍聴しました。が、40人委員会(予算委は50人)なので、驚きました。そして、この委員会の国政調査案件のなかには「独占禁止法および公正取引に関する件」が含まれています。しかし、公正取引委員会は内閣府ですから、衆内閣委になりそうなものですが、以前から不思議に思っていました。おそらく大臣が一人だけ、存在意義が希薄になっている経産省ということで、公取もいれることで、衆・経済産業委員を「企業の用心棒」のように思わせているのではないでしょうか。しかし、逆に、議席を大量にもつ第一会派の新人議員が、任期が折り返した後に、経産委員に回されたら、国対の評価が低いとうたがってみてもいいかもしれません。40人委員会というのはおかしいですよ。
ただ、原発問題については、先の通常国会では衆議院環境委員会が活躍していましたが、今後は、東電の分社廃炉子会社化の超党派議員立法が予想されます。民主党は第185回秋の臨時国会から、隠し玉ともいえる筆頭理事を投入します。田嶋要さんです。これはかなり期待できるのではないでしょうか。
それはさておき、しっかりとした説明を経産省のみならず、国交省にも求めます。
議論とは、情報があって初めて成り立つものです。
さあ、これからが政権交代ある二大政党政治のスタートです。
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