[写真]原口一博総務相
民主党の2009マニフェストの「国の出先機関は原則廃止する」に期待していたのですが、期待はずれになりそうな気配です。
出先機関でまずメスを入れるのは、総務省の「管区行政評価局」だと私は考えています。優先順位はトップだと思います。なぜなら、行政評価局はきょう無くなってもだれも困らない役所だからです。さらに言えば、本省もいらない。そういう出先機関は、ここだけでしょう。本省で250人、出先に1000人の職員がいるようですが、その雇用さえ確保すれば、きょう無くなっても、だれ一人困らない。実にカンタンな話です。
で、昨秋の事業仕分けの結果をみたら、驚くべきことに、行政評価局の業務は「強化する」と仕分けられています。私は事業仕分けをやって良かったと思いますが、実は仕分けの内容はほとんど知りませんでした。なぜ「強化」になったのか、推測するに、仕分け人が「行政評価局」という言葉に「事業仕分け」と同じにおいを感じたのではないか、それと、これは総務省の全事業で最後の議題だったようで、仕分け人が疲れて集中力が切れていたのではないかと思います。
自民党政権で菅義偉さんが大臣だったときに、「管区行政評価局」に「年金記録確認第三者委員会」がくっついてしまって、これはやっかいです。が、長妻昭厚労相の下、“消えた年金記録”の修復は進んでいますから、頃合いをみて、他に移しても良いのではないでしょうか。
管区行政評価局は、合同庁舎に入居していますから、庁舎売却などのメリットはないでしょうが、1250人は総務省統計局に移して、トレーニングして、各省に分散している統計業務を引っ張ってくれば、国益と省益ともいいのでは。1250人を自治体に押しつける必要もありません。
原口一博・総務大臣は7日の閣議後会見で、「期待外れ。怒りにも似た思いを感じる」と述べたようですが、そっくりそのまま、彼に返したい言葉です。まずは塊より始めよ、で総務省の出先機関を本省ごと廃止してしまうと先に宣言すれば、他府省の回答も多少変わったでしょう。
私は1997年ごろ、旧名称の「総務庁行政監察局」の取材をしていたことがあって、これはだいぶ勉強になり、お世話になったんです。監察官からいろいろ教えてもらいました。監察局を通して、霞が関の各府省の性格をだいたい勘所をつかんでいたところがあります。その恩は今でも感じていますが、取材を通して、私は、「総務庁行政監察局は、まず行政監察局を監察しろ」という持論を持っていて、他府省の官僚にこの持論を披露すると、どの官僚からも「その通り」「ぜひやって欲しい」と言われました。
行政評価局について、2010年4月2日の外務大臣定例記者会で岡田克也さんと上杉隆さんの間に次のような楽しいやりとりがありました。
(引用はじめ)
2010年4月2日 外務大臣定例記者会見http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_1004.html#1-J
【フリーランス 上杉氏】先週の今日ですが、総理官邸で首相会見がオープン化しました。外務省に遅れること半年ですが、その翌日、総務省の行政管理が記者会見のオープン度合いについてランクづけをして、ここ外務省は「A」というランクづけ、総理の会見と並んで「A」になりましたが、その評価に対しての大臣の評価をお聞かせ願えますか。
【大臣】評価していただいたのはありがたいのですが、私は、なぜ総務省がランクづけするのかちょっと違和感を禁じ得ません。確かに行政監視という役割が総務省の中にあることは事実ですが、お役人が大臣の記者会見についてランクづけするのは、ちょっと私にはよくわかりません。政府として、きちんとした第三者を選定して、そこで何か言っていただくならわかるのですけれども、どういう基準でやったのかもよくわかりませんし、何で役人にそういうことで評価されなければいけいのか、よくわかりません。
【フリーランス 上杉氏】総理の会見についての御感想は。
【大臣】よかったと思います。これからも是非続けていただきたいと思います。
(引用おわり)
「政治主導」を地で行く岡田さんの発言は、ほぼ全国民が賛同するでしょう。やはり岡田さんは、一から発想が違う。原口さんは、若手議員を省内に集めて勉強会を開いたり、赤坂で宴席を楽しむ暇があったら、はやく議員宿舎に帰って勉強をして、まずは塊より始めよ、を体現すべきだと感じます。
基礎自治体の役所には、よほど田舎でもバス停があります。しかし、出先機関にはバス停がありません。用向きがあれば、歩くかクルマで行くしかありません。こういところにも原口さんは気付いていないでしょう。総務省政務三役のこの1年間は零点だと、私は厳しい評価をしています。
出先機関地方移譲は1割弱=府省仕分け「期待外れ」―原口総務相 (時事通信) - Yahoo!ニュース
原口一博総務相は7日の閣議後記者会見で、出先機関の事務・権限を国に残すか自治体に移譲するかを各府省が判定する「自己仕分け」について、地方移譲を認めるとの結果は全体の事務・権限の1割弱にとどまったことを明らかにした。同相は「期待外れ。怒りにも似た思いを感じる」として、出先機関改革について各閣僚と公開討論を行い、協力を促す方針を示した。
自己仕分けは、国土交通省の地方整備局や厚生労働省の都道府県労働局など、8府省が、13機関を対象に実施。国交省は地方整備局のうち一部の国営公園の管理について都道府県に委ねるとしたが、そのほかはほぼゼロ回答。全国知事会が移譲を強く求めているハローワークについても、厚労省は国が引き続き担うとした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます