宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院、川口順子・環境委員長を解任 見習ってほしい武内則男・厚生労働委員長の「4・25」

2013年05月09日 10時58分24秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]2013年4月25日(木)の参・厚生労働委員会で「4階建て」議事を進める、民主党の武内則男さん、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院本会議 2013年5月9日(木)】

 連休明け国会最初の参・本は「環境委員長川口順子君解任決議案」(183決議案3号)が議題になるという後味の悪いスタートとなってしまいました。

 決議案は、投票総数230。

 白票(賛成)123票

 青票(反対)107票。

 で可決されました。この結果、参議院は川口順子議員を環境委員長から解任しました。委員長解任は憲政史上初めて。後任の委員長は次の本会議で選挙される見通し。

 きょう付けの読売新聞社説で、参議院規則で委員長代理を立てられるとありました。これは参議院規則第31条「委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。」とあります。川口氏の場合は、「事故」でも「欠けたとき」でもないので、これは使えないでしょう。これに関しては2年前の連休明け国会の5月10日の参・総務委で二大政党間のやりとりがありました。(「まず委員長席に座っている人にお聞きします。あんた誰なの?」 参・総務委)。読売新聞論説委員も政局報道に明け暮れたうえで論説委員のポストを勝ち取ったのでしょうが、あまり付け焼刃で参議院規則を引用しないでいただきたい。

 後味の悪い政局を終え、参議院規則74条の4に基づく、本予算案の常任委員会への委嘱審査から正常化しました。なお9日に常任委委嘱審査、10日に特別委委嘱審査をする日程は7日午後1時ごろの予算委で全会一致で決定しており、この後の午後3時に、解任決議案が出たことから、日程が混乱したのだろうと推測します。参議院事務局委員部ももう少し、個別の議員と仲良くなってコミュニケーションをとってもいいのではないでしょうか。

 川口さんが環境委員会をすっぽかした4月25日(木)。この日は、連休前国会最後の参院本会議への上程法案(上がり法案)を処理する最終日ですが、川口順子さんと大きく明暗を分けた議員がいました。

 民主党・新緑風会で、高知選挙区で今夏改選を迎える武内則男さんです。 

 この日の厚生労働委員会は午前9時1分開会、午後2時47分散会。この中で、労働に関する集中審議、厚生に関する集中審議をやったうで、議員立法を2本可決しています。

 この日の議事次第は次のとおりです。

[議事録から引用はじめ] 

第4号 平成25年4月25日
第183回国会 厚生労働委員会 第4号
平成二十五年四月二十五日(木曜日)
   午前九時一分開会
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (雇用、労働等に関する件)
 (病院勤務医の宿日直の取扱いに関する件)
 (高額療養費制度の見直しに関する件)
 (抗がん剤による副作用救済制度の検討に関する件)
 (臨床研究における被験者保護に関する件)
 (民間医療保険の直接支払いサービスの是非に関する件)
 (保育所の待機児童解消の在り方に関する件)
○再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案(衆議院提出)
○麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案(津田弥太郎君外十四名発議)

[引用いったんおわり]

 となっています。

 環境委員会がすっぽかされた中で、厚生労働委員会はこれだけの仕事をしました。

 最後に武内委員長は次のようにあいさつして、この日の委員会をしめくくっています。

[議事録から再度引用はじめ]

○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。

 委員長より一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 両筆頭の大変な御努力もあって、本日、四階建てという御指摘もありながら、委員並びにオブザーバーの皆さんの御理解もいただいて、本日二本の法案、採決をすることができました。改めて両筆頭を含め、理事、オブザーバーの皆さんの御協力に感謝を申し上げたいというふうに思います。
 いよいよ大型連休に入ってまいります。言うまでもなく、厚生労働行政は国民の生活に本当に密接に関連をした法案を多く抱えておりますし、関係者を始め国民の皆さん方が早期の成立を望んでいる法案もございます。そうした法案の十分な審議と円滑な委員会運営に委員長としても最大限引き続き努力していく、そのことを申し上げながら、二点。
 一つには、今回の丸川政務官をめぐっての委員会でのやり取り、一企業の宣伝広告に掲載をされたという事実。そして、政務官に既に就任をされていたというこのことについては、厚生労働省、政府としても厳正に受け止めていただいて、御対応を心からお願いをして、本日の委員会については、これにて散会をいたしたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
   午後二時四十七分散会

[引用おわり]

 このように労働分野の集中審議、厚生分野の集中審議、さらに衆法「再生医療推進法」、参法の「脱法ハーブを規制する麻薬取締法および薬事法の改正法案」の趣旨説明を受けて、採決し、可決しました。翌日の本会議で、再生医療推進法は成立し、平田健二議長が天皇陛下に奏上。参法は、可決し、衆院に送付しました。

 これに対して、放射能被害の法案も出ている環境委員会が開けなかったのは、国会としての大失態です。自民党議員がいかに、党内の部会や総務会を優先し、国会を軽視してきたか如実に表したエピソードです。

 このように駆け込みで法案を成立させる、現在では野党の武内則男さん。民主党・新緑風会では、予算委員会理事や、議院運営委員会理事を務め、未来の会長候補です。

 高知市議から参議院議員に。実は武内さんは悪名高き自治労の組織内です。しかし、自治労だからなんでも悪いわけではありません。太い声で堂々と演説し、理事として動き回り、委員長として閣法でも衆法でも参法でもドンドン審議するその姿。 


 高知県連は民主党結党時は組織が強かったのですが、仕切り役だった医療法人理事長が衆院議員をやめてからはあまり強くありません。改選1議席の参院高知選挙区では自民党は若手県議を公認。3年前にも出ています。そのときは、坂本龍馬だか分かりませんが「幕末の志士の着物姿のコスプレ」を平然とホームページに出していました。落選後、3年経って、今回はそのようなコスプレは出していません。自民党高知県連の先輩に叱られたのなら、それは自民党の良い点です。が、国政をめざす若者にありがちな勘違いを感じます。現職の武内さんの国会内での仕事ぶりを見てください。「自治労だからだめ」では一面的に過ぎます。武内さんは川口さんと違って東大はおろか大学も出ていませんが、ずっと志のある政治家だと感じます。

 民主党は自治労や日教組組織内議員や支持者の要望をくみ上げながら、政策を練り、決定した党議に従う。それが民主党の「民主中道勢力の結集」であり、「連合収斂」です。


 自治労を毛嫌いしないでください。産別のトップはたいてい「会長」ですが、自治労はいまだに「中央執行委員長」と呼んでいます。古くさいですがそれも個性です。連合の会長代行も兼ねている自治労中央執行委員長は徳永秀昭さんです。あの有名な歌手の「徳永英明」と同姓同名です。

 今回の後味の悪い川口委員長解任決議案。徳永英明さんの透明感のあるボイスを聞いて、残り1ヶ月の国会をしっかり仕上げていきましょう。前へ。




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