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誰も置き去りにせず変革を生む。ネクスウェイが提案する「変えないDX」構想

2025.10.09 2025.10.09 07:49 企業

誰も置き去りにせず変革を生む。ネクスウェイが提案する「変えないDX」構想の画像1

 デジタルとアナログをつなぐ通信サービス、SaaSを提供する株式会社ネクスウェイ(TISインテックグループ)が2025年10月2日、「変えないDX」の構想発表会を開催した。

「変えないDX」とは、世の中でDX推進が加速するなか、企業が大切にしたい価値を変えないまま、実現可能な変革を見つけ、ストレスなくアナログからデジタルへシフトしていくという考え方だ。

 当日は、ネクスウェイのサービス支援により「変えないDX」を実践している茨城県笠間市、うまい棒などで知られる株式会社やおきんを迎えたトークセッション、さらにアナログとデジタルの狭間で苦悩する“アナログサラリーマン”に扮したキンタロー。氏を招き、新ネタ披露なども行われた。

変化することの難しさがDX格差を生む

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 まず、代表取締役社長 坂本倫史氏から、日本のDX事情が語られた。

 いわゆる大企業といわれる規模の企業の96.6%が「DXが進んでいる」と回答したのに対し、従業員が100名以下の中小企業のDX推進は44.7%にとどまっている。予算も人員も不足するなか、中小企業の価値変化に必ずしもDXが寄与しないことが、中小企業における対応遅れの原因のひとつになっているという。

 また、中小企業のDXが進まないことが、中小企業を取引先とする大企業のDX推進を阻害している一面についても語られた。

 DXは変化することが前提となっている一方で、大胆で急激な変化が難しい部分があることが、大企業と中小企業のDX格差からも見てとれる。

 この部分に対して、変化を押し付けるのではなく、“変えずに変える”ことをひとつのステップとしてDX支援をしていこうという考えが、ネクスウェイの提唱する「変えないDX」だ。

 坂本氏は、

「ゆっくりと優しく変わっていけるような世界観を、さまざまなコンテンツと寄り添った支援を通じて啓蒙していきたい」

 と語った。

【茨城県笠間市】選択肢を増やすことで「変えない」部分をつくる

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「変えないDX」の実例として、茨城県笠間市の定額減税補足給付金の支給決定通知が紹介されるとともに、笠間市長である山口伸樹氏と坂本氏によるトークセッションが行われた。

 定額減税補足給付金とは、令和6年の定額減税で減税しきれないと見込まれる住民に対し、その不足分を追加で支給するもの。笠間市では従来、この給付にかかる通知を住民1人当たり合計3回の郵送で行っていたが、郵送コストや住民への給付スピードが課題になっていた。

 そこで、すでにネクスウェイのSMS配信サービス『SMSLINK』を導入していた笠間市は、住民から提出される支給確認書に支給決定通知の手段として、郵送またはSMS、どちらを希望するか選択する欄を設けて住民の希望を取り、SMS通知の希望者には携帯電話番号を記載してもらうという試みを実施したそう。

 結果、66.2%もの住民が『SMSLINK』による SMS配信での通知を希望。職員の作業負担軽減やスピード感のある給付につながった。

「すべてを変えるのではなく、選択肢を増やすという方法をとったことで、住民の方々にほとんど抵抗感がないように見えた。これまで笠間市ではほとんど紙ベースで作業をしていたが、7割近くの住民の方がSMSを選択したことで、デジタルが我々の生活に深く浸透してきていることを強く感じた」

 と、山口氏は話している。

 山口氏の発言を受け、坂本氏も、

「給付のスピード感に寄与できたことに加えて、職員の方々の作業を効率化できたことがうれしい。こういった流れが、前向きな自治体運営につながっていくのでは」

 と、喜びを表していた。

 実際、笠間市職員の間では、この仕組みをより多くの住民サービスに活用できるのではないか、という意識が高まっているという。

【株式会社やおきん】「変わりたくない」という感情を乗り越えるDX

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 受信したFAXをウェブブラウザで管理、返信できるネクスウェイの『FNX e-受信FAXサービス』を活用し、「変えないDX」を実践した例として紹介されたのは、株式会社やおきん。

 すでにデジタル化されている部分がある一方で、FAXによる受注業務もいまだ多いやおきんでは、繁忙期には1日2000枚以上にも及ぶ受信書類の仕分けにかかる時間や、複合機の順番待ちで生じる取引先への返信遅延などに悩まされていたそう。

『FNX e-受信FAXサービス』の導入により、取引先のデジタル環境に寄り添い、FAXという受信手段は変えることなく、FAXでの受注や振り分けのデジタル化、自席でのFAX返信が可能になり、従業員の作業効率が大幅に改善された。

 リモートワークでもFAXの送信ができることで、よりフレキシブルな働き方を実現するとともに、紙での出力がなくなり経費の削減にも寄与したという。

 やおきんの営業企画部システム業務課次長、栗林雅治氏は、

「(DX)導入に際しては、『変化したくない』という人の感情が大きな課題だった」

 と語る。しかし、取引先から見ると業務フローに変化がないこと、操作性がよく使いやすいことで、意外なほどに社内ではすんなり受け入れられたそう。

 この使いやすさはネクスウェイが「変えないDX」を支援するにあたって、非常に重要視したポイントだ。

 営業企画部商品課係長の小野貴裕氏も、従業員が『FNX e-受信FAXサービス』の活用に順応していく様子を見て、「変えないDX」を行ったことによる働きやすい環境への変化を感じたそう。

 トークセッションを受け、坂本氏は、

「世の中的にDXを強力に進めていかなければいけない一方で、固定化された業務を変えられないという方はたくさんいる。その間に我々ネクスウェイが入って支えることで、デジタルの恩恵を受けながら“変わらない”状態をつくることができれば」

 と、今後の「変えないDX」への展望を口にした。

キンタロー。扮するアナログサラリーマンも登場

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 そして「変えないDX」構想発表会の最後には、お笑い芸人のキンタロー。氏による“アナログサラリーマン”、酒田光男が登場。この日、初めて披露される新ネタだ。

 ネタづくりのこだわりを聞かれ「出オチ」と答えた一言に違わず、登場のインパクトで会場の心を掴んでいた。

 また、トークセッションでは、お笑い芸人として、個人事務所を立ち上げたビジネスパーソンとして、母としての顔を持つキンタロー。氏が「変えないDX」にかけ、3つの役割で活躍し続けるために変わらずに大事にしている軸を語った。それぞれ「明快」「志」「変顔育児術」を挙げ、

「0歳の子でも笑える単純明快さを変わらず大事にしている」

 と、その場で架空のキャラクターを演じながら話し、会場の笑いを誘った。

 最後、「変えないDX」が世の中に広まることのメリットや価値を聞かれ、キンタロー。氏は、

「自分の中でルーティン化されたものをガラッと変えるのは怖いこと。“変えない”部分があることでDXに対するハードルが低くなり、間口も広がるのではないかと思う。自分の守りたい部分を守りながら、徐々に便利にしていくサービスはとてもありがたいものだと思う」

 と締めくくった。

「変えないDX」は、急激な変化を強いるのではなく、一人ひとりのビジネスパーソンや企業が大切にしてきた価値を守りながら前へ進むための考え方をもとにしている。

 変化に重きを置く時代にあえて、「変えない」勇気を後押しするネクスウェイ。デジタルの力で優しく社会を変えていく挑戦に、今後も大きな注目が集まりそうだ。

BusinessJournal編集部

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