2025-05-19

エジプトはなぜガザとの国境を開かないのですか

エジプトガザとの国境を完全に開放しない理由は、複数の要因が複雑に絡み合っているためと考えられます。主な理由としては以下の点が挙げられます

1. 安全保障上の懸念:

テロリスト流入: エジプトは、ガザ地区を実効支配するハマステロ組織と見なしており、国境開放によってハマス戦闘員過激派シナイ半島流入し、治安悪化することを懸念していますシナイ半島では、以前からイスラム過激派によるテロ事件が発生しており、エジプト政府にとって治安維持は重要課題です。

武器密輸: 国境開放は、ガザ地区からエジプトへの武器物資密輸助長する可能性があり、これもエジプト安全保障上の懸念材料となっています

2. 政治的懸念:

パレスチナ難民流入と定住: エジプトは、ガザ地区からパレスチナ難民が大量に流入し、そのままエジプトに定住することを強く懸念しています。これは、パレスチナ問題の解決を複雑化させ、エジプト人口構成経済に大きな影響を与える可能性があるためです。エジプトは、パレスチナ難民の受け入れは一時的ものであり、最終的にはパレスチナへの帰還が原則であるという立場を堅持しています

イスラエルとの関係: エジプト1979年イスラエル平和条約を締結していますが、国民感情としてはパレスチナを支持する声が根強くあります国境を完全に開放し、ガザ地区への支援を強化することは、イスラエルとの関係に影響を与える可能性があると懸念しています

3. 国内経済への影響:

経済負担: 大量の難民を受け入れることは、食料、住居、医療などの面でエジプト経済に大きな負担となりますエジプトはすでに多くの難民を受け入れており、新たな難民流入経済的な困難をさら悪化させる可能性があります

4. 国際的圧力:

エジプトは、国境開放に関して国際社会から圧力を受けていますが、上記理由から慎重な姿勢を崩していません。エジプト政府は、自国安全保障国益を最優先に考慮した上で、ガザ地区への人道支援許可しつつも、国境の完全開放には応じていない状況です。

ただし、人道的な観点から、負傷者や特定許可を得た人々に対しては、ラファハ国境などを通じて一時的な出入りが認められることもありますしかし、恒常的な国境開放には至っていません。

近年では、特にガザ地区での紛争激化時には、国際社会人道支援団体から国境開放を求める声が強まっていますが、エジプト基本的立場は変わっていません。

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