脳性まひの女の子が普通中学に入学したニュースを見て思い出した、あんまり思い出したくなかった話。
私の通ってた高校は市内でそれなりに偏差値の高い、男女共学の普通高校でした。
そして、明らかに”様子がおかしい”女の子と、1年間だけですが一緒のクラスになりました。
何だか自己紹介でもしゃべり方がおかしいし、挙動不審で、正直「関わりたくないな」という印象でした。
周りも同じことを思っていたようで、彼女の周りには誰もいませんでした。
けれど、とても勤勉な子で成績は良かったそうです。
1ヶ月くらいたったある日、その彼女が休んだのですが、その日の放課後のHRに、彼女の母親からの手紙が担任の口から読まれました。
「彼女は仮死状態で生まれたため、それが原因で脳に障害があります。
中学の時はしゃべり方が原因でいじめをうけたこともありました。
でも、皆さんと学ぶことで、彼女にとって良い影響があると信じ、この学校へ入学させました。」
手紙の内容を聞いて泣いてる女の子もいました。私自身も「ハンデがあるのにこんな高校入ってすごいな…」と感じたのは事実です。
けれど、正直、そんなハンデを背負ってまでこの高校に入るメリットが私には全く理解できませんでした。
「たしかにすごいとは思うけど…今更どう接していいのかわかんないし、どうしようもないよね。正直…。」
HRが終わった後、ある女の子がつぶやいたこの言葉が、クラスの言葉だったように思えてなりません。
結局、このHRが終わったあとも、彼女を取り巻く状況は変わりませんでしたし、陰でからかう人も、残念ですがいたらしいです。
何かクラスの行事があって道具が必要な時に、彼女の母親からクラスにいろいろ物資が届いたこともありましたが、
それがクラスにとって重荷のような状態になっていました。
勉強も、最初の方は成績が良かったそうなのですが、授業が高度になるにつれ、ついて行くのが辛かったようです。
上の学年になってクラスは分かれましたが、彼女が誰かと一緒にいるのを見たことは一度もありませんでした。
小学生の時は支援学級の生徒だろうが何だろうが関係なんかなくて、みんなで分け隔てなく遊ぶことができたのですが、さすがに中学・高校ともなると自分のことで手一杯になるし、関わらなくて済むなら関わりたくない存在になってしまうのが現実なのだと思います。
私も含め、学校の人たちは心の冷たい人間ばかりだと思うかもしれませんが、実際に同じ空間にいたらどうしていいのかわからないですし、
ただでさえこの時期の女子は派閥とか出来てめんどうなので、彼女の入り込む余地は皆無でした。
幸いいじめは起こりませんでしたが、別の普通高校に行っていたら、ひどいいじめに遭っていたかもしれません。
あの高校に入学したのが彼女自身の意思だったかはわかりませんし、彼女が今どうしているのかもわかりません。
けれど、普通中学に入学したあの女の子が、もし「親のゴリ押しで普通高校に入学した」時のことを考えると、あの時の自分や、どうしていいのかわからずに戸惑う周りや、担任や、そして何より、誰とも関われなかった彼女自身のことが思い出されて、切なくなるのです。
中学のときに脳性まひの子がいたけど、別に普通だったな。大学でも普通だった。特に重荷とは思わなかったけど、施設の人らの平等に圧力で高校のときはちょっと悩んだ。普通と言っ...