8号御料車
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8号御料車は、1916年(大正5年)1月31日に貞明皇后の御乗用として鉄道院大井工場で製造されたものである。 車体は、鉄道院基本形客車に属するモニター屋根の木製車で、明治44年度基本型の3軸ボギー台車を装着している。全長は20.677m、車体幅は2.591m、高さは3.778m、自重は35.48tである。外板は、チーク材の厚板を横張りにして平滑に仕上げたもので、深紅色の漆が塗られ、金線で装飾が施されている。 車内は、前位から候所、厠、休憩室、御座所、女官室、大膳室に区分されている。また車体の前後の出入り台には、観音開き式の扉が設けられている。 御座所は、側廊下がない分7号御料車より広く、幅2.399m(7号は1.892m)となっている。上天井は、格天井式で雲彩に金箔唐草散らし及び鳳凰の飛ぶ様を表した絹張り、下天井は、木組みで菊の文様の絹張りである。櫛形は7号と同じ七宝で、飾り幕板中央部は菊の紋章の絹裂地張りとなっている。引戸は石目漆塗りで、化粧羽目は菊水文様の綴錦張り、仕切り正面には大型の鏡が取付けられている。腰部は濃臙脂色のビロード張り、テーブルや隅棚は桑材製で、螺鈿細工が施してある。本車は、皇后御乗用に相応しく、鮮やかな色彩や美しい絹張りが使われており、貞明皇后も気に入っていたという。 1928年(昭和3年)の昭和天皇の即位御大礼の際には、お召し車として使用され、その際に外部に描かれていた菊の御紋章と鳳凰が消され、金線のみの装飾となった。 本車は、1933年(昭和8年)に鋼製の2号御料車(2代)が製造されるまで使用され、1935年12月に廃車された。その後は大井工場に保管されたが、太平洋戦争末期の混乱で大きく破損し、同工場内に荒廃したまま放置されていたが、1956年(昭和31年)に解体された。ただし、女官室の一部は修復された後、交通博物館で展示された。同館が閉館した後は、2007年10月に開館した鉄道博物館に移され、展示されている。 8号御料車 8号御料車内部(御化粧室) 8号御料車内部(御座所) 8号御料車内部(女官候所)
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