2020年〜
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2020年に台湾周辺で人民解放軍の活動が活発化していることも問題となっており、同年台湾が追跡した解放軍出撃数は過去最高の約380回に上った。 2021年3月23日、ジョン・アキリーノ(英語版)アメリカインド太平洋軍司令官はインド太平洋地域の安全保障環境について「最大の懸念は台湾に対する中国の軍事動向だ」と指摘した。 2021年4月16日、菅義偉内閣総理大臣とジョー・バイデン米国大統領は日米首脳共同声明を発表し、「自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟」と明記した。自由で開かれたインド太平洋戦略に基づいたこの声明では尖閣諸島、南シナ海における中国の海洋権益に関する主張や台湾海峡問題、香港、新疆ウイグル自治区など中国の覇権主義的な動きに対応するものとして以下のように明記された。 自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟(略)日米同盟は、普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントに基づく自由で開かれたインド太平洋、そして包摂的な経済的繁栄の推進という共通のビジョンを推進する。日米両国は、主権及び領土一体性を尊重するとともに、平和的な紛争解決及び威圧への反対にコミットしている。日米両国は、国連海洋法条約に記されている航行及び上空飛行の自由を含む、海洋における共通の規範を推進する。(中略) 米国はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを再確認した。日米両国は共に、尖閣諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対する。(中略) 菅総理とバイデン大統領は、インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対する中国の行動の影響について意見交換するとともに、経済的なもの及び他の方法による威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した。(中略)日米両国は、東シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する。 日米両国は、南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明するとともに、国際法により律せられ、国連海洋法条約に合致した形で航行及び上空飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海における強固な共通の利益を再確認した。 日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。 日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する。(中略) 日米両国は、皆が希求する、自由で、開かれ、アクセス可能で、多様で、繁栄するインド太平洋を構築するため、かつてなく強固な日米豪印(クアッド)を通じた 豪州及びインドを含め、同盟国やパートナーと引き続き協働していく。日米両国はインド太平洋におけるASEANの一体性及び中心性並びに「インド太平洋に関するASEAN アウトルック」を支持する。 2021年4月16日、日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」外務省仮訳より 中国大陸側はこれに対して内政干渉だとして「強い不満と断固反対」と反発した。 2021年4月17日、岸信夫防衛大臣は沖縄県の陸上自衛隊与那国駐屯地を視察し、「与那国に来ると、台湾はすぐ対岸で非常に近い。台湾の平和と安定は、地域そして国際社会の平和と繁栄にも結び付くものだ」と語った。 2021年6月1日、アメリカのマシュー・ポティンガー(英語版)国家安全保障担当副補佐官(英語版)は、「自衛隊には『台湾防衛は日本の防衛』という言葉がある。私は日本がこれに伴い、行動すると思う」と語り、台湾有事の際に日本が台湾防衛に参戦するという認識を示した。これについて韓国メディアの『news1(朝鮮語版)』は、「近現代史で韓国と台湾の共通点があるとすれば、一時、日本の植民支配を受けた点だ。ところが韓国は反日感情が非常に強いのに比べて、台湾は反日感情が殆どない。むしろ日本を崇拝する『崇日』感情があるほどだ。台湾の近代化に日本が大きく寄与したという理由からだ」「国際経済の舞台で日本と台湾は最高の相性を見せている。国際経済で台湾が日本と連合し、韓国企業の後頭部を打つことがたびたび発生するほどだ。台湾は私たちの常識ではちょっと理解できない部分のある国である」「植民地支配していた宗主国の義理だろうか? そのような台湾の保護に日本が乗り出している。日本はもし中国が台湾を侵略するなら、これに対抗して台湾を保護するという内心を隠さない」と報じている。 2021年6月28日、中山泰秀防衛副大臣がアメリカのシンクタンクであるハドソン研究所の講演で、「台湾は友人ではない。我々は兄弟であり、家族だ」と発言した。また、台湾を「国家」と表現した。 2021年7月1日、『フィナンシャル・タイムズ』が日米が台湾有事を想定して南シナ海や東シナ海で共同演習を行っていると報じた。日米は机上訓練も実施し、一連の演習・訓練には「最高機密」が含まれており、トランプ政権末期から、台湾有事などに関する作戦立案を本格化させ、南シナ海で「災害救援訓練」と称して共同演習を実施、尖閣諸島沖でも「中台間のあらゆる紛争」に備えて演習を行った。元米高官は「最終的な目標は、日米が台湾に関する『統合された戦争計画』を策定することだ」と述べた。 2021年7月5日に麻生太郎副総理は、中国が台湾に侵攻した場合、日本政府が安全保障関連法の定める「存立危機事態」に認定して、限定的な集団的自衛権を行使する可能性があるとの認識を示し、「(台湾で)大きな問題が起きると、存立危機事態に関係してくると言って全くおかしくない。そうなると、日米で一緒に台湾の防衛をしなければならない」と述べた。 2021年7月11日、陝西省宝鶏市の政法委員会が台湾有事の際に日本を核攻撃する動画をインターネットに公開し、日本が台湾有事に首を突っ込んだら、「例外的に」核を使用してもいいと主張している。動画は「台湾解放を目指すわれわれの試みに、日本が武力で介入するなら、たとえ1兵卒、1機の軍用機、1隻の軍艦の派遣であっても、われわれはただそれを撃破するだけでなく、日本に対する全面戦争を開始すべきだ」として、「まず、核爆弾を落とす」「再び無条件降伏するまで、何発でも落とし続ける」、そして、日本の防衛力をたたき、「台湾海峡に兵力を割けなくなるまで」徹底的にたたいて、他国の内政問題に介入したら、どんな目に遭うかを思い知らせ、そのために「日本を核先制不使用の例外とすることで、われわれは日本と世界に警告できる。祖国統一を含め、わが国の内政問題に日本が軍事介入すれば、核が使用され、日本が無条件降伏するまで使用され続けることになる」と主張しており、核攻撃を行うことで、中国は尖閣諸島を日本から取り戻し、沖縄を日本の支配から解放できると述べている。この動画を台湾メディアの『自由時報』は、「喪心病狂(きちがい)」と評している。 2021年9月9日、台湾の国策研究院文教基金会が開催した日台の協力に関する座談会で、中山泰秀防衛副大臣が日本と台湾は「目と鼻の先」に位置していると言及した上で、何か起きれば「他人事ではない。自分ごとだ」「(台湾の平和と安定は)人ごとではない」「台湾と日本は目と鼻の先であり、日本は台湾の平和と安定を自国のことのように扱い、他人事にはできない」と強調し、自民党の佐藤正久外交部会長は「台湾有事は日本有事」だとの見方を示した。これに対して中国外務省の趙立堅報道官は、「でたらめな発言」「強烈な不満と断固たる反対」「中国内政への干渉を直ちにやめるべきだ」として、日本側に抗議したと明らかにした。一方、台湾外交部の欧江安(中国語版)報道官は、今後の成り行きに好意的な見方を示し、各界の友人が台湾海峡の平和と安定に引き続き関心を向けることを歓迎するとして、台湾と日本の関係は友好的かつ密接であり、自由や民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を共有していると言及し、密接な経済関係を有し、互いに重要なパートナーだとし、今後も引き続き日本との各分野での友好的協力関係を拡大するとともに、強く確かなものにしていくと述べた。 2021年10月6日、台湾国防部の邱国正(中国語版)部長は同日の議会の会合で「台湾海峡の軍事的緊張は過去40年で最も深刻」と説明した。また、記者団に対して中国が台湾に攻撃を仕掛ける際に払う代償が2025年までに減少し、台湾に全面的な攻撃を仕掛けることが可能になるとの予測を示した 2021年11月、台湾民意基金会が行った世論調査では、台湾有事に際して「日本が出兵して台湾防衛に協力すると思うか」との設問に58.0%が「見込みあり」、「見込み無し」は35.2%、アメリカ軍については「見込みあり」が65.0%であり、日米の台湾軍事支援に対する期待の高さが浮き彫りになった。 2021年12月1日、自民党の安倍晋三元首相は、台湾のシンクタンク主催の公開フォーラムにおいて、「台湾有事は日本、日米同盟の有事だ。この点の認識を習近平国家主席は断じて見誤るべきではない」と述べて、台湾に軍事的圧力を強める中国を牽制した。 2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、台湾民意基金会が行った20歳以上の約1000人の台湾人を対象に行った世論調査では、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにした台湾人のうち、「台湾有事には自衛隊が参戦する」と回答した人は43・1%(参戦しないは48・6%)だった。アメリカ軍の参戦を信じる人は34・5%(参戦しないは55・9%)で、日本に対する信頼を下回った。台湾民意基金会は、「まれに見る悲観的な心境の急変」「各国がウクライナに派兵していない事実が、台湾人に大きな衝撃を与えた結果だ」と分析している。調査結果では、中国による台湾侵攻があった場合に台湾が単独で軍事対応しなければならないと心配する人は59・7%、台湾のみでは中国による占領を防げないと考える人は78・0%であり、防げると答えた人は15・8%だった。
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