他の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 20:25 UTC 版)
「トレイン・オン・トレイン」の記事における「他の方法」の解説
供用区間における貨物列車と新幹線の競合対策としては、これ以外にも幾つかの方法が提案されている。 新幹線のスピードダウン 2016年の北海道新幹線開業時以降、実際に用いられている方法である。新幹線の速度を在来線並み(140km/h以下)に落とすことで、ダイヤ競合問題および安全性の問題は、少なくとも現在の在来線並みまで緩和されることになる。しかしながら新青森駅 - 新函館北斗駅間の半分以上(82km)が共用区間であり、巨額の費用をかけて新幹線建設を行うにもかかわらず時間短縮の利益が減少する問題が生じる。北海道新幹線の札幌延伸工事は、東北新幹線区間を含めての将来的なスピードアップにより東京-札幌間の所要時間が5時間未満に短縮されるとの想定を前提として、旅客機に対する競争力を認める予測を根拠として着工されたが、延伸開業後も減速運転を必要とするままであれば想定値の実現は厳しくなる。 また、すれ違いの時だけ新幹線を減速する方法も考えられているが、新幹線を高速走行させるためには軌道の安全性を確認する必要があり、信頼性の劣る貨物列車を同時に走行させるためには障害物(コンテナからの落下物など)の検知装置などの開発が必要になる。また貨物列車がトンネル内走行中に260km/hの新幹線が同一トンネル内へ進入することにより微気圧波が生じ、貨物列車運転士の気圧変化による影響が懸念される。さらに影響度によっては貨物機関車の改造等が必要である。 貨物列車のスピードアップ 高性能機関車の開発によって、現行以上の速度で走らせる方式。大幅な高速度化をする場合は機関車だけでなく貨車の方も改装または新造が必要となり、海峡線を通る貨車すべてを置き換えるのはJR貨物に大きな負担がかかることになる。貨物電車やフリーゲージ貨車を投入する方式にも同じ問題が生じる。ただしM250系貨物電車の改良版を新造するのであれば、僅かであるが負担は抑えられる可能性がある。 新幹線貨物列車 標準軌車両にコンテナだけを直接搭載する方式。方式自体は東海道新幹線計画当初に検討されていた。技術的な障壁は低いが、在来線貨物列車との積み替えにトレイン・オン・トレイン方式以上の時間がかかると見積もられている。2016年に報道された検討案では、この方式が提案されている。 第二青函トンネル 津軽海峡にもう一本の海底トンネルを掘り、それぞれ新幹線と在来線専用にする。相当な金銭的・時間的コスト(5,000億円といわれる)が必要になるため、2017年現在では費用対効果に見合わず実現の可能性は低い。 鉄道連絡船の復活 青函トンネルの運用開始にともなって廃止された青函連絡船を貨物限定で復活させる方法。廃止当時の設備はまだ現存しているほか、室蘭や苫小牧の港と接続することで運送時間短縮のメリットもある。しかし、専用の貨物船を建造するコストの他、台風などの悪天候で船が運航不能となれば、物流が滞るおそれもある。 上下線の間に隔壁を設置 新幹線と貨物列車の走行を物理的に分離する隔壁を上下線間に設置するというもの。また隔壁の自重にトンネルが耐えられるように補強工事も行なう方法。新幹線、貨物列車のすれ違いによるタイムロスがほぼ生じなくなるうえ、費用もトレイン・オン・トレインよりも抑えられるが、新幹線がトンネルへ進入する際の気圧変化による影響、落下物に対する回避策、建築限界の支障に関する問題が発生する。特に雪害対策のために高架橋を開床式となっている区間は、既設構造物の補強だけでは設置することができず、さらに在来線が脱線したときに衝突しても新幹線の車両限界に接触しないためには、2.5m以上の高さが必要であるが、これだと建築限界に抵触する可能性が高い。
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