言論の自由とは? わかりやすく解説

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げんろん‐の‐じゆう〔‐ジイウ〕【言論の自由】

読み方:げんろんのじゆう

個人言論によって思想意見発表する自由。日本国憲法第21条保障されている。


言論の自由

作者安住磨奈

収載図書胸騒ぎ理由
出版社シンコー・ミュージック
刊行年月1993.6


言論の自由

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/14 09:47 UTC 版)

1974年英国ロンドンスピーカーズコーナーでの演説

言論の自由(げんろんのじゆう、: Freedom of speech)は、検閲を受けることなく自身の思想良心を表明する自由を指す。自由権の一種である。

概説

言論の自由の概念は、古代ギリシアの「παρρησίαπαν(すべて)+ρησις / ρημα古代ギリシア語ラテン翻字: parrhesia)、パレーシア」に由来する。プラトンは『国家』第8巻(557B)において、自由(エレウテリア)を原理とする民主制の特徴として、「放任」(エクスーシア)と共に、「言論の自由・率直さ」(パレーシア)を挙げている。

言論の自由は、表現の自由の根幹をなすと考えられ、今では国際人権法で保護され世界人権宣言第19条、市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約、自由権規約)にも規定されている[1]

表現の自由における言論の自由と出版の自由との関係であるが、本来、「言論」は音声による表現[2]、「出版」は主に文字による表現であるが[2]、広く「言論の自由」と表現されることもあり、言葉を通しての表現の自由は「発言の自由」と呼ばれることもある[2]

原理

言論の自由は自由権に含まれる。18世紀以降、1776年のアメリカのバージニア権利章典1789年のフランスのフランス人権宣言をはじめとする人権平等的憲法の自然権宣言により、自由や平等など人権の存在と、国家によるその保障が規定された。

典型的な自由主義的な信念によれば,各人の自発的な表現が総体として互いに他を説得しようと競い合う'思想の自由市場'(free market of ideas)を形成し、その自由競争の過程で真理が勝利し、真理に基づいて社会が進歩すると説かれる[3](思想の自由市場論)。正しい知識と真理は、各人の自発的言論が「思想の自由市場」へ登場し、そこでの自由な討議を経た結果として得られるものと考えられることから、表現の自由は真理への到達にとって不可欠の手段であるとみる[4]

また、民主政治被治者の同意に基づく政治であるが、この同意は何ら強制によることなく表現の自由のもとで形成されている必要があり、この自由を欠いている政治体制はその支配を正当化することができない[5]。言論の自由は民主政治の不可欠の要素であり、国民または人民の主権を謳いつつ実際には表現の自由を認めていない国も非常に多いが、統治の任に当たっている一握りの人々の行動が国民の利益・願望に合致しているかどうか監視し公に批判することができない国民は真に主権者とは言えない[3]

アメリカ最高裁判所判事ロバート・ジャクソンは「われわれは被治者の同意による政府を樹立したのであり、権利の章典は、権利の把持者がその同意を強制する法的な機会を一切否定する。」とし[3]、「公権力が世論によって統制されるべく、世論が公権力によって統制されてはならない」としている[3]。また、アメリカ最高裁判所判事のオリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニアは、権力を持つ人間は自己の思想の正しさを確信すればするほど対立する思想を直接・間接に抑圧しようとする論理を指摘している[6]。第4代アメリカ合衆国大統領であるジェームズ・マディソンは「人民的知識もしくはそれを獲得する手段のない人民的政府というようなものは、茶番かまたは悲劇、もしくはおそらくその両方の序幕にすぎない」と述べている[6]。ただし、言論による暴力は自由ではないと解釈された判例が存在する[7]

権力に対する言論の自由は、権力を監視する意味合いがあり、もし制約があれば民主主義とは言えない。しかし、個人に対する言論の自由は、濫用すると、名誉毀損罪侮辱罪に抵触する恐れがあり、充分に注意して行使しなければならない(ロンドンのハイド・パークにある「スピーカーズ・コーナー」は、この制約さえもなく、イギリス政府の転覆を論じたり王室を批判することは許されていないが、主張・発言の自由が完全に保障された珍しい場所であり、また同時に「ヤジの自由」も保障されている)。

哲学者アレクシ・ド・トクヴィル19世紀初頭のアメリカで人々が政府による報復への恐怖からではなく、社会的圧力のために自由に話すのをためらうことを指摘している。

なお、ヨーロッパには「ユダヤ人問題の最終的解決」をナチス寄りに解釈した説もしくはホロコースト否認論を唱えると、禁錮刑が科せられる国も多い(ドイツフランスオーストリアハンガリー等)。

日本

沿革

日本においては言論の自由は、1889年の大日本帝国憲法において初めて保障された(第29条)。この憲法はビスマルク憲法を下敷きにしたとされているが[注釈 1]、フランス、オランダ、ベルギー、イタリアの憲法も研究されていた[注釈 2]。他方、現実には全ての出版物は出版条例により検閲され、また労働農民党など裁判所から解散命令を受けた党も数多かった。

1947年の日本国憲法は人権を「侵すことのできない永久の権利」(第11条・97条)として規定したうえ、出版その他一切の表現の自由を人権として保障している(21条)。当然であるが、わいせつ物頒布等の罪などに当たるような違法な表現もあることには注意が必要である。

言論の自由をめぐる問題の例

脚注

注釈
  1. ^ 大日本帝国憲法のモデルとなったビスマルク憲法は、議会による大臣罷免権が定めらていない最初期の版である。
  2. ^ ただし明治時代から昭和前期の翻訳物にはしばしば原文が不明であったり原文と一致しないものがあるため注意が必要である[8]
出典
  1. ^ 国際連合人権高等弁務官事務所, Freedom expression and opinion, 国際連合, https://www.ohchr.org/en/topic/freedom-expression-and-opinion 
  2. ^ a b c 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、160頁。 
  3. ^ a b c d 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、162頁。 
  4. ^ 阿部照哉 編『憲法 改訂』青林書院〈青林教科書シリーズ〉、1991年、118頁。 
  5. ^ 阿部照哉 編『憲法 改訂』青林書院〈青林教科書シリーズ〉、1991年、119頁。 
  6. ^ a b 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、163頁。 
  7. ^ 携帯テキストで男友達の自殺を助けたら「殺人」で有罪”. www.jlifeus.com. 2019年3月3日閲覧。
  8. ^ 堀・清水、1889年

参考文献

関連項目


言論の自由

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 04:41 UTC 版)

田母神俊雄」の記事における「言論の自由」の解説

自著『自らの身は顧みず』にて、「日本には反日的言論の自由は無限にある。日本のことをいくらでも悪く言うことができるし、それによって国会紛糾するともない一方親日的言論の自由は極めて制限されている。特に自衛隊に関することと歴史認識について言論封じられ言っただけで問題引き起こす今回の私の論文がその典型である。問題になるのが分かっていて何故言うのかという疑問があるだろう。それは、問題にしないということは少しずつ反日同調するということ意味するからだ。これまでの歴史推移見れば、それは明らかである。そのとき少し譲歩して収めたとしても、次回はもっとつらくなる。もっと言論が不自由になる。この繰り返しでは日本はやがて崩壊してしまう」と述べている。 また、敵のミサイル基地攻撃することや、核兵器について、自衛隊所属していたあいだは議論すること自体難しいとも感じていたと述べ攻撃能力核兵器保有決定するのは政治であるが、議論することすらも許されないであれば日本独裁国家と同じであると述べた2008年12月26日号の雑誌フライデーでは「2年前に五百旗頭真防衛大学校長が、新聞紙上で自衛隊イラク派遣反対意見小泉総理当時)の靖国神社参拝反対意見公表しました防大校長自衛隊員ですが、その発言責任問われる事はありませんでした」と発言したまた、第7代防衛大学校校長西原正在任期間中に小泉首相私的懇談会対外関係タスクフォース」に参加しており、当時五百籏頭真校長福田内閣外交政策勉強会防衛省改革会議参加するなど政策提言としての行動行っている。なお、2004年3月海上自衛隊幹部候補生学校卒業式では石破茂防衛大臣は「自衛官政治関与してならないが、政治に対して関心を持つべきだと私は思う。(略) 専門的な立場意見申し述べることは諸官権利であり、同時に民主主義国家における自衛官義務だと思っております。」(「文藝春秋2009年1月号)と述べている。 2009年8月2日には、幸福実現党大川きょう子宣伝局長(当時)との対談記事全面広告として産経新聞掲載され、「日本には軍事に関する言論の自由がない」「国連中心主義はおかしい」 等と主張した。なお、選挙期間中に幸福実現党新聞各紙掲載した大川隆法による文章では、靖国神社問題絡めて田母神擁護する内容もあった。

※この「言論の自由」の解説は、「田母神俊雄」の解説の一部です。
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